01
壁|w・)有言不実行で申し訳ない……。
第三話、なのです。
吹雪です。猛吹雪です。なんだかこう、テンションが上がってくるね!
「お姉ちゃん、子供っぽい」
「え」
呆れたようなニノちゃんの視線。ぐさっときた。
私たちはただいま雪山で立ち往生です。ちょっと寒くなってきたけど、山越えぐらいはできるだろうとか思っていたら、こうなりました。あははー。笑うしかない。
最初は良かったんだけどね。日が沈みそうになって、いつものようにテントを張ろうとしたの。そうしたら、何故か急にアーちゃんが来て。一時間ほど待ってね、て言われたんだ。
妙に思いながらもニノちゃんと一緒に大人しく待っていたら、精霊さんたちがわらわらわらわら、面白いぐらいに集まってきて。なんだかたくさんの木材が持ち込まれてきて。あっという間に小さな小屋が完成した。意味が分からなかった。
今日はここに泊まってね、と言われて、どうしてだろうと思ってたけど、翌朝理解した。
吹雪です。猛吹雪です。今に至る。てなわけですよ。
なお、この小屋もあの山の家と同じで精霊たちが完璧に管理しているので、防寒完備でむしろあったか。風の音は聞こえてもすきま風もなければ雨漏りもない。至れり尽くせりなすごいお家になりました。突っ込みどころしかない。
でもここまでされると、さすがに嫌な予感はするわけで。
「アー……」
「呼ばれるような気がして即参上なアーちゃんです! なにかなすずちゃん!」
はやいよ……。
「この吹雪っていつ頃やむの?」
「冬の終わりぐらいかな?」
「そんな気がしたよ……」
つまり数ヶ月ここで立ち往生か。ふむう……。
「急ぎたいなら、雲を吹き飛ばそうか? それが嫌なら、私たちで道案内するよ。もちろん防寒もちゃんとしてあげる」
それはちょっと、嬉しい申し出ではあるけれど。飛びつきたいところではあるけれど。
「たまには、いいかな。ここでゆっくりする。せっかく立派な小屋も建ててくれたんだし」
「一時間の突貫工事だったけどね! 明日あたりに爆発するよ!」
「もしそうならアーちゃんとは絶交かなあ……」
「ひどい! でも私でも同じ立場なら絶交すると思うから文句言えないね! なので冗談ですその冷たい目をやめてください、ご褒美にしかならない」
「うわあ……」
「冗談だからひかないで」
やることもなくて暇なのでアーちゃんと中身のない会話をしていると、ニノちゃんのお腹が鳴った。そう言えば朝ご飯がまだだったね。
「問題は食糧かな……」
「そんなこともあろうかと!」
アーちゃんが指を鳴ら……そうとして失敗した。何も鳴ってない。それでもアーちゃんが望んでいただろうことはちゃんと起きる。
小屋の中央に置かれていたテーブルに、湯気の立つ料理が突然現れた。焼き魚に味噌汁、白いご飯にほうれん草のおひたし。
「わ。すごい。アーちゃんが作ってくれたの?」
「いや、日本のレシピの本と材料だけ用意して他の精霊たちに作らせただけ」
「さすがに横暴すぎない!?」
立場を利用して好き勝手しすぎだと思う。私がちょっと呆れていると、アーちゃんは笑いながら、
「いやいや、いい暇つぶしになってるんだよ? なにかしら問題が起きない限り、精霊っていうのは暇だからね。だからみんな、すずちゃんが来て喜んでるんだよ? いい暇つぶしができたって」
「なんだろう。喜んでいいのか分からない……」
他意はないと分かってるんだけど、素直に喜べないのはどうしてだろう。いや、いいけど。私もとても助かってるし。きっとこれがウィンウィンの関係ってやつだ。うん。違うような気もするけど、細かいことは気にしない。
せっかく用意してもらったので、ニノちゃんと一緒に食べることにする。
うん……。美味しい。飛び抜けて美味しい、というわけではないけれど、レシピに忠実に作ったんだろうね、問題なくちゃんと美味しい。
気付けば私の隣でアーちゃんも食べてる。アーちゃんも満足そうだ。
そうしてもぐもぐ食べていると、ニノちゃんがぽつりと呟いた。
「これも、高く売れたりするのかな?」
あー……。ニノちゃんの言いたいことはなんとなく分かる。決して本当に売りたいと思ってるわけではないけど、いくつか前の街でアーちゃんのクッキーを売ったからね。その衝撃的な値段を思い出すと、確かにちょっと気になる。
精霊が作った、という事実だけですごく高くなるなら、これもやっぱり……。
「売りに行く?」
にやにや笑いながらのアーちゃんの言葉。私とニノちゃんはすぐに首を振った。
「面倒事にしからならないからいいよ」
「うん。お姉ちゃんと同じく」
「あははー。だよねー」
そう言うアーちゃんは、少しだけほっとしているように見えた。
冬が終わるまではこの家で過ごすことになったんだけど……。
「ひまー」
「だね……」
一週間もすれば、あまりにもやることがなさすぎて、退屈になっていた。
最初は、色々とやってたんだけどね。アーちゃんがトランプとかあっちのゲームを持ってきてくれたから、アーちゃんを交えた三人で遊んだり、三人で一緒にクッキー作りをしてみたり、まあ色々とやってみたわけだけど。
一週間が限界だった。辛い。とても、辛い。
ニノちゃんは床でうつぶせになって、ぐったりしている。体調が悪いとかじゃないから、今も尻尾はゆらゆらしていたり。とりあえず尻尾を抱いておく。もふもふ。
尻尾がゆらゆら。私もゆらゆら。……暇だ。
「退屈そうだね」
ふわりと、アーちゃんが目の前に現れた。苦笑いしつつ、今日の朝食を出してくれる。
「ごはん!」
ニノちゃんががばりと起き上がる。すぐに席に着いたニノちゃんに、アーちゃんと一緒に笑いながら、私たちも椅子に座る。なんだか、楽しみがご飯だけになってるような……。
「奥の手で、テレビゲームでも持ってきてあげようか」
「いや、だめだから」
「てれびげーむ?」
「だめだから」
なんて提案をするのかなこの子は! いくらなんでも、あれ、あれだよ、えっと……。おーばーてくのろじい! ……てくのろじいってなに?
「すずちゃん……」
「そのかわいそうなものを見る目はやめてくれないかな?」
私の知識がかなりちぐはぐっていうのは理解してるから、突っ込まないでほしい。
「まあ、いいけどね。それじゃあ……。うん。お出かけ、してみる?」
アーちゃんの提案に、私とニノちゃんは思わず顔を見合わせた。
第三話は全10回ぐらいです。……短いのに2ヶ月かかっちゃったよ……。
できるだけ毎日更新しますが、読み返しが間に合わない時はお休みします、です。
誤字脱字の報告、感想などいただければ嬉しいです。
ではでは。




