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カジヤノキヤクビト  作者: No.
工房日誌 2017.3~
81/411

3月18日曇り 『四天王1名』

「新しいの、入ったぞー」

「ふふんっ。人間よ、我にひへ伏すが良い」


眼下から偉そうな言葉が聞こえてきて、視線をそこに向けると、赤い髪をした少女が腰に手を当て、無い胸をはっていた。

なんだ、こいつは。カルラが面倒くさそうに、攻撃体制に入る。


「ダメですよ、カルラさん。お客さんを追い払おうとしてはいけません。まだ売り上げが増えていないのですから」


最近、さらに行動を予測しはじめたシュラがそう言った。


「カルラはすぐ女の子に手を出す。そういうの良くないよ」

「ニコてめぇ、勘違いされるようなこと言うんじゃねぇよっ!」


後ろで待機していた二人を、カルラは不機嫌そうに目を細めて睨む。

そして、仕方なく接客することにして、頭を掻きながら、大あくびをしながら、少女に尋ねる。


「で、何のようだ? クソガキ」

「クソガキ言うなっ! ……我は魔王軍幹部にして、方角を治める四分の王の一人! 西方の白虎、テイフュル・ララであるぞ!」


その瞬間、周囲は静まり返る。別に、恐怖したわけでもなく、戸惑ったわけでもなく、ただ純粋に、誰もその名前に心当たりが無かっただけである。

しかし、テイフュルは気を良くしたらしく、得意気な笑みを浮かべて、幼い口を開いて自己満足に浸り出す。


「どうだ、恐れおののいただろ? 我の強さは大陸でも一、二を争うからな。どうだどうだ、我の配下として、武器を貢がせてやっても良いのだぞ?」

「うるさいガキ。貢いで欲しがったら胸を増やしてから来い、クソガキ!」


全く動じないカルラの反応に、テイフュルは取り乱し、涙を浮かべて声を腫らす。


「ガキガキ言うな! こう見えても我は三百は生きた身だぞ! ガキって言うなぁっ……!」


三百も生きたのなら、このくらいで泣くなよ。

極めて自分勝手な考えを持つカルラに、後ろの二人は怪訝な表情を浮かべてこう言った。


「カルラさん、子供を泣かせてはいけませんよ。また捕まってしまいます!」

「カルラ、貢ぐ話で少女泣かせちゃった。いーけないんだ、国王に行っちゃお」

「お前ら、俺に何か恨みでもあるのか?」


町行く人々の視線がさらに痛くなって来たため、しゃくり上げて肩を揺らすテイフュルに向かって言う。


「つーか、ガキじゃねぇ証拠がどこにあるんだよ? それが無いと分かるもんも分かんねぇぞ」

「そんな事ないもん……分かるもん」

「じゃあ、こいつを見ろ」


シュラを掴んでテイフュルに見せるカルラ。同じくらいの背丈の少女に目を丸くしていた。


「シュラはこんなんでも17才だ」

「嘘だっ! こんなガキなのにっ!?」


驚きの声が響く。その反応に、カルラはさらに言葉を足した。


「お前が言っているのはこういうことだ。分かったか?」

「うん! 今度は色っぽくしてくるから、待っててね!」

「オー、キナガニマッテルワ」


二度と来ないでほしいと願いつつ、手を振って送り出す。

ようやく面倒なのが片付いたかと思ったとき、手の中に熱を感じた。

恐る恐るシュラの顔を見ると、いつになく不機嫌そうな顔をしていた。


「カルラさん、ロリコンもほどほどに!」

「誰がロリコンっ……。あ、てめぇ、また噂を立てる気かっ!?」


これから買い物にでも行こうとばかりに財布をちらつかせ、さっさと支度をし始める。店の奥に消えたシュラをカルラは説得しながら追っている。


残されたニコは、肩を竦めてこう言った。


「やれやれ、全く困った奴等だぜ」

「てめぇが締めるな!」

テイフュル・ララ(341)

特技……土魔法

備考……子供外見に子供思考。甘やかされて育ったため、偉そう。年齢はあるが、これでも幼年期であるため、伸びしろはある。

イメージは中国の四聖獣。四天王と言えば、これだよね!

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