3月31日雨 『作者1名』
「新しいの、入ったぞー」
そう言うと、すでに来ていた一人が瞳を輝かせてこちらを見てくる。やけに熱烈なその視線にも飽きたカルラは、溜め息混じりにこう言った。
「テメェ、また来たのか?」
「何度だって来ますとも。何故なら私の生き甲斐なのだから!」
「悲しい人生だな」
以前も来ていたNo.という人物は、カルラの言葉に怯むことなく、しばらく黙ってそこに立っているかと思えば、首を捻って周囲を見回した。
「シュラちゃんとニコはどこでしょうか?」
「何で雇ったことを知っているんだよ。腐れ人間」
「腐れ人間って何!? 知っていたのは、そう、千里眼的なあれこれが……ね?」
「何だ、そのふわっとした能力」
帰る気配もないNo.に、カルラは溜め息をついてみせてから、説明を始めた。
「シュラは宿屋に用事で、ニコは友達と遊びに行った。夕方まで帰ってこない」
「そんな……」
よほどショックだったのか、ふらふらと頭を抱えて足をよろつかせている。
流石に驚いたカルラは、心配そうに尋ねた。
「おい、大丈夫か?」
「こんなむさ苦しいお店に、カルラさんしか居ないなんて……最悪ですっ!」
「かち割られたいのか?」
掌を返して、鎚を握る。
しかし、No.はそれでも構わずに、膝に手を付いて、肩を落とした状態のまま話を進めた。
「まあ、いいでしょう。許して差し上げます」
「お前の存在を俺は許さないけどな」
「それで、今日来たのは他でもなく、コメント2件目の報告や、ブックマークの増量についてなのです!」
いまいち意味が分からない単語を並べているが、恐らくは良いことなのだろうと、No.の顔色から伺える。
へぇ、と力無い反応を示すが、No.は気を良くして続けた。
「今回のコメントはですね、誉められたのですよ! 面白いと言ってくださいました! 嬉しいです!」
「そうかい、一応どんなふうかを聞いてやるけど?」
「1話簡潔で読みやすいコメディだと言われましたよ」
「まったく該当しない時期があったような気がするのだが?」
しばらく謎の沈黙が起こる。そして、気を取り直して、No.は笑みを浮かべて口を動かす。
「細かいことは気にせず、次です!」
カルラも仕方なしに話を合わせる。
「ブックマーク、だったか? どれくらい増えたんだ?」
「2件くらいですね。発狂しました」
「少ないし、反応がエグいな」
想像しても怖いか、気持ち悪いくらいの感想しか浮かばない。
そして、実の無い報告に対してカルラは尋ねる。
「だいたい、こんなことしてないで書いていればいいんじゃねぇか? 誉められたことなんて聞いても、楽しくねぇし」
そう言うと、No.は焦点の合わない目でカルラを見た。
「何いってるのですか? こんなときにでも話さないと、誰もコメントしてくれないではありませんか~」
「暗っらいっ! 何でそんなに卑屈なんだよっ! あと、早くお前のキャラを定めろ、ブレッブレじゃねぇか!」
小さく、無理やりの笑い声が小刻みに溢れる。完全にヤンデレか何かだろう。
No.は一通り泣き笑いした後、大きな声で叫び出す。
「というわけで、帰りますっ!」
「もう、ヤバい奴だな」
ふらふらと傘を差して歩くと、振り替えって口を開く。
「次はニコにも会いますからね!」
そんな3月の終わりにて
No.(?)
特技……ヤンデレる
備考……少しずつですが、皆さんの目に触れる機会が増えたように存じます。今後も、誠心誠意頑張りますので、応援のほどよろしくお願いいたします!
ヤンデレるNo.でした!




