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魔界な人々

妖精店主な俺と戦闘竜人なあの子

戦闘魔族な私とコンビニ店主な妖精とリンクしております。

初めて見た時、あまりの隙のなさに構えたっす。

竜人なんて総じて戦闘ジャンキーだと思ってたっす。


でも……青白い鱗の竜人はどこか優しげで……


中華まんをいつも真剣にえらんでいて笑えたっす。


「男っすよね。」

陳列棚の物品をならべながらつぶやいた。

バイトの猫獣人ケットシーの男の子が怪訝そうにみた。

「竜人の性別なんて分からないですにゃ。」

黒いしっぽをパタパタさせながらバイト君が答えた。


俺は普通に女の子が好きなはずだ。


噂をすれば影、戦闘竜人ムーさんがやってきた。

相変わらず身のこなしが綺麗だ。


「僕はバックヤードに行ってくるにゃ。」

バイト君がそう言いながら向こうに行った。


気を使わせたらしい。


「いらっしゃいっす。」

笑顔がおもわず出た。

「今日も饅頭を買いに来た。」

棚を見ながら華奢な竜人が少し笑った。


魔王護衛官の真紅の軍服の長い裾から覗く青白い鱗のしっぽが少し揺れてるのが見えた。


可愛い、可愛すぎだろうあの青い髪からのぞく青白い膜の張った耳をアマガミしたい。


不味い……俺は女の子が好きなんだぁ〜。


「ムーさんは本当に甘いもんが好きっすね……女の子みたいっす。」

もう諦めようと思って自虐的に聞いた。

攻撃されても文句言えないっす。


「……すまん、私は女なんだ。」

ムーさんが申し訳なさそうに頭を下げた。


お、女の子!?


「ええ〜!! 竜人なのに華奢だと思ったっす! 」

俺……変になったわけじゃなかったんすねと思わずつぶやいた。


ムーさんが困惑してるのが見えた。

わー、不味いこれじゃ不審者だろう?


あとで聞いたら一文字に伸ばす愛称は竜人族では女の子の愛称なんだそうだ。


竜人族、奥が深すぎる……さすが断崖絶壁に里があるだけあるわ。


「華奢だと……」

ムーさんが困惑したままつぶやいた。

「あ、すみませんっす。」

慌てて謝って武人に華奢は悪いっすよねと付け足しておく。

心はムーさんにどんなアピールしようかとばかり思ってるゴママンつけるか……

「いや……」

ムーさんが悲しそうな顔をした。

「あ、お詫びにゴマアンマンつけますよ。」

ほ、本当にゴママンつけよう、好きな娘泣かしてどうする、俺。


俺は驚いた振りをした。

青白い鱗の竜人の空色の眼がきれいだ。

ゴママンを取り出そうと保温棚に向かった。


「気にすることはない、私の精進が足りぬせいだからな。」

手を伸ばしたところでムーさんに手を掴まれた。

「なんで華奢だと精進が足りないとなるんっすか?」

むしろ俺的にはあの華奢な身体を抱きしめたい。

それより手が手が……。

「筋肉がたりぬ貧相な身体と言うことだろう。」

ムーさんが苦笑した。

そうか竜人はそうにかんがえるのか?

