表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/83

はじめての




 拍手するノィユに、真っ赤なトートが首を振る。


「……え、いや……手伝うなんて、当たり前……」


 ふいと目をそらすトートの隣で、真っ赤なエヴィがぶんぶん首を振る。


「べ、べべべべべべべ別に──!」


 何が別になのか全く解らないけど、ツンデレは、ばっちりだ!



 きゅ、と手を掴まれたノィユは顔をあげる。

 もしゃもしゃの雪の髪で顔を覆ったヴィルが、ノィユの指を握って、うつむいてる。


 こ、これは、トートを褒めたから、も、もしかしてやきもち──!?

 やきもちですか、ヴィル──!


「……寝台、俺も、動かした」


 ぽつぽつ呟くヴィルが世界の至宝です、ありがとうございます──!


「ヴィル、かわい──! だいすき──!」


 跳びあがるように抱きついても、ふとももだった!

 おひざからちょっと上がったけど、びみょうだ。足はぷらんぷらんだよ。


 もしゃもしゃの髪の向こうで目をまるくしたヴィルが、しょんぼりするノィユを、ふわりと抱きあげてくれる。



「……胸が、ぎゅっと、した」


 ほんのり朱い頬で、話してくれる。


「やきもち?」


 火照る頬で聞いたら、雪の髪の向こうで、藍の瞳が瞬いた。



「……これが?」


「はじめてのやきもち! ありがとう、ヴィル」


 ちゅ


 背伸びして、もしゃもしゃのお髭の向こうのほっぺに口づけたら、耳まで真っ赤になったヴィルが


 ぎゅ


 抱きしめてくれる。



「あぁあァアア──! お兄さまがぁあァアア──!」


 泣き叫んでノィユを引きはがそうとするエヴィを、頑張るトートが止めてくれてる。



「お、落ち着いてエヴィ、お義兄さまの前なのに、せっかくのお顔が──!」


「くぅう──! ぼ、僕は、僕は、ゆるさないんだからぁあァアア──!」


 泣いてるエヴィがちょっとかわいそうなのですが、ごめんなさい。



 ヴィルは、僕の、伴侶です。






 従僕の皆さんとトートとヴィルとエヴィとノィユの尽力で、4人で眠れる寝台ができました!


 2台の寝台をくっつけてるところにゆくと、ちょこっと嵌まってきもちわるいアレだよ。身体の重みでちょっとずつ隙間が広がって、寝台の間に知らない間に落ちるアレね。

 エヴィに嵌められる気しかしない。


 ちょっとびくびくするノィユを抱っこして、ヴィルが寝台のうえへと上げてくれる。やさしい。


「ありがと、ヴィル」


 きゅ、と抱きついたら、もしゃもしゃの髪の向こうで、藍の瞳を細めて微笑んでくれる。


 尊すぎて鼻血が出そうだよ──!



「あぁあぁ──! お兄さまがぁあアア──!」


 号泣するエヴィをトートがよしよししてあげたら、すんすん鼻をすするエヴィがかわいい。



 微笑んだノィユは、ヴィルを見あげる。


 ちょっと愛が過激だけど


「こんなに想ってくれる弟さんがいて、よかったね」


 意外に手触りが極上な、もしゃもしゃの髪をなでなでしたら、ヴィルの瞳が瞬いた。


「……そんな風に、言われた、の……はじめて」


 びっくりしたように見開かれた藍の瞳が、やわらかに細められる。


「ありがと、ノィユ」


 とろけるようにうれしそうに微笑んでくれるから、今度はノィユがやきもちをやきそうです──!








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