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湖畔の誓い(ガウェインとランスロット)

作者: おいらもぐ

円卓の間で、私は親友の表情を窺っていた。アーサー王が立ち上がり、理想を語る声が響く中、ランスロットの瞳に浮かぶ苦悩を、私は見逃さなかった。


私は太陽の加護を受けた騎士。正午には誰よりも強くなる不思議な力を持つ。しかし、それすらランスロットの強さには及ばない。親友の力は私の及ぶところではない。だからこそ、その力に伴う苦悩もまた、計り知れないものなのだと、私には分かっていた。


会議の後、ランスロットが姿を消したとき、私は彼がどこにいるか知っていた。いつものように湖畔だ。太陽が高く昇り、私の力が最も強まる頃、私は彼を見つけた。甲冑を脱ぎ捨て、湖面を見つめる親友の後ろ姿。


「いつまでこうしているつもりだ、ランスロット?」


声をかけながら、私は剣に手をかけなかった。今この時、私は最強の力を持っている。しかし、ここで必要なのは剣ではない。友としての言葉だ。


「お前が湖を見つめるたび、何かを失ったような目をするのは知っている。しかし、戦場では誰よりも強い。……その矛盾を俺は理解できない」


「ガウェイン、お前は太陽の加護を受けた騎士だ。だが俺は……湖の底の闇から生まれた」


ランスロットの言葉に、私は深いため息をついた。幼い頃から共に育った親友。その強さの源が、実は深い孤独にあることを、私は今まさに理解した。私の力は太陽という明確な源から与えられた。だが、彼は闇の中から自らの力を見出さねばならなかったのだ。


その後、私は城に戻った。アーサー王とグィネヴィア妃の間を行き来するランスロットを、私は遠くから見守った。親友は耐えている。誰よりも強い騎士が、誰よりも強く自分の心を縛っている。


時折、私は彼の視線が妃に向けられるのを見た。その瞳に浮かぶ想いの深さに、私は胸を痛めた。太陽の騎士である私には、月明かりのように儚く深い、彼らの想いを理解することはできない。ただ、親友の苦悩を見守ることしかできないのだ。


ある夜、私はランスロットが湖畔でモルガンと話すのを目にした。隠れた場所から、私は二人の会話を聞いていた。モルガンがアーサー王への想いを語り、ランスロットに誘いをかける様子を。そして、親友がそれを断る瞬間を。


私の胸に、誇りが込み上げた。ランスロットは強い。しかし、その強さは剣の技だけではない。己の心との戦いに打ち勝つ強さこそ、彼の真髄なのだ。


翌日、私は再び親友と湖畔で向き合っていた。太陽が西に傾き、私の力は弱まりつつあった。しかし、私の心には強い決意が宿っていた。


「ランスロット、俺にも分かるようになってきた。お前の強さの源が何なのか」


私は親友の肩に手を置いた。


「俺の力は太陽から与えられた。だがお前は、己の心の闇と向き合い、それを乗り越えることで強くなった。その戦いは、俺の想像を超えるものだったに違いない」


ランスロットは微かに笑みを浮かべた。その表情に、かつての苦悩の影は薄れていた。


「ガウェイン、俺は戦い続ける。だが、もう迷いはしない。愛する者を守るために、どんな痛みも受け入れる」


「お前がそう言えるなら、俺は信じるよ。お前が最強の騎士であり続けることを。そして、俺はお前の友として、その背中を守り続ける」


湖面が夕陽に輝く中、親友は剣を掲げた。その姿に、私は確かな未来を見た。私たちは、太陽と月のように、互いを支え合っていける。


それからの日々、私たちは多くの戦場を共に駆け抜けた。私の力は正午に最強となり、日が傾けば弱まっていく。しかし、ランスロットの強さは変わらない。彼の心の中で永遠の光となった想いが、その力を支え続けているのだ。


今でも時々、私は親友が湖を訪れるのを見かける。太陽の騎士である私には、月光の下で佇む彼の想いを完全に理解することはできない。それでも、私は遠くから見守り続ける。それが、親友への私なりの誠実さなのだから。


彼が湖面に問いかける言葉を、私は知っている。本当の強さとは何か、と。その答えを私は未だ知らない。ただ、親友の生き様そのものが、その問いへの一つの答えなのかもしれない――。


私たちは今日も、太陽と月のように、互いの道を照らし続けている。

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