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幼馴染と好きな人がかぶっちゃったんですけど?

作者: 猫の集会

 オレには、幼馴染がいる。

 

和政かずまさ 宏一こういち  六十三歳」

「…おい、拓馬たくま。勝手にオレの自己紹介すんなや」

 

 クラス中がどっと笑いで包まれた。

 

 新生活、やっぱり第一印象って大事じゃん?

 

 面白いって思われたいやん?

 

 

「ふふふ、松谷まつやくんって面白いね」

 

 早速、面白いいただきましたっ‼︎

 

 てかさぁー…

 

 隣の席の女子がめっちゃかわいいんだが?

 

 いや、これはもう…一目惚れってやつですね…。

 

 隣の席の女子は、間宮まみや 梨乃果りのかさん

 

 はっきりした平行ふたえに、透き通るような肌。

 

 そして艶々の髪を綺麗に結んでいる。

 

 全てが完璧やん。

 

 あー、最高‼︎

 

 隣の席とか、マジありがてぇ。

 

 そんな間宮さんとは、すぐに打ち解けた。

 

 

 

 

「なぁ宏一、オレ真夏のソフトクリームなみに、すぐに打ち解けたわ」

「は?どういうこと?」

「間宮さん、めっちゃ可愛くね?」

「あー、神ってる」

 

 だよなぁ。

 

 オレたちは、こんなくだらない会話をよくする。

 

 

 休み時間は、宏一がよくオレの席に来てやっぱりくだらない話をする。

 

 面白い動画あるとか、朝飯なに食ったとか。

 

 まぁ、休み時間にオレがトイレに行く場合もある。

 

 そんな時、宏一は…

 

 なにやらオレの席に座り熱心にお絵描きをしている。

 

 まぁ、くだらない落書きだからいつものようにスルーしてほっといたら…

 

 …

 

 次の休み時間

 

「おい…宏一、オレの机によくもこんなもの書きやがったな。担任が二度見したかんな」

「ギャハハ‼︎」

 

 めっちゃ笑う宏一。

 

「え、なんて書いたの?」

 隣の席の間宮さんが覗き込んだ。

 

 

『先生‼︎僕と今、結婚してください‼︎』

 オレさまより心を込めて。

 

 ってさ。

 

「先生、もうすぐ還暦やぞ?」

「ギャハハ」

 

 腹を抱え笑う宏一。

 

 なんなら間宮さんまでも吹き出した。

 

 

 まぁ、間宮さんが笑っているなら今回は、見逃してやるよ。

 

 

 間宮さんは、美人なのに気取っていなくて、なんなら懐っこい。

 

 美人猫なのに、ニャーニャー寄ってくる。

 そんな雰囲気だ。

 

 だから、間宮さんはすぐに宏一とも仲良くなった。

 

 

 で…

 

 オレは気づいた。

 

 

 宏一と間宮さんって…もしかして…、、、なんじゃないかって。

 

 

 放課後、オレと宏一は一緒に下校した。

 

 

「なー、宏一。」

「なんよ?」

「好きな人いる?」

「はっ⁈な、なに?いきなり恋バナ?」

「うん。しようぜ!恋バナ」

 

 …

 

 しばらく宏一は、空を見上げて…

 

「間宮さん」

 ってボソッと呟いた。

 

 やっぱりか…

 

 やっぱりあの二人…両思いやん。

 

 

「なるほどなー」

 

 …

 

「拓馬もか?」

 

 ⁉︎

 

 自分から恋バナしようって言ったのに…言わないのもな…

 

 

「オレも好き。なんなら一目惚れ」

 

 宏一は、ため息混じりで

「マジかぁー…」

 って頭を抱えた。

 

 そんな宏一にオレは、とあることを提案した。

 

 争奪戦しようぜ?って。

 

 間宮さんの心の奪い合い大作戦‼︎

 

 

 オレは間宮さんの隣だから、すぐ連絡先が交換できた。

 

 でも、宏一は昔からおくてだからな…

 

