とばされた日7
その日の夕刻も風呂から上がった俺の部屋に、ショーイがやってきた。
ぶっちょう面で、でもそれはいつもの事。
俺はショーイのそんな顔にも慣れて、お構いなしに招き入れた。
サーラがオレンジジュースに似たドリンクを用意してくれた。
俺がそれを一気に飲み干すと、それを待っていたようにショーイが話を打ち出した。
「今日はなにをしていた」
絶対に断られることがないだろうと確信した、命令しなれた言い方。
これもいつもの事で、俺は気にせづに今日の報告をした。
そろそろこの宮殿生活にも飽きてきた。
話す内容もパターン化してきてしまったし。
ショーイは俺の退屈そうな顔をしばらく見ていた。
時折、ショーイはこんな視線を向けてくる。
彼の眼はいつもどこか憂いを帯びている。
国を支えるという大きな役割を担う彼は、どこか他人と違う世界でものを見ているように見えた。
そして、いつも何かが足りないという顔をしている。
ショーイは唐突に話し出した。
「おまえが今、ここに居ることに疑問があるのだろう?」
ハッとした。
それは俺が一番聞きたくて、けれどなかなか聞き出せなかった疑問。
とうとう話してくれる気になったのか?
身を乗り出した俺に、ショーイは頷いた。
「時期を待っていた。お前に話して、そして考えられる余裕ができるまで。今は話そう。お前がすっと、不思議に思っていることを。そして私のことを…」