婚約決定
それから数日後、父から大事な話があると呼び出された。何だろう、心当たりがありすぎてドキドキする。
「ジェラルディン。ドランスフィールド公の息子、モーリスとの婚約が決まった。結婚相手として申し分ないな?」
その話! ドランスフィールド公爵がストッパーになってくれるんじゃなかったの!?
婚約がすでに決まったなんて。
「私には」
他に好きな人がいます。と言えるなら言いたい。
「もったいない御方です」
「ジェラルディン。王族たる者、常に上を望み、最上を選択するのだ。謙虚は美徳でないぞ。婚約においての決めごとや手続きは、こちらで行う。式で着るドレスなどは、お前たち二人で相談して決めるが良い。モーリスとなるべく顔を合わせて、親睦を深めるように。もう勉強や習いごとはしなくて良いからな」
過密スケジュールから解放されるのは朗報だが、私に拒否権はない。父の決めたことは絶対だ。
モーリスは公爵令息で、ゆくゆくは公爵家を継ぐ。偉い役職にも就いている。金髪碧眼の美形で、社交スキルが高く、気配り上手でシゴデキで魔法使いだ。誰がどう見ても、非の打ちどころがない、最上級貴族。
私にはもったいない、という以外に反論できる要素がない。
「明日の朝、さっそくモーリスがお前に会いに来るとのことだ。よろしく頼むぞ」
うなだれるようにお辞儀をして、王の間を後にした。
早すぎる。王女の結婚として年齢的には妥当だが、心の準備が。
いつか義母の嫌がらせの集大成として、難ありの相手に嫁がされる可能性はあると思ったが、まさかモーリスとの婚約がこんなにスムーズに決まるなんて。
公爵は本当に反対しなかったの?
とりあえず明日だ。明日の朝に来るというモーリスに会って、話をしよう。
ウェズリーは言ってくれた。私が他の人と結婚する前に、さらって逃げてくれると。今すぐは無理だが、少し待てば可能にしてしてみせると。
モーリスと婚約式を迎える前に、ウェズリーと駆け落ち? そんなことが本当にできる?
『ジェラルディン、心配しないで。現実的に考えて、可能にしてみせるから』




