試験を受けました
キーンコーンカーンコーン。
中学校の鐘がなる。
私案外この聞き慣れたチャイムだけれど、中々、いい音だと思うのよね。
学校の帰り道友達のみっちゃんとこうちゃんを待っていた。
「かなちゃーん!」
「棟院さん!」
二人は走って私の傍まで来て、はあはあ息を切らしている。
幼馴染のみっちゃんとさっき友達になったこうちゃん。
みっちゃんとは去年も同じクラスだったけれど、こうちゃんは席が近いという事で声を掛けたら友達になったの。
ちなみに今は荷物を私に預けて二人ともダッシュで忘れ物を取りに行ってきてたって訳。
「かなちゃんありがとー!」
「棟院さんありがとうございます。」
「お二人ともお疲れさま。息が整ったら返すから、ゆっくり行きましょ?それまで私カバン持ってるから。」
荷物取ってくるまで私が荷物の番をしていたけれど、みっちゃんのカバンはほとんど空だったから軽かった。こうちゃんは私と同じくらい。
「あ、もう大丈夫です。ありがとうございます。」
そう言ってこうちゃんはカバンを受け取る。みっちゃんは・・・・。
「あ、私も・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。暫く私持っていくわ。」
かなりきつそうにふらふらしていたから、ついこんな風に声をかけてしまいました。
信号を渡って帰り途中、他愛もない話で盛り上がっていると、こんな話が出た。
「ねえ、昨日の夜もまた出たんだってねー!」
「出た?ああ、『黒鴉』ね。」
『黒鴉』
最近テレビでニュースとかに出て来る犯罪集団『組織』。その凄惨な殺しをターゲットは悪人ばかりから、国民的には賛否両論となっている。魔法による殺傷は十分重犯罪。殺人はしているけれど、世界の私腹を肥やす為に手段を選ばない連中や、重犯罪を犯しても明るみに出ない奴らを殺す為、ヒーローとしても祭り上げられている事もある。
その中でも特に戦闘能力が高く、悪人に天誅を下す頻度が高いのが、『黒鴉』と呼ばれている。
その特徴として、夏でも冬でも黒いマフラーをしていて口元を覆い、黒いゴーグルをした黒ずくめの男らしい。
一晩にて麻薬の密売をしていた密輸グループを根絶やしにしたり、詐欺グループを立て続けに殺して回ったりしていた。
「黒鴉・・・きっとお兄様が捕まえてくれますわ!」
「お兄様・・・・・。こうちゃんのお兄さんってどんな人?」
こうちゃんのお兄様発言からみっちゃんが食いついた。確かに気になる。
こうちゃんは十二貴族の一族なので、相当お金持ちの家だと思う。
「えっと、背が高くて、恰好良くって、強くって、更にあの竜門高校主席なのー!」
「めっちゃ目が輝いてる。(みっちゃんこれ地雷じゃあ・・・)。」
「へー凄いねー!(ごめんかなちゃん・・・・・。そうみたい)。」
「でしょう?憧れのお兄様なんですから!私が6さ・・・・。」
「(ヤバイ!)竜門高校といえば、家にお兄ちゃんも今年一年生だよ!」
なんとか話題を逸らそうとする。いけるかな?
「あらあら、そうなの?ではお兄様にスカウトしたか聞いてみますわね?」
「え?スカウトって??」
スカウトってなんだろう?部活は無いって聞いていたけれど・・・。
そんな事を考えつつ、こうちゃんを見る。
本当いい所のお嬢様って感じ。
「その高校では、小隊と言ってグループでの活動が多いらしいのよ。」
「じゃあ、そのグループに入っているかどうかってことね。一緒のグループだといいんだけれど、家のお兄ちゃん本気出さないで隠してる事多いから・・・。」
「へーそうなんですね。棟院さんのお兄様はどんな感じなのでしょう?」
そう聞かれると困るのだけれど・・・。
「えっとね!えっとね!優しいよ!この前もシュークリーム奢ってくれたの!」
「もうみっちゃんは現金すぎー。」
「「「はははは!」」」
そう言って三人で道を歩いていく。帰ったらお兄ちゃんに帝神という人を見かけたか聞いてみないと。
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ふと、気が付くと、頭の後ろに柔らかい感触といい匂い。柑橘系の臭い?
目を覚ますとそこには命輪、吊橋、九頭竜パイセン、後、巨乳縦ロールの女性、くーちゃん先輩が居た。
「おい、今俺に対して失礼な事思わなかったか?」
「え?どうかしたんです?九頭竜ぱ先輩・・・。」
「棟院君、今パイセンって言いかけなかった?」
「そんなことあらへんですよ!」
急に命輪さんが鋭い突っ込み入れるからつい似非関西弁に・・・・・・。
見渡す限り、教室では無かった。いや、そう思いたく無かった。
机にはミカン箱。黒板は無くてボコボコの小さいホワイトボードが一個あるくらい。
たしか隣の作戦ルームは綺麗な個人用のパソコンがある机にプロジェクター完備、電子黒板という配置である。
いや、差がありすぎるでしょう。
「クーちゃん先輩に吹き飛ばされたら、命輪さんの膝枕とか最高です。ありがふぶる!」
クー先輩に突然殴られた。
「リンちゃんの膝枕は私の方がほしい位なんだよー。」
「おい、お前ら。挨拶しろよ。」