表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします  作者:   *  ゆるゆ
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/87

いんぺいしたい




 ライバル店になるかもしれない相手の調査は大切だ。


 王都で一番、ということはネメド王国で一番のお店だと思うけど、最底辺バチルタ家がライバルになる気だよ──!


 ぷるぷるしながら、ノィユはこっそり拳をにぎる。

 お店に飾られた可愛らしい砂糖菓子を見渡したノィユは、ぴょこんと跳びあがった。


「……あ、あの、えと……うさぎさん」


 食べるときに『うう!』ってなるけど、買うなら絶対『うさぎさん』だ!

 絶対絶対絶対うさぎさんは譲れないけど、ちょっと恥ずかしい気持ちになって、うつむいてしまうノィユに、やわらかな声が降る。


「うさぎさんね」


 微笑んだトートが、ノィユの頭を撫でてくれる。


 からかいも、せせら笑いも、何にもない。

 ただ純粋に受けとめて微笑んでくれるトートの、透きとおる栗色の瞳を見あげたノィユの唇がほころんだ。



「エヴィさまが、トートさまを選んだ理由が、わかった気がします」


 愕然と見開かれた栗色の瞳がノィユを凝視する。


「……え……? えぇえ──!? ちょ、ちょっと詳しく──!」


 必死なトートが、かわいい。








 広大なネァルガ邸に帰ったら、玄関ホールでヴィルとエヴィとロダが迎えてくれた。


「エヴィが迎えてくれるなんて──!」


 トートが泣いてる。


「……お兄さまと一緒にいただけだもん」


 ふんと鼻を鳴らすエヴィのまなじりがほんのり赤い。

 かわいい。



「エヴィに」


 トートに木箱を差しだされたエヴィが首を傾げる。


「……え? どうしたの?」


 きょとんとするエヴィに、栗色の瞳をやわらかに細めてトートが微笑む。



「何でもない日に贈り物をされるとうれしいって、ノィユが。エヴィに喜んでもらいたいなって思って」


 差しだした箱できらめく白い花のお菓子に、目を見開いたエヴィの頬が、ほんのり朱に染まる。



「……も、もらって、あげ、なくも……ない」


 隣でロダがにこにこしてる。



「エヴィさまも大変おしあわせそうで、誠によろしゅうございました」


「…………も?」


 エヴィの声が低くなる。


 ちょっとびくっとしながらもヴィルに駆け寄ったノィユは、ちっちゃな手を伸ばした。



「ただいま、ヴィル!」


「おかえり、ノィユ」


 ふわりと抱っこしてくれるヴィルのもしゃもしゃの髭の頬に



 ちゅ



「ただいまの、ちゅう」


 熱い頬で、笑う。



「──っ」


 耳まで真っ赤になったヴィルが、ぎゅうぎゅう抱きしめてくれる。




「……はやく、大人に、なって」


 ちいさな声に、ぎゅうぎゅうヴィルを抱きしめる。



「うわあん! ごめんね、ヴィル……!」


 ふるふる首を振ったヴィルが、ぽふぽふ頭を撫でてくれる。



「……あ、あの、あの、もしかしたら、ちょこっとだけなら……?」


 燃える頬でささやいたノィユに、エヴィとロダがぶんぶん首を振った。



「お兄さまを犯罪者にする気か、キサマぁあアァ──!」


「だ、だめです、ノィユさま! こらえて! こらえてください、ヴィルおぼっちゃまも!」


 こくこくうなずくヴィルが、やさしいから、よけいにノィユは涙目だ。


 せっかく伴侶になれたのに、大切な伴侶に我慢を強いるなんて……!



「……あ、あの、ほんのちょこっとだけなら、ばれないんじゃ……?」



 中身30代なんだよ!


 ほんのちらっとだけだから……!







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