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カジヤノキヤクビト  作者: No.
工房日誌 2017.3~
89/411

3月26日晴れ 『女騎士とパーティー』

「新しいの、入ったぞー」


店に出ると、夕日のような赤い髪を長く伸ばした少女が、白銀の鎧を着て、商品を眺めながら立っていた。

そして、カルラの視線に気がつくと、少女は黒い縁の眼鏡越しに、こちらに向けて笑みを浮かべた。


「こんにちは。友達とはぐれてしまいまして」


困ったように眉を傾ける彼女からは、それほど困ったというふうな感覚はない。

心配されるような、やわな友人ではないのだろう。冒険者か何かの集まりなら、大抵はこんな感じだ。


「こんな小さな街で、どうやってはぐれるんだよ? 案内板もあるのに」

「返す言葉もありませんね。私はかなりの方向音痴ですから、よく迷ってしまうんです。この前も、友達の家で迷子になって、二日間出られなくなりましたから」

「いや、どんな迷宮だ!」


確かに、これならはぐれても、おかしくは無いのだろうが、それならそれで、首輪とかロープとかで結べば良いのではないだろうか。いや、色々と不味いな、主に倫理観。


「まあ、お前の友達なら、すぐに見つけてくれるだろ」

「そうだと良いのですが」

「大丈夫だ。迷宮に住めるなら、こんなところ朝飯前だ」

「迷宮には住んでませんよ?」


真面目な返しをする辺り、良いところのお嬢さんなのかもしれない。武装もそれなりだし、礼儀もある。冒険者ではないのだろう。


「待っている間、何か見ても良いですか?」

「構わねぇよ。見る分には減らねぇけど」

「では、おすすめを教えて下さい。それを買います」


年頃の少女らしい笑顔が眩しく見える。眼鏡や髪で隠れていたが、意外と美人なのかもしれない。

そんな娘が喜びそうな道具を探していると、遠くの方で声が聞こえた。


「おーい、リィーイ! 何してんだよっ!」

「ダメですよ。勝手に離れては」

「僕の手を離したらいけないよ!」


三人の男達が、少女の姿を見て声をあげている。どれもそれなりに外見は良さそうで、まるで選ばれたかのように、個性がバラけている。


「彼氏か? かなり多いけど」

「いいえ、友達ですよ」


リィーイは冗談を返すように、当たり前のようにそう言った。

何となくだが、彼女の立ち位置が分かった気がして、カルラはリィーイにあるものを渡す。


「ペン型の仕込み短剣だ。御守り代わりにでも持っていろ。寝室での男避けだ」

「ありがとうございます! ……でも、そんな機会、あるとは思いませんがね」


それが真実なら良いのだが。

街道の先にいる、三人の男達は、なおもリィーイの姿を見て、安堵の目をしていた。

リィーイ・クロトプル(16)

特技……浄化

備考……異世界から転生してきた少女で、今は異国の貴族として生きている。本人は気がついていないが、かなりモテている。


パーティーの男達

……賑やかし。もう出てくることはない。

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