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あなたのそばへ  作者: 末吉
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プロローグ

 ──暑い。

 僕は砂浜で大の字になっている。しばらく風呂に入ってないせいか、全身が痒い。いや、虫がわいているからなのか。...まあどっちでもいい。どうせ死ぬんだから。

 間違えて食べた有毒生物の毒に脱水症状が重なり、何度も嘔吐した。服は所々破れ、垢と吐瀉物で汚れている。爪は割れ、髪や髭は伸び放題。体は痩せ細り、顔色は悪い。こんな姿、誰が見てもぎょっとするだろうな。

「ははっ」

 もはや自嘲の笑みしか出てこない。あれからいろんなことが一気に起きすぎた。たまには休憩もしようではないか。このご時世、将来いつ休めるか分からないからな。神様も許してくれるだろう。もっとも、僕は無宗教だが...

 そういえば、小学生の頃は授業中暇で、ずっと遊んでたな。ペン回ししたり机に鉛筆を立てて遊んだ。その中でも一番のお気に入りは、僕が考えた”プロペラ“だったな。親指と人差し指で鉛筆を持って高速で振り、そこに息を吹きかけるとプロペラみたいな音がするんだ。クラスを越えて学年で流行り、禁止令が出るほどだった。たしか、プロペラって命名したのはあいつだったか。

 だがあいつはもういない。あいつがいなければ、この世界で生きていても仕方ない。あいつを裏切ることになるが仕方ない。僕はもう疲れた。そして十分生きた。ここらで次世代にバトンタッチだ。次世代諸君、後はたのんだよ。

 懐かしい。プロペラの音が聞こえる。先生に注意されても、あいつとなら怖くなかったし何度遊んでも楽しかった。...戻りてえなあ、あの”プロペラ“の時代に...

 そんなことを考えながら、僕の意識は遠のいていった──

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