かわいい伴侶
4人で眠ることになりました!
ヴィルの隣をエヴィが譲らないので、ノィユ、ヴィル、エヴィ、トートの順に横になる。ノィユじゃなく、エヴィが嵌まって落ちそうだ。だいじょぶかな。
「あのあの、エヴィさまが落ちたら大変なので、僕、よかったら交代……」
「待て! 僕をさみしくひとり寝させたいのか──!」
いつもやさしいトートの目が憤激に吊りあがってる。ごめんなさい。
「ちょこっとでも手を出してきたら離縁だから」
エヴィの目が本気だ。
「エヴィ──!」
トートが泣いてる。
絶対『めちゃくちゃ燃える』思ってたよね!
ヴィルに腕枕してもらって抱っこしてもらって眠るのは、夢っぽく2日で終了した。
主に、というかおそらくほとんどノィユがえろいのがわるい。
中身30代なんだよ、ゆるしてよ──!
懇願は言ったら犯罪なのは解ってる!
ゆうわくって、そういう誘惑じゃないよね?
も、もしかして、おねだりさせて『だが断る』っていうプレイ!?
きゃ──♡
燃える頬に両手をあててもだもだするノィユに
「……この3歳児、絶対えろいこと考えてる……」
エヴィの目が死んでる。
「お、お兄さまを犯罪者にしたらゆるさないんだからなぁあァア──!」
がくがく揺さぶられました。
「も、もちろんです、エヴィさま」
「ちゃんと目を見て言ってみろ──!」
エヴィの蒼の瞳をのぞきこむ。
「えちえちしません!」
燃える頬で宣言した。
「く──! なんだそのえろい目は──!」
無自覚です!
ヴィルの腕枕がエヴィと奪いあいになって、ヴィルが両腕を枕にしなければならない事態に発展しそうなので、仕方なくノィユは涙をのんだ。
「あの、エヴィさま、どうぞ」
「く──! お兄さまの腕枕を譲るだなんて、なんて自制のできる3歳児なんだ──!」
同じ気持ちだと解ってくれたらしい。よかった。
「……え、いや……エヴィはトートが、してやれば……」
トートが向こうで号泣してる。
「……こ、今夜は、お義兄さまが、どうぞ……」
ぐしゃぐしゃに泣いてたからハンカチを差しだしてみた。
「うぅ、ありがとう、ノィユ」
本気で泣いてるよ! かわいそうだよ!
横目でトートを見たエヴィは、ぽふぽふトートの栗色の髪をなでて、ヴィルに向き直る。
「可愛い弟に腕枕お願いします、お兄さま♡」
ぽふぽふだけで懐柔されてしまうトート、せつない!
複雑そうな顔をしたヴィルが、エヴィに腕枕してあげてる。
「はぅあ──!」
鼻血を噴いたエヴィに、しゃっとハンカチを差しだした。
「……あ、ありが……」
口のなかで消えたけど、お礼を言ってくれた。うれしい。
これからはエヴィとトートのためにハンカチを大量にぽっけに詰めておかないと。
うむうむするノィユの隣で、ヴィルがとても複雑そうな顔をしているので、もしゃもしゃの雪の髪をなでなでする。
「たまには最愛の弟さんを、めいっぱい甘やかしてあげてね」
瞬いたヴィルが、目を伏せる。
「……ノィユは……」
首を傾げるノィユに、ちいさくヴィルが続けた。
「…………やきもち、は……?」
あぁ、胸が、ぎゅ──ってする!
ヴィルが可愛すぎて尊死しそうです。