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あるもうそう

不定期更新です。

設定描写など至らぬ点しかございませんが、楽しんでいただければ喜びます。

僕が今考えていることは本当に自分の思考によるものなのだろうか?

深海から沸き上がる泡のようなそれは間違いなく自分の思考回路の生み出した紛れもない自身のみの考えなのであろうか?



無論我々は外界に影響され蓄積した情報を組み立て出力するのみであって、真にゼロからの純粋なオリジナルなどこの身の内に存在しないということはわかってはいるのだが……


しかし僕はその問いを疑いを苦悩を払拭することができない。


もし僕の思考が。


他の人間が膨大な年月を費やしてその生涯の全てを捧げその人生の全てを注ぎ込み絞り尽くした結晶なのだとしたら……?




何の論理も演繹もなく浮かび上がるそれらに僕はいつも尻込みをする。


気持ち、感情ひとつをとってもそうだ。


これは本当に自分だけのものなのだろうか。


これはだれか別の人間の粗悪な模造品であり、もっと美しく崇高な、原型としての尊厳を持ち合わせた"心"とも言うべき存在が己でないどこかにあるのではなかろうか。


あるいは完璧に同一に模倣または受信しているのだとしても。


それはクローンのようなもので元々の持ち主にしか使役する権利などありはしないのではなかろうか……。



否、そんな訳は無い…。


これはただの頭のおかしい妄想、屁理屈だらけの主観、思春期における自意識の増長の産物でしかない。後で思い返してみれば自分でも失笑ものの、逃避じみた戯言なのだろう。


卑しく愚昧で救いの無い僕の何の根拠も所在も不確かな自己判断であり他者や自分を貶めているに過ぎない。


そして論理的に、常識的に考えて有り得ない。


自分で思考し思案し思慕しているという確率の方がずっと高いのだ。



だが、それはどこまでそう言い切れるのだろう。


一単語、相手と偶々タイミングよく重なるというのは自然に、当然にあることだろう。二、三語、または同じニュアンスの台詞が対話者と重複するということも日常の些事だ。



しかし、それが。

一台詞、一字一句、句読点の位置まで全て同じだったら?二台詞、三台詞、原稿用紙一枚分までそれが及んだとしたら?



どこまでが偶然の範疇で、どこまでは僕を肯定してくれるのだろうか。





そればかりはどうしても浮かび上がらない……。



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