プロローグ
「死にたくない......」
「助け..て....」
血だらけの手を伸ばし僕の方へとみんなが手を伸ばしてくる。
僕は恐怖で足がすくみ動けない。
動けないでいると足を掴まれ引きずり倒される。
「こっちにこいよ」
そのまま地獄の底のような深淵に引きずられていく。
「許さない」
ここで目が覚めた。
最後の言葉がまだ耳に残っている。
辺りを見回すも周りはまだ暗く真夜中のようだった。
もう一度寝ようとしたが目がさえてしまい眠れなかった。
仕方がないので起きることにする。
顔を洗おうとすると水面に自分の顔が映る。
「ひどい顔だ」
目の下にはクマができ髪もボサボサだ。
ここしばらく毎日同じ夢を見てろくに寝られていない。
顔を洗うが沈んだままの気分は一向に晴れない。
辛い過去ほど頭に張り付いて離れない。
忘れさせてくれない。
「忘れたいわけではないけれど」
彼らのことを忘れるなど彼らも何より自分自身が許さない。
それに何より、忘れられない感触がこの手に残っている。
忘れたくても絶対に離れてくれない。
消えてくれない。
それでも、少しでも楽になれるなら。
『儂に譲る気になったか?』
「.………」
これもあの時から毎日聞かれる問いかけだ。
「お断りだ」
それだけ呟く。
『はやく全てを諦めれば楽になれるものを』
「.………」
『まぁ気長に待つとするか』
そういうと声は聞こえなくなる。
絶望の中、生きる気力もない。
そのくせ死ぬのも怖い。
ただただ日々を何もすることなく無為に過ごしていく。
これからどうするか、あてもなく。
ただ生きていく中に希望はあるのか。
きっとないと分かっていても…
きっとどこかにあるはずだ…
そう願い探すこともなく。
誰かがここから連れ出してくれるという希望の夢を思い描きながら。
今日もあの夢を見る。