表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MAX HEART!  作者: ユウ
――一回戦目の試練編!
11/58

予選トーナメント開催!

 遂に今年度の、リトルウォーズ開幕の言葉が発せられた。

 リトルウォーズは今年で二十三回目の大会となる。第二十回の大会から王者の歴史に名を連ねるのは、T,O,テイカーの名。どこのチームも王者チームの優勝阻止を目論んでいるのは当然である。

 ワタル達のチーム「マックスハート」も今年の歴史に名を刻もうとするチームの一つ。

「ヒロキ、ちょっと」

 ワタルはヒロキに声をかける。どうやら予選第一回戦の組み合わせを決めるとの事で、チームリーダーが集まるらしい。

 人の多さも凄いものがある。待ち合わせ場所を決める為に、ワタル達は話し合う。

 結果的に少し大きめの木が、近場にあるという事で、そこで待ち合わせる事にしてワタルは大会本部へと足を運ぶ。


 大会本部にいるのはチームリーダーだけであり、ついさっきまでいた場所よりは落ちついている。

 しかし、リーダーだけの割に目測で数百はいる。と、いう事は最低でも数百のチームが参加しているわけである。

 まずは大会本部の役員黒子から、用紙を一枚受け取る。AブロックとBブロックと書かれた紙だ。

「まず、今大会の出場者数は例年に比べ、非常に多い。なので、今大会はブロック分けを行い予選トーナメントを開催します」

 確かに今年の参加者数は多いとワタルは感じる。子供の頃に見ていた大会に比べ、人数は倍以上に増えている。ある意味では、それだけこのジャンルを注目する人が増えたという事にもなる。

