リウスさんからの告白
勝負が終わり、今日は遅いので明日マイルの記憶にかかわるものをとりにいくことになった。
俺達はサクラの背中に乗せてもらい小屋に戻る。
サクラとミルクは二人で露天風呂に行ってくるということだった。
あんな仲の悪かった二人が温泉って。これがモフモフ効果か!?
俺とリウスさんは少しゆっくりしながらお茶を飲むことにした。
ここの家には紅茶というこの世界で見たことのないお茶があったためそれを二人で飲む。
香りがなんとも良くて癒される。
二人でお茶を飲みながら俺がお風呂に行く前に言ってたことを思い出し聞いてみる。
「リウスさん、さっき言っていた話したい事ってなんですか?」
リウスさんはゆっくりと紅茶を飲み、
「マイルさんこの首輪なんですけど」
そう言うとエルフ封じの漆黒の首輪を指さす。
「やっぱり私の力では外れないようなんです。それで今まで一緒に旅をしてきたんですが私足手まといになってしまうのでここからでたらば妹のことは一人で探しにいこうと思っているんです。今まで色々ありがとうございました。」
???
意味が分からない。
「リウスさん言っている意味がよくわからないんですが、弱くなったのに一人旅とか死んでしまいますよ。俺ってそんなに頼りないですか?」
「いえ、そういうわけじゃないんです。でも王国でもマイルさんを危険な目にあわせてしまって。このままではいつかマイルさんが命を落としてしまうんじゃないかって不安なんです。だから危険な旅は終わりにしてもらおうかなって。私弱くなったとは言っても元はBランクですしそれなりに長く冒険者やっていますので。それに実は昔結構強い人とパーティを組んでた時期があるくらい凄腕ですから。」
リウスさんはそういうと急に目に涙をいっぱいに貯めながらニッコリと微笑む。
それが誰の心配をしてこう言わせているかは一目瞭然だった。
俺が弱いばかりに。
確かに王都では結構危険な状況になっていた。
でも俺は普通の人間よりも頑丈だし今はミルクにサクラもいる。
リウスさんをこのまま一人で行かせるなんてできるはずがない、
「リウスさん大丈夫ですよ。俺がリウスさんのことを一生守ります。あなたがいくら弱くなっても大丈夫です。まだ今はミルクやサクラの力を借りないとダメかも知れませんが、私も一生懸命強くなりますから。」
「でも…」
リウスさんはそれでもまだ何か言いたそうだったのでリウスさんの頭をもって俺の唇で口をふさぐ。
確か師匠が女性に…なんって言ってたっけ?
でもなんか口止めするときには女性の唇をふさぐのが一番とか言っていた気がする。
それがきっと今だ。
うろ覚えのままリウスさんの口をしばらくふさいでいるとリウスさんの身体から力が抜けていく。
リウスさんは顔を真っ赤にしながらもじもじしている。
うん。これできっとOKだな。
リウスさんはそれ以上は何も言わなかった。
俺は絶対にリウスさんを一人にしないとそう心に決めた。
その日の夜俺が一人でベットで寝ているとリウスさんに思いっきり枕で殴りつけられた。
えっなんで??
☆
次の日。
朝早くからコタロウがやってきた。
「さて、それじゃあマイル殿の記憶に関わるものを取りにいくかの。」
コタロウがそう言うと、サクラが俺とミルク、背中に乗れと言って乗せてくれた。
リウスさんはここで待っていてもらう。
「悪いがこれはマイルと一族の問題なのでの。」
リウスさんは何も文句を言わず、
「美味しいご飯を作って待ってますね。」
と送り出してくれた。
サクラの乗り心地は…至高だった。
こんなモフモフ見たことがない。全米が泣いた。
ん?全米?
頭の中によくわからない聞いたことのない言葉が流れてくる。
なんなんだろうか。
サクラに乗り移動すること10分。
そこはきれいな洞窟だった。
何が綺麗なのかと言うと、山の斜面に入り口があるのにも関わらず、四角く通路が整備されダンジョンとまた違った感じなのだが整った洞窟だった。
中は小屋と同じでほこりすらない。
コタロウは自浄作用というのが働いていると言っていたがよく理解できなかった。
洞窟の中に入ってから5分ほぼ直線で途中には光魔法でできた松明のようなものが掲げられていた。
「ここにくるのも久しぶりだな。
ミルクはポツリと独り言のように言っていた。
それからしばらくして、1つの部屋にたどり着いた。
コタロウは扉をあけ中に入って1冊の本を俺に渡してくる。
「最初に言っておくが、これを見たらばもう元には戻れないからな。この本にはマイルの記憶の一部が封印されている。覚悟ができたらばこれを開いてくれ。」
「わかった。」
覚悟も何も必要がない。
俺が記憶を取り戻しミルクが強くなるのであればそれはこの先に必要なことだ。
俺が本を開くと一瞬で風景が変わって行く。
どうやら視覚魔法のようだ。