「ムーさん……そのままで可愛いっす」

もう一方の手でムーさんの柔らかい手を握って思わず笑った。


可愛い可愛すぎる。


「か、可愛くなど……た、たくさん饅頭も種類があるのだな。」

ムーさんがプイっと横を向いた。


て、てれてる……可愛すぎる。

ムーさん俺を萌え殺す気ですねと言いながら手に頬ずりしたらであわて手を抜き取られた。


照れてる可愛い……もっとあんなことやこんなことしたい。


「人界にはもっとたくさんあるっす」

俺はクーベルチュールマンを包みながら微笑んだ。

「そうか、食べてみたいな。」

ムーさんが手を握ったり開いたりして戸惑ってる。

「じゃ、こんど俺と一緒に行きましょうっす。」

俺はニコニコ笑いながら包みを渡した。

絶対に実現させる。

「……機会があればな。」

ムーさんがかすかに笑った。


あー反則〜可愛すぎる。


帰るムーさんを見送りながら内心あのしっぽと羽根がと悶えているとバイト君が帰ってきた。


「店長、不気味にゃ。」

七色お化けジュースの箱を床に置きながらバイト君が一言いいやがったっす。

「いい度胸っす。」

いくら落ちこぼれといえども魔の森の魔妖精……緑家本家の男に喧嘩を売るなんてほんとに。

「て、店長、冗談ですにゃ。」

「ふ、ふふふふ、何を今更。」

俺は力を放った。


店長のバカ〜。

叫ぶバイト君をつるに巻き付かせて陳列棚に吊るしておいた。


にゃーみゃーにゅーっうるさいっす。


「しばらく反省っす。」

俺はさてどうにムーさんを落とすか考えながら視線を逸らした。


なんとかデートの約束を取り付けて人界に行った。

転移門からでると相変わらず身のこなしの美しいムーさんが受付の犬獣人と話していた。


「ユリシスさん。」

ムーさんが綺麗な動作で頭を下げた。


ノースリーブの青いチャイナ服かアオザイのような上着に細身のズボンを着ているムーさんはあきらかに魅力的な身体の線が出ていて……他の男に見せたくない、俺は眉をひそめたらしい。


しかし、人間化すると女性とすぐわかるな。

スレンダーなのに胸があるんだなとわけもなく思った。


ムーさんが不安そうな顔をしている。


「ムーさん、服を買ってからにしますか? 」

とりあえず、その恰好は俺と二人だけの時にしてほしい。

「まずいだろうか? 」

いつものように尻尾もないのにあきらかにムーさんの尻尾がだらりと落ち込んでる幻がみえた。


俺は人界にはなれてるから普通の格好だけど……

これはプレゼントのチャンスっす。


「竜人族の服はこっちのアオザイがチャイナドレスっぽいから目立ちますよ。」

魔族連絡会の犬獣人職員が書類を揃えながら言ったっす。

「……その姿見せたくないっす。」

魅力的なムーさんに人族の男が何かしたら蔦で締め上げそうっす。


「そうか……どこで買えば良いのだろうか? 」

そのまま魔連から出そうになったのであわてて亜空間から上着を出して肩にかけたっす。

「外は寒いっす。」

そう言ってドサクサに紛れて肩を抱いたっす


自動車がいつも通り田舎道を走っていったっす。


「すごい生き物だ。」

ムーさんが驚いたようにいった。


これは……お嬢様……超箱入り娘! いい……いいっす。


「本当に箱入りっすね。」

俺色にそめてやれるっす。


確か緑家の分家の奴がしてるブティックが有ったはず……


ライダースジャケットに膝丈の黒のワンピース……いい、ムーさんの長い足がショートブーツにつつまれたところなんて鼻血吹きそうっす。


店長、い、良い仕事してくれたっす。


渋るムーさんを説き伏せてなんとかプレゼントに出来たし……ムーさんの華奢な肩をだきながらあわよくばこのあと服を脱がせる事態まで行きたいと妄想した。


「ユリシスさんはなぜコンビニの店主をやっているのだ。」

ムーさんが唐突に俺を見上げてきいた。

おお、それっすか? もちろん事情が有るんっすよ。

「俺は……弟とちがって宮仕えは向いてないんっす、親父もわかってて魔王様の親友(アクゆう)として取り入った事だけで満足何っすけど、周りがうるさいっす……」

俺は暗い目をした。


 アウグスゼータ(異母弟)がさっさと当主になってくれれば本家の風通しも良くなるんだが……緑分家の純妖精の血をひき、24(コンビニ)を開くときにつてのある人界から手伝ってくれた俺よりよっぽど当主にふさわしい異母弟を思い浮かべた。


 確かに俺は下級人型魔族の母を持つ本来なら跡継ぎ(次期緑本家当主候補)だが、人界で事業を展開する凄腕のアウグスゼータの方がふさわしいのに……老害どもめ……

 だから魔王(イルギス)があの魔王妃(よめ)のためにコンビニをつくるといったとき俺がやって出ていけば少しは黙ると思ったんっすけどね


「わ、私も全然家事魔法がダメで嫁の貰い手の無いダメ魔族だ、筋肉もつかないしな。」

ムーさんが慌てていった。

ライバルがいない……というよりムーさんにぶいからなぁ……おもにキャーキャーいってるのは女の子だけど……

「ムーさんはダメ魔族じゃないよ。」

むしろ可愛すぎてくらくらする。

本性が出かかってるっす。


「ありがとう。」

ムーさんが小さい声でこたえた。


すぐにあんなことやこんなこと……なんておもってたのでせっかくのデートがよく覚えていない。


今度こそリベンジするぞ!



