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妖狐に魅入られる
ブラック企業社員のヨウカは、昨日も夜遅くまで仕事に追われていた。
そのせいで、連日のブラック労働で気力も体力もない彼女は、昼間、外回り中に人とぶつかってしまった。
「いたっ」
「あっごめんなさい…ほんとにすみません…では、私は急いでるので…」
彼女は、なるべく面倒にならないうちに、すぐに謝って、その場から離れた。
だから、彼女は見ていなかった─────ぶつかった男のことを…………
男は妖狐だった。今は人間に化けているだけの………
「あの子、かわいい…気に入っちゃった…」
妖狐は、疲れ果てて暗い顔をしながらも崩れることのないヨウカの美貌に惚れ込んだ。
「人間にあんなにかわいい子がいるなんて……」
妖狐にとって、美貌とは、武器と同じようなもので強さを表すものだった。
───────────欲しい───────────
それが妖狐の執着の始まりだった。




