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この世の果てまでも  作者: Ata
とばされた日
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とばされた日2

気絶していたらしい。

傍で慌てたような声に目が覚めた。

まだボーっとした頭で目を開けないまま耳を澄ませば、聞いたことのない言語が飛び交っている。

俺は慌てて目を開けた。

「*****!」

すると更に何やらを叫ばれた。

焦点がハッキリするまで瞬きを繰り返した。

次第に周りの様子が伺えてくる。

まず火が見えた。

次に人だ。

幾人もの人が、仰向けに倒れている俺を上からのぞき込んでいる。

年齢も様々。

若い奴からおっちゃん、おばちゃん。

あれ?

でも皆外人さんだ。

しかし寒い。

めちゃ寒い。

この年明けの真冬に水につけられたような寒さだ。

否。

“ような”じゃない。

俺はマジで濡れている。

俺は身体をふるわせて起きあがった。

とたん周りからざわめきが起こる。

「***?」

横に腰を下ろしていた男が声を掛けてきた。

いや、わかんないって…

俺は寒さに歯をカタカタいわせ、身をちじめこませながらその場に座る。

そしてもう一度、今度はハッキリと周りを伺った。

夜だ。

火はどうやら松明らしい。

俺は何故かびしょ濡れで、群衆の中心にいる。

とりあえず服は初詣に行った時と一緒だ。

ここは町中らしい。

人の隙間から家らしきものが見える。

“らしき”ってのは、それがみんな土色の煉瓦で屋根がボロい枝だったからだ。

でも窓からは明かりが漏れてるし暖かそう。

地面は石畳ででこぼこしている。

で、水たまりができてんのは俺のせいか?

俺が今までいたアスファルトと電柱とコンクリートの町はどこにも見あたらない。

ついでに周りの奴はみんな目鼻立ちのハッキリした外人だ。

更に云えばみんなヨーロッパの中世あたりのようなボロい服を着ている。

「おれ、ボケたか?」

何が何やら判らず、取り合えす呟いてみる。

ちゃんと自分がココにいるのか確かめたかったからだ。

喜んで良いのやら悪いのやら。

どうやら俺はちゃんと俺らしい。

「***、***?」

また隣の男が話しかけてきた。

中年の茶色い目のおっちゃんだった。

「スイマセン。何いってんのか判りません」

だってマジ何言ってんのか判らなかんなかったんだもん。

正直に云ってやったら目を見開いて驚いている。

そりゃそうだ。

たぶんどこの言語かも判らない言葉で喋りやがるんだから。

この得体の知れない小僧が。

群衆の向こうから水音がした。

その水音の正体を確かめたくて、冷え切って力の入らない身体でヨロリと足り上がった。

またざわめきが起こる。

おっちゃんが慌てて俺を支えてくれた。

「******」

俺は会釈して感謝を伝える。

通じたかな?

なんにしても、とにかく俺はおっちゃんに支えられながら群衆をかき分けて水音に近づいた。

かき分けたってのは正確じゃないな。

モーゼの滝のように向こうから人が別れて道ができたんだから。

そして、その先には水が広がっていた。

石の低い階段のようなのが3段ほどあって、その下は石で人工的に造られた小さな池があった。

どうやら俺はそこから引き上げられたらしい。

呆然と池を見ている俺に、おっちゃんが心配そうな声をかける。

無理です。

理解不能です。

ココはどこですか?

そして俺はどうすれば良いのでしょう?

年始めにこれは無謀ですよ。

神様……

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