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エピローグ1









「ねー、おかあさんは、おとうさんの、どこがすきー?」


 編み上がったばかりの髪を振り向けて、ララが言った。栗色の毛先がくるんとしている。


「そうねえ、優しくて可愛くて格好良くて、面白くて努力家なところかしら。勇敢だし頑張り屋さんだし、たくさん好きなところがあるわ。ララはお父さんのどこが好き?」


「ララもねー、おとうさんのやさしくて、かっこいいところ!」


「一緒ね。さあ、おめかしができたし、優しくてかっこいいお父さんに会いに行きましょう。そろそろお迎えの馬車が来るわ」


 国立魔法研究所の所長が手配してくれた送迎馬車に乗り、魔法アカデミー会館へ向かった。


 今日はウェズリーの晴れ舞台だ。ウェズリーが発明した、薄れにくくメンテナンスが楽チンな魔法陣が世界特許を取り、その功績を称えるパーティーが開催される。

 気軽な立食パーティーなので是非と、私とララも招待されている。


 パーティーの冒頭にウェズリーの挨拶があった。壇上に立ったウェズリーに、ララが小さい手をめいっぱい振った。


「本日はこのような素晴らしい会を開いていただき、誠にありがとうございます。この度世界特許を取得した、精霊の力を取り込むシステムの魔法陣ですが……」


 少し専門的な話をしたあと、ウェズリーは改めて会場の皆に感謝の意を述べた。


「私に第二の人生を歩ませてくださった国王陛下をはじめ、迎え入れてくださった所長、研究に協力してくれた所員の皆さん、研究環境を整えてくださった皆さま、本当にありがとうございます」


 そして、とウェズリーは真っ直ぐに私を見た。


「愛する妻のジェラルディン。あなたがいなければ、いまここにいる私は存在しなかったと断言します。あなたの笑顔が、私の原動力です。いつもありがとう、心より愛しています。ララ、私たちの下に生まれてきてくれてありがとう。宝物を授けてくれた妻に、日々の幸せに感謝します」


 最後に今後の研究への意気込みを語り、ウェズリーの挨拶は終わった。

 歓談タイムとなり、家族のところに戻ってきたウェズリーと一緒に挨拶回りをした。ララが飽きてぐずりだしたので、社交の続きはウェズリーに任せて、ララを連れ出すことにした。

 アカデミー会館のすぐ外に小さな公園があるのだ。


「ジェラルディン」


 会場を出たロビーで呼び止められた。


「モーリス……!」


 驚きのあまり一瞬固まった。


「来ていたの? 驚いたわ。久しぶりね!」


「お久しぶり。世界特許品だからね。是非とも我が国にも輸入したいと、交渉のために遣わされたんだ。君とウェズリーに会いたくて、名乗り出たんだけどね。いま少し話せるかな?」


 相変わらずスマートな物腰で、王子さまスマイルも健在だ。


「あっ……娘がぐずっていて、すぐそこの公園に行くところなの。付き合ってくれる?」


「はい、お供させてください。お姫さま、一緒に行ってもいいかな?」


 モーリスはララに目線を合わせて、にこりとした。機嫌が悪いので心配したが、ララのテンションが爆上がりした。


「いいよ! おかあさんの、おともだちでしょ。わたしはララっていうの。あそぼ!」


 私の手を離してパッとモーリスの手を取ると、引っ張って歩き出した。その積極性は誰に似たのだろう。

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