黒のワンピース、ムーさんに似合ってたなぁ……正装もよかったから今度ヨコハマ中華街にでも誘おうかな……


デートの余韻に浸りながら品出しをしていると店の前の掃除をしていたバイト君が駆け込んできた。


「店長〜たべられるにゃ。」

ガクガクブルブルとふるえて俺の後ろに隠れる。

「食べられるってなんのことっすか? 」

俺が入口をみると誰かが入ってこようとしていた。


「あなたがユリシスどのか? 」

銀色のガチマッチョの竜人が渋い声できいた。


どーんと迫力満点っす。


あの軍服は……魔王軍精鋭の血赤の……なんでそんなのがここに来るんっすか!?


「な、なんの御用っすか? 」

俺は営業スマイルを浮かべた。

あきらかにひきつっている。

「ムーラシアが世話になった。」

威圧感そのままに竜人が頭を下げた。

ムーラシア?えーと竜人の知り合いは……

「ムーさんの……」

「ムーラシアの兄のアウスレーゼともうすものだ。」

竜人はムーさんのお兄さんらしい。

「俺……私になんのごようでございますか、アウスレーゼ様。」

間違ってもおにいさんなんて言っちゃいけないっす。

「うむ、緑家の惣領殿は立場をわきまえておられるようだ、はっきり言おう、今後ムーラシアと付き合ってもらいたくない。」

朗々と響く渋い声でアウスレーゼがいいはなった。


ムーさん……ムーラシアさんとの交際禁止ですか?

交際禁止どころかまだ付き合ってません。


「お断りします。」

でも、ムーさんを諦められる気がしない。

「そうか、いい度胸だ、ムーラシアの婿はたくましい竜人で無ければ許さんと思っていたが、惣領殿も根性があるようだ。」

ここで禍根を残さぬように息の根止めるか? とつぶやいて腰の大剣に手をかけるな。

「うにゃ、ぼ、僕、報せてきます!」

バイト君がレジの裏にある裏口からにげた。


帰ってくるかな?


「邪魔者もいなくなったようだ、惣領殿、覚悟めされよ。」

アウスレーゼが剣をスラリと引き抜いた。


俺、ここで死ぬんっすかね。

魔力だけはあるんっすけど。


剣が振るわれる。

俺は魔力を放った。


死ぬわけに行かない。


「ムーさんとイチャイチャしたいっす! 」

と叫んだ。

「許可しない。」

冷静に言って剣がふりおろされた。


「アウス兄上、おやめください。」

青白い鱗の竜人が槍で大剣を受けた。

「ムー、この不埒男が良いのか。」

アウスレーゼが力をこめる。

「ユリシスさんはいい人です! 」

ムーさんとアウスレーゼの視線に火花がちった。

「お前は男を知らんのだ、こやつはお前とイチャイチャしたいといいくさったのだぞ! 」

アウスレーゼが叫んだ。


一瞬おいてムーさんがまっかになった。


可愛い可愛すぎる。


「私の恋愛にくちをださないでください! 」

ムーさんが魔力を込めて槍で大剣を押し返した。

「お前の婿に軟弱な男はいらん! 」

アウスレーゼが魔力を剣に帯びさせ大技を繰り出す。

ムーさんが危ない!

