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シュークリームは何の味?

さて、少し焼けた肌で友達と海に行ったがナンパは失敗。災難な夏休みを残り数日過ごしている。そろそろ履修の登録か…。もう後期が始まる。つまり別れてから1ヶ月は経とうとしているのか。早いような遅いような。ちなみにだが、灰原には彼女ができたそうだ。切り替えが早くて羨ましい限りだ。お、俺だって彼女欲しいぞ!


「俺は相変わらずコンビニ通いだよ」


まさにこの小説に相応しいほどコンビニに貢いでる。もし、コンビニが感情を持っていたのなら俺の好感度は高いはずだ。最近では、レジのおばちゃんにも顔を覚えられるほどである。なんとも複雑なところだ。


「いらっしゃいませー」


今日は何にしようか……え!?まさかのデザートコーナーほとんどが品切れ状態。今までこんなことはなかったのに。今日に限って品切れなんて。しかもそんな品切れの中残っている商品はただ一つ。


「シュークリーム…」


コンビニスイーツにも限らずどこにでもあるシュークリームが残っていた。まるで人気がないと言わんばかりだ。まあ、定番っちゃ定番だよな。…エクレアも定番だと思うんだが、あれは、シュークリームにチョコがかかってるだけってイメージだったが。前にエクレアは食べたよな。じゃあ今日はシュークリームにするか。…これしかないし。


「シュークリーム1点で、110円になります」

「じゃあ、これで」

「はーい、ありがとうございましたー」


安いな、シュークリーム。あ、でも前に食べたもちぷよよりは高いか。そういやふわふわサンド、やっぱり売ってなかったな。値札的なのもなかったし。姉貴の野郎…。今度、大学の最寄駅の方も行ってみるか。あれはどーしても食べたい。履修の時に行くからその帰りに寄ってみるかな。


「ただいまー」


そそくさと自室へかけあげる。そういや、シュークリームってよく誕生日とかで投げたことあったな。高校時代だけど。あれ、すっごく怒られたわ。床とか壁にクリームついて、男子何人かで掃除したっけな…。俺の誕生日の時はなぜか豆腐投げられたな。冷たかったのはよくおぼえてる。俺もクリームを浴びたかった。


「…カスタードと生クリームが入ってるのか」


俺、生クリームだけだと思ってたんだが。あ、でも2つ入ってるといい感じの甘みになってうまい!でも…これ、どっかで食ったことあるな。誰かにもらったとかか?いや、でも誰にこのコンビニのシュークリームをもらうのだ?高校時代の仲間でこのコンビニ使ってるやつは…あ。


「あいつだ」


そうだ。元カノが俺の誕生日にくれたんだ。まだ付き合う前に。豆腐を投げられたその日に。私の最寄の駅のコンビニで買ったって言って。あいつの最寄り駅のコンビニって俺の家の近くのコンビニと一緒だったのか。そういや、あいつもコンビニスイーツにハマってるんだってあの頃、よく言ってたな…。


「案外、何も知らずにいたんだな」


知らず知らずに涙が出てきた。あいつと別れて初めて流した涙だった。「飽きた」の一言で別れたくなかった。もっともっとそばにいて、いろんな話をしたかった。でも、もう元に戻ることはできないのであろう。もし、いつか会ったとしても友達でしかないのであろう。


「くっ…」


あのコンビニのシュークリームは俺にとって失恋の味で初恋の味でもあるんだ。まさか、コンビニ貢いでて元カノを思い出すことになるとは、あの頃の俺は全く想像なんてしてなかったんだ。


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