神の遊戯 origin
「ここにしよう。暇つぶしにはちょうどいい」
ある日突然、その者たちはこの世界にやってきた。
彼らは遙か高き空の上に神界を作り自らを神と名乗り地上に住む者たちに向けて言った。
『この世界は私を楽しませるためのゲームだ』と。
そういうと彼らは東西南北に計四つの塔を建て四封と呼ばれる番人を配置し、7体の神獣を想像した。
『四封をすべて降し神界までたどり着いて見せよ。命をかけたこの遊戯に抗って見せよ』
これにより、ある者は武器を取り塔に向かい、またある者は今まで通りの日常を過ごした。
この遊戯において最前線で戦い皆を率いたものは勇者と呼ばれた。
魔の道を極め、魔王と呼ばれた男は愛する人と変わらぬ日常を送っていた。
塔の攻略は3つ目までは順調だったが4つ目で滞った。
それまでの攻略での疲労と塔の難易度が高かった。
しばらく停滞した状況に神は退屈し、腹心にこの状況をどうにかせよと言った。
腹心は魔王の元へと向かった。
「お前は塔の攻略に行かないのか」
腹心の問いに対し、魔王は首を振った。
「私は魔の道を進み、妻と暮らすこの穏やかな生活に満足している」
「それならば仕方ない」
次の瞬間には妻の胸は腹心によって貫かれていた。
魔王は反応することができなかった。
起きたことを理解した魔王はすぐに妻のもとへ駆けよったがすでに息はなかった。
怒りに身を任せ、魔王は腹心を攻撃するも全ていなされてしまった。
「今のお前では相手にならん。相手をして欲しければ塔を攻略し神界まで来い」
腹心はそう言い残し去っていった。
その後暴走した魔王を中心に塔は攻略され、魔王たちは神界へと乗り込んだ。
しかし、神の前では全ては無に等しかった。
まさに‘ゲーム’。
勇者の墓は生まれた国の王都近くに建てられ、魔王の墓は人里離れた魔王が住んでいた家の近くにある妻の墓の隣に建てられた。
* * * * *
300年近くたった今、神の退屈しのぎにいくつもの世界から人々が召喚され何人もの勇者が、何度も魔王が挑んでいるが四つの塔が全て攻略されたことは二度と無かった。