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証言

 二日間の監禁を経て、三日目の朝に父が来て言った。


「少し痩せたか、ジェラルディン。今日は出かけるぞ。大聖堂に人を集めている。今回のことをお前がどのように悔い改めるのか、皆に話せ。それによって今後の処遇を決定する」


 モニークの話と違う。斬首刑が決まっているというのは、私に意地悪をするための嘘だったんだろうか。

 弁明の場が与えられたことに希望を抱いた。


 王城から馬車で移送され、大聖堂へ到着した。すでに仰々しい警備が配置されている。

 大聖堂前の広場には大勢の人が集まっている。平民たちだと服装で分かった。


 護衛に囲まれたなか、馬車から降りて聖堂へ入った。手を取る護衛騎士のアランの顔が険しい。普段はへらへらしているのに。


 大聖堂内にも大勢の人が集まっていた。こちらは貴族たちだ。綺麗に着飾って、観劇に来ているような雰囲気だ。

 最前列でひときわ大きな扇をファサファサ揺らしているのは義母だと分かった。薄ピンク色のドレスを着たモニークが肩を並べている。


 左右に分かれた会衆席の間を通り、祭壇前に立った。真っ白いシンプルなドレスに着替えさせられている私は、まるで供物のような気分になる。


「では今から、王女ジェラルディン・シャーロット・マクスウエルの申し開きを行う」


 国王自ら音頭を取って、私を弾劾する会が始まった。法務官長が罪状を読み上げる。国家転覆を企むウェズリーに協力した罪らしい。

 しかしそれは恐ろしい魅了の魔法を使うウェズリーに洗脳されていたからであると。

 次々に証人が呼ばれ、登壇した。


「ジェラルディンさまの個人的資産の月々の出費の大半は、ウェズリーへ使われていたようです」

「ウェズリーが夜な夜な歓楽街に出入りし、暴力行為に明け暮れていたという裏付けがあります」

「部屋には無数の黒魔術書がありました」


 どれも事実だが曲解だ。証人は当然国王側の人間のため、いかにウェズリーが危険人物かを強調して喋る。


「本性を隠し、ジェラルディンさまをたぶらかして、何年にも渡り反逆の機会を狙っていたのでしょう。別邸の餌やりから戻られたジェラルディンさまは、いつも少し様子がおかしかったように思います」


 部屋付きの侍女が深刻そうに述べた。


「では次の証人、ドランスフィールド公爵家のモーリス・ラッセル・ストライド」


 侍女と入れ替わりに、颯爽と登壇したのはモーリスだった。

 国の防衛機関の高官としての正装でビシッと決めている。その輝きを目にして、はっとした。そうか、モーリスだ。

 どうして急にウェズリーの素行が皆に知れ渡ったのか、謎が解けた。

 部屋に置いてきた影武者ちゃんが見つかったからだと思っていたが、モーリスが報告したのだろう。

 モーリスはウェズリーの素行調査をしていたのだ。判断材料が揃うまでは他言しないと約束したので信用していた。

 誰かに報告する前には必ず私に言ってくれるはずだと、勝手に思い込んでいた。協力関係にあると思っていたから。


 でも実際、裏切っていたのは私だ。モーリスに協力し、婚約を承諾したふりをして、裏ではウェズリーと駆け落ちする予定を組んでいた。

 先に裏切ったのは私だ。裏切られたと、ここでショックを受けるのはお門違いだろう。


 凛々しい表情で口を開いたモーリスの言葉を待った。

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