魔法学
魔法についての前知識です。
学校の授業はいつも通りだった。
普通科とそんなに変わらない。ただし、その上で普通に魔法の授業が追加されている。
今日も5時間目は魔法学。パソコンに映るのはシェルスクリプトというパソコン言語が書かれた窓がパソコンに映し出している。
「えーそれでは、めいわ。このダイアログボックスを開いて、数値をいじってみて、その結果を教えろ。」
先生は鈴を指名すると、魔法弾という魔力の塊を打ち出す簡単な魔法を弄ってみるよう指示する。
鈴は首を傾げつつも弄ると、実践してみる。
「はい。10を20に変えると魔法を打ち出した時の飛距離が2倍になります。」
「うむ、よろしい。それに伴って消費魔力が増大する。自分がどの程度の魔法が使用できるかを確実に把握するように。この入れた数値分の魔力を消費するから、何を何回使えるのかを確実に把握する事が強さに直結する。
本当はこの中にはパソコンの言語が魔法語として入力されているのだが、それを触るととんでもなく難易度が跳ね上がるため、ここでは習わない。もし知りたいなら魔法技術科に行け。あっちなら初歩位は教えてくれる。まあ、普通のC言語等の方が遥かに簡単に感じて来るほどの難易度だがな・・・。
魔法は新しく開発するのはとてもではないが、厳しい。だから大企業はその情報を秘匿する。特許を取る企業は多い。」
そこで男子の一人が手を挙げる。
良くやるねー。僕はあまり授業をまじめに受けていない。カタカタ音がしないようにキーボードをサイレントモードで使用する。
「先生!もしその情報を使っている人から見ることができたらどうなるのですか?」
「見るだけでは厳しいだろうな。
魔法は魔法言語で書かれており、その法則性は個人個人で違う。組んだ物の指紋のような物で、開発した者にしか法則性がわからない。
例えていうなら会話は出来るが、書く文字が全然違うというものだ。だから公開しても中々解読されにくいし、既存の魔法はこのように改変プログラムを作成者自身が作成しないと内容を変更できない物だ。
おい!棟院!何をしている!遊んでいるんじゃ・・・・・。は?」
うお!いつの間にか背後に立っていた先生が僕のパソコン画面をのぞき込む。そこには今魔法弾を改造していたシェルスクリプトを閉じていく。
「おい、棟院、お前この魔法弾は・・・・・。」
「あ、あはは、魔法玉自体に弾力をつけてみました。」
微妙な顔の先生はこちらをジト目で見てくる。なら僕は銃のデバイスに今のシステムをパソコンから吸い上げ、起動する。
ドン!
後ろから風が飛んできて上手く魔法が起動できなかった。結果普通の魔力弾すら発動出来なかった。後ろをみると、だれが妨害してきたのか分からない。
「おい、適当に弄るな!実践で使えない魔法など不要だ!お前はこれから立って授業受けろ。」
「そ、そんなー。」
教室中くすくすという笑い声がする。邪魔さえなければ・・・。いや、本番だったらなんでもありだ。そして犯人も分かっている。僕が見ていなくても、見ているのだから。
放課後、部隊室に着くと、世界先輩と九頭竜先輩がいた。まあ、何か話していいる。
「お疲れ様です。」
僕があいさつをすると、九頭竜先輩はこちらを見て、不機嫌そうに舌打ちをする。って、えええええええええええ?僕何かした??
「おい、棟院。何かしたか?パソコンが開けない。」
「ふむ、どうやら壊れてしまったようだ。昨日最後に触ったのは棟院じゃろ?」
うう・・・・・。昨日は普通だったけど・・・・。もしかして・・・。
「ちょっと見せてもらってもいいですか?」
「見て分かるのか?」
九頭竜先輩は僕が壊した前提で話をするが、もしかするともっとやばいかもしれない。僕はパソコンを奪うと、直ぐに起動する。パソコンの立ち上がるはずのバイアスの画面(パソコンの立ち上がる前に黒い画面に記号が出て来るあの画面)がバグってフリーズする。パソコンの立ち上がるプログラムが壊されているようだ。
「これは・・・。先輩か誰か、無理やりパソコンを立ち上げようとしました?」
「おい、おまえじゃないのか?」
「ほっほっほ、無理やりって、パスワードとか掛かっておるのかえ?」
世界先輩の古風なしゃべり方が面白いけど、スルーする。センスで口元隠しているけど、ニヤついているのは分かっている・・・・。
「先輩。昨日はこのパソコンにネット回線を通じてハッキングを仕掛けられないようにしておきました。セキュリティーがザルだったので・・・・・・。そして、無理やりこじ開けようとすると、バイアス事遮断する様に設定しておきました。まあ、それも30分でまた解除できるのですが・・・・。」
「なら、30分以内に誰かがネットを通じてハッキングしてきたと?」
「いえ、それだけならここまで酷くなりません。先輩。ここの教室の鍵ってどうなってます?」
教室のドアを見ると簡単なカギが一つだけある。
「あのドアの一つだけだな。それが?まさかピッキングか!」
ドアの鍵穴に引っかき傷があった。まず間違いないだろう。これは・・・・・。
「誰かがここに侵入し、パソコンを開いて中をのぞきに来た。けれど、開く事が出来ずにプログラム事壊してして出て行った。」
「誰なんだ!家のパソコンを壊した奴は!」
「おーっほっほ。世界家を敵に回して無事でいられると思わないことね。」
この傲慢居乳な先輩は置いておいて、九頭竜先輩にとある提案をしよう。
「先輩。提案があるのですが・・・・・。」
「ん?なんだ?」
先輩に耳打ちをすると、にやりと笑う。
「くっくっくっく!」
「ふふふふふ!」
「お、おう、二人とも悪い笑顔よのう・・・・・・。」
縦ロール先輩はドン引きしていたという。
魔法は個人の指紋のようなもの。読み取れない為キャンセルする魔法もない。