 

 放課後、いつも恋バナ情報交換することを決めた。

 

「オレ、連絡先ゲット‼︎」

「はぁ?マジか…はえーな」

「だろ?」

 

 そう言って、得意げに笑って見せた。

 

 

「じゃあ、オレも明日勇気だして聞いてみよっかな」

「うん、そうしな」

 

 

 次の日、オレはわざわざ休み時間にトイレに行き、宏一に連絡先を聞くチャンスを提供してやった。

 

 オレっていいやつやんけ。

 

 で、無事連絡先ゲットしたくせに全然連絡とってないっていうから、オレは昨日電話したよ?と煽った。

 

 おはようとかおやすみでもよくね?って言ってやった。

 

 そしたら、それいいじゃんって宏一は納得していた。

 

 

 だから早速、おはようとかおやすみのやりとりはじめましたって宏一から連絡が入った。

 

 冷やし中華はじめましたってくらいな、あーそうですか情報。

 

 

 日に日に宏一は、間宮さんと仲良くなりつつある。

 

 しかし、オレはもっといい条件で間宮さんのおそばにいられる。

 

 毎日隣だもんねえ。

 

 そりゃ、オレの方が一歩リードなんよ。

 

 交流ならばね。

 

 でも、愛の深さで言ったら…

 

 オレは…一センチレベルなんよね。

 

 で、宏一は…たぶん溺れるレベルの深さなんよ。

 

 まぁ、ある意味溺れてるやん?

 または、ぬまるっていうんかね?

 

 オレも溺れたいし、ぬまりたい…です。

 

 

 でも…

 

 …

 

 いや、溺れましょうよ?

 

 てなわけで、オレは宏一に言った。

 

「今夜、頑張ってデート誘っちゃおうかな。そんで告白する」

 って。

 

 宏一は、マジかって驚いていたけど、でも言ってくれてありがとうって笑ったんよ。

 

 その笑顔みてたらさ…なんか…ね。

 

 だから、夜八時に一緒の時間にデート誘っちゃおうって提案した。

 

 宏一の顔が一気にぱぁっと、明るくなった。

 

 暗い部屋が明るくなる。

 そんなくらいの勢いだった。

 

 

 で、八時。

 

 オレは携帯を置いて風呂に直行した。

 

 デートのお誘いは?って思いますよね?

 

 いいんです。

 

 だって…

 

 …

 

 

 のんびり湯船に浸かり、九時に携帯をみた。

 

 …

 

 うん、やっぱりきてる。

 

 宏一からの着信。

 

 震える手で宏一に電話をかけた。

 

「もしもーし、」

 って明るく。

 

「あ、拓馬!なにしてんだよ?」

「えー、風呂入ってた」

「はぁ?デート誘っちゃおうって言ったの拓馬じゃん!どうすんだよ、オレデートの約束しちまったじゃん。ちなみに拓馬からは、連絡来てないって間宮さんが…」

「あー、うん。そもそもオレ、宏一ほどぬまってない。だから、オレが背中おしてやったんじゃん!おめでとな」

「そういうことかよ?なら…デートしていいの?」

「あったりめーじゃん‼︎頑張れよ‼︎」

「おう、ありがとな」

「ん」

 

 

 電話でよかった。

 

 オレの表情…たぶん上手く笑えてなかったはず。

 

 ほんとは…

 

 オレもめっちゃ好きだったんだかんな…

 

 でもさ、お互い両思いなのを知ってて無理矢理こわして入り込むなんて、オレにはできねーって。

 

 

 これでよかったんだよな。

 

 うん。

 

 そうに決まってる‼︎

 

 オレにもし彼女ができたら一番に宏一に報告しよっと。

 

 オレが間宮さんへの気持ちがなくなったら、そんときは、宏一に打ち明けて絶対間宮さん幸せにしろよなって、笑っていうんだ。

 

 

 おめでとう。

 宏一、間宮さん

 

 

 

 ♡

 

 

 

 

 おしまい。

 

 

 

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