表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カジヤノキヤクビト  作者: No.
工房日誌 2017.3~
92/411

3月29日晴れ 『時計屋1名』

「新しいの、入ったぞー」


そう言って出ると、カルラを待っていたのか、金髪の少女がそこに立っていた。

そして、顔色ひとつ変えない軍人のような態度で、淡々と口を動かした。


「初めまして、クローム・スピアコールドと申します。注文よろしいですか?」

「もちろん、歓迎するぞ。作れるかどうかは別として」

「では、魔力伝導率の時計針をお願いします」


時計の針。特別魔力を使うようなものではないし、時計の部品の注文も珍しい。

奇妙に思ったカルラは、クロームに尋ねる。


「時計針なら時計屋に任せるもんだろ?」


よく聞かれるのか、クロームは肩を竦めて、小さく溜め息をついた。


「それは当然そうしたいものですが、しかし、どうしても金属生成の段階で壊れてしまうのですよ。この時計屋が、どうしても出来なかったように」


自らを時計屋であると明かし、煮え切らない問答を嫌ったクロームは、眉をひそめて詰め寄ってきた。


「それで、出来るのですか? 出来ないのですか?」

「やりたくないです」

「出来るのですね。お願いします」


何故そうなるのか、威圧されるがままに商談が成立してしまう。別にいいけど。


クロームは帰らずに、しばらく店の壁に立て掛けられた物を見てから、再びカルラに話しかけてきた。


「おや、銃も置いているのですか?」

「それは従業員のだ。自分で置いたくせに、触ると怒るから気を付けろ」

「それは怖い怖い」


そう言って、遠くからそれを眺めていると、通りを歩いていた人物が足を止めた。


「クローム、何故ここに?」


ニコは、クロームの姿を見るなり、目を見開いてそう言った。クロームも、不敵な笑みを浮かべて、知り合いであることを周知させる。


「やはりニコのでしたか。こんなところに、友達を置くのはどうかと思いますよ」

「答えになってない」


ただならぬ状況に、一緒に買い物へ出していたシュラに、そっとカルラは尋ねた。


「シュラ、ニコから何か聞いてないか?」

「えーと、確か王都に友達が居るとか、友と書いてライバルがいるとか、親友が居るとか聞いたことがあります」

「どちらかというと、宿敵みたいな対応なんだが?」


クロームはニコを挑発するような口調で言う。


「ニコ、少し太りましたね。だから、甘いものは控えるように言ったではありませんか」


しかし、怯む素振りもないニコは、平然としているクロームに反撃をする。


「ニコ太ってない。クロームは痩せた。寂しいかった?」


クロームはその挑発を鼻で笑い、なんてことないというふうに話し出す。


「居なくなった直後は泣きましたが、」


泣いたのかよ。


「もう大丈夫です。元気な顔も、久しい顔も見れましたから」


クロームは振り返り、どこかに向けて歩き出す。数歩進んでから、何かを思い出して振り替える。


「ああそれと、もう部隊は辞めました。趣味であった時計作りが本業です。たまに遊びに来るので、そのときはお茶でも出してください」


クロームが去った直後、ニコを睨む。


「ニコ、あの女は誰だ?」

「クローム。可愛い。面白い」

「誰が外見について聞いた? それは俺が判断するから、経歴を教えろ」


ニコは目を反らし、少し小さな声で返した。


「狙撃部隊副長……だった」

クローム・スピアコールド(18)

特技……早撃ち

備考……手先が器用で、早撃ちの名手。極度の寂しがり屋だが、表に出さない精神力を有する。

モデルはアニメの、幼女軍人。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