俺はムーさんを蔦で巻き込んで抱きしめたそのままかばう。


衝撃が後ろから……


来なかった。


「やめよ、アウスレーゼ。」

静かなしかし高圧的な口調がした。


視線を上げると金髪碧眼の美形の男がたっていた。


「魔王陛下。」

「イルギス様。」

「陛下……」


魔界の支配者が圧倒的な迫力で大事そうに少動物系の魔王妃様をだきかかえてたっていた。


「ユリシス、おでんを買いに来た。」

イルギスが冷静な口調でそういってなんとなく力が抜けた。


「魔王陛下、妹ムーラシアは里に連れて帰りたく存じます。」

びしっとひざまづいてアウスレーゼが言った。

「なぜだ。」

イルギスが横目でアウスレーゼ様を見てから魔王妃様に何にするかささやいて耳をアマガミした。

このえろ魔王にめ。

「そこの軟弱者に妹を嫁にやるなど私の性に合いません。」

アウスレーゼが言い放った。

「そうか。」

どこか意地悪くイルギスが笑った。


ああ、お前はそういうやつだよ!


俺は蔦に魔力を伝わらせた。

アウスレーゼから大剣を跳ね飛ばした。


「くっ、やるな、だが負けぬ! 」

どこか嬉しそうにアウスレーゼが構えた。


やっぱり竜人は戦闘ジャンキーだよ……


「魔王さま。」

魔王妃様がガタガタふるえて魔王様イルギスにしがみついたのが見えた。


イルギスが嬉しそうに背中をなでてるのをみてむっと来た。


「この頑固兄貴〜俺はムーさん、ムーラシアを嫁にもらうんだ〜。」

その場の勢いで言い放ってたしかにそうしたいと思った。


ムーさんの花嫁姿を妄想したらケリが入って飛ばされた。

むせこんで激痛で気が遠くなった。


「ふん、軟弱者め。」

アウスレーゼの声がする。


「ユリシスさん〜! 」

ムーさんの声がする苦しいけど頑張らないと。

「ぐぇ。」

俺以外のうめき声……


苦しい息の下で見あげると青白い鱗の竜人が銀の竜人の脇腹にハイキックが決まったところだった。


どっと倒れる銀の竜人……ムーさんすげーっす。


「ああ、ユリシスさん死ぬでない! 私はあなたを愛している! 」

ムーさんが慌てて俺を支えた。

「俺も…… 」


死ねるか……こんないいところなのに……あんなことやこんなことするんだ……


「ユリシス、気絶する前にサンマつみれとゆで卵と大根とはんぺんとこんにゃくとウインナー巻きを2つずつ売れ。」

魔王のやつが鬼畜なこと言いやがって本当に気が遠くなってきたっす。



「本当に店長、死ななくてよかったにゃ。」

バイト君がバイトなくならなくてよかったにゃとつぶやいた。

「うん、良かったっす……ところで猫って高いところ好きっすよね。」

ニコニコと逃げたバイト君に迫った。

「うにゃ……あ、ムーにゃんいらっにゃいませ。」

バイトがひ汗をたらしていったので振り向いた。

「饅頭を買いに来たんだが…… 」

ムーさんがニコリとした。

「僕はバックヤードに行くにゃ。」

バイト君はいそいそとにげていった。


「何にするっすか? 」

そういいながら俺は恋人ムーにほほんで青白い鱗の顎を持ってわらった。

「今日はゴマアンマン…… 」

ムーが言いかけたところでゴマアンマンより甘い唇を貪った。


ああ、幸せだ。


まだ、あんなことやこんなことしてないけど。

こんどこそあんなことやこんなことするっす。


まだ、アウスレーゼが認めないと言ってるらしいっすけど、ムーのお母様も家の両親も味方っすから負けないっす。


「ユリシス、恥ずかしい。」

俺の可愛い恋人は赤くなって離れた。


可愛い可愛すぎるっす。


絶対に負けないっす。


絶対にムー……ムーラシアとラブラブ生活送るっす。


最大の敵は兄貴アウスレーゼじゃなくて魔界軍大将(ムーちちだとはその時俺は気がついてなかった。


本当に箱入り娘……認めてもらうまでの苦労を思い出したくないっす……


絶対に幸せになるっす。

駄文を読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] このシリーズを最近、発見してから、楽しく読んでます。 電波をキャッチしたら、続けてほしい作品です。 これからも頑張ってくださいませ。
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