「渡された紙に「A」と「B」の文字があると思います。赤丸で印が付けられているのが参加するブロックのグループになります」

 ワタルの用紙にはBに赤丸がついている。つまりワタル率いるマックスハートは、予選トーナメントにおいてBブロックでの出場となるらしい。

 用紙で自分のブロックを確認していると、大きな歓声がわき起こる。

 なんの騒ぎかと確認する為に、近場にいる人に声をかけてみる。

「なんだ、どうしたんだ?」

「あ、あぁ。どうやら王者チームと三崎のチームのブロックは分かれたらしいよ」

「どっちがどっちなんだ?」

「王者チームがAで、三崎のチームがBらしい」

 三崎――あの天才がいるFエンゼル。

 と、いう事は、大会ルール次第によってはFエンゼルとの戦いは避けて通れない。

 トーナメントの組み合わせにおいては、予選トーナメント中にも当たる可能性がある。

「お静かに! 係の者に従い、速やかにブロックごとに移動を開始してください!」

 黒子の指示に従い、移動を開始する。Bブロックは大会本部から出て、すぐのところにある体育館らしき場所へと誘導される。

 体育館の中は、空調がない。ほとんどサウナ状態であり、一瞬で汗がしたたり落ちる。周りを見るとほとんどの人間が汗まみれである。

「やぁ、君も同じブロックかい?」

 声のする方を見ると、三崎が立っている。周りが汗まみれだというのに、一人だけやけに涼しい顔をしている。

 そんな涼しい顔が、暑さで頭に血が上っているワタルにとっては、少しの苛立ちを感じさせる。

「残念だったな。王者チームと、さっさと対戦できなくてよ」

「なぁに、このブロックトーナメントを勝てば良いだけの話さ」

 さすがは、優勝候補チームというところか。やはりどこか余裕がある。

 決して自惚れではない、絶対の自信があるのだろう。

「恐らくだけど、ブロック分けしてさらに分けられると思うよ」

「どういう意味だ?」

「Bの1とか2とかで分けられるかもしれない、って事さ。実際に前大会にもその手法が使われたしね」

 三崎の予想は正しかった。ブロック分けしてさらに分ける。そして更に分ける。

 つまりはBの1と分けられたとしよう。そのBの1の1ブロック。そこが予選トーナメントらしい。

 そこからAとBを合わせたベスト8戦、さらに選別されたベスト4による総当たりリーグ戦。最後にリーグ戦にて上位二チームによる決勝戦へと進むのである。

「ふむ……どうやら僕はB2の2ブロックらしい。君は?」

「オレサマはB1の1だな」

「ふーん。どうやら君との戦いはしばらく無さそうだな」

 相変わらず、自分の言う事だけ言って、三崎は人混みの中へと消えていく。

 とりあえず優勝候補チームと、いきなり当たらないという事は良い事である。早い段階に叩けるのなら叩いた方が良いが、それは向こうとて同じ事だ。

「それでは、B1ブロックの方は、一回戦目の相手を決めますので集まってください」

 このブロックを担当する黒子が呼びかける。恐らくは先ほどの黒子とは違う人物であろう。顔はひらひらした布で隠されている為に見えず、どの黒子も根本的に声が似ている為に判別が難しい。

 声から察するに今のところ見た黒子は、全て男であろうと推測できる。もしかしたら全員同一人物かとも思えるが、複数人が一堂に介しているところを見ると、その説はない。

 あるいは全員、兄弟なのか。もしくはクローン人間なのか。いずれにしても黒子の正体は謎に包まれている。


 何の変哲もない、木箱の中身を順番に取っていくように指示される。

 その木箱の中には紙が入っていて、この紙にも番号が書いてある。ワタルの引いた紙の番号は「B1・1・4」と書かれている。

 トーナメントの法則からいくと「B1・1・3」のチームが恐らく初戦の相手になるのだろう。

 次々にチーム名が書かれていく掲示板を見ると、対戦相手の名前は既に書いてあった。

 リバティーズ――それが、マックスハート初戦の相手になる。

 ワタルは衝動にかられて、リバティーズのリーダーを探す。が、顔もわからない相手を探す事に意味はない事に気づく。対戦時になれば嫌でも顔を合わせるのだ。

 十分程すると、全てのチームの配置が終わったようである。ワタルのいるブロックにはパっと見て、強いチームはいない。「いない」というのは、いわゆる前大会などで注目するべきチームがいないという事である。

「B1およびB2の1ブロックにいるチームのみなさんに連絡をします。日程の関係により、該当するチームの方は明日よりトーナメントを開始します。場所の詳細につきましては速達でご自宅の方へ送らせていただきます」

 どうやらワタル達は、明日から試合の開始みたいだ。これで学校の方は二日の欠席が決まる。

 いずれにしても、ルール説明もトーナメント表も決まった。ここにいる理由はないと判断して、ワタルはヒロキ達との待ち合わせ場所へと向かう。


 外に出ると、風がある分涼しさを感じる。密閉された体育館よりはマシとも思える。

 この数分の間に、大分人が減ったらしく、ヒロキ達を見つけるのは容易だった。

「あ、兄貴。どうだった?」

「いや、なんとも……明日から試合開始らしい」

「明日から!?」

 驚くのも無理はない。実際の予想も、もうちょっと間をおいてから、やるものだと思っていたからだ。

「それで、どこでやるのかな?」

「オレサマの予想だが、戦いの場は関東方面のどこかだろうな」

「どうして?」

「AブロックとかBブロックとかで分けられたんだが、関西方面のチームはAブロックで、関東方面のチームはBブロックに意図的に集められてる」

 これは長年見てきた、ワタルの予想である。

 事実、王者チームは関西のチームである。ワタルや三崎のチームは関東にある。勿論、これはただの予想であり、本当にそうとも限らない。

 だがそうしなければ、例えば関西方面のチームが関東の会場で戦う場合など、移動の方法が非常に大変という事を考えると、当然の処置なのかもしれない。

「それで会場とかって細かい事は、多分オレサマの家に送られてくるみたいだ。だから、連絡の為に電話番号とか教えておいてくれよ」

 ヒロキの番号は既に知っているので、かなの番号だけを教えてもらう。

 そして三人は、長い帰宅の路へと向かうのだった。ここからの移動料金は全て大会本部が負担してくれるのが、良いところなのかもしれない。



 その夜――速達は届く。

 時間は、午後十三時。場所は東京後楽館とうきょうこうらくかんの近場にある、大会専用の広場である。

 ワタル達の住んでいる場所からは、そう遠くはない。速達の内容を伝える為に、ヒロキとかなに連絡をする。

 ついに、第二十三回リトルウォーズ――予選トーナメントの開催である。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