むかしむかし【ショートショート】
むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんが住んでいました。
ある日、お爺さんはいつものように山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に出かけました。
お婆さんが川で洗濯をしていると、川上から、とても大きな桃が流れてきました。
お婆さんは川から桃を引き上げようとしましたが、腕力が足りませんでした。
がっくりと膝をついてうなだれるお婆さん。
お婆さんは舌打ちをして仕方なく桃を諦めようとしました。
すると桃の中から声が聞こえました。
「……最後まで希望を捨てちゃいけない。諦めたら、そこでお話終了だよ」