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たまえづけ  作者: 長谷山長谷
1/1

雨、雷音、田んぼにて。

雷雨。


さぁっと降り出した雨は、一瞬で勢いを強めた。

みるみるうちに重い雨水の簾が視界を埋める。

傘を指したまま俺は、曇った視界の先を見つめた。


田んぼ。


その中の佇む一人の少女。


少女の見た目は、15、16歳といったところだ。

傘も指さず雨に濡れたまま、何かを待っている。

瞳を閉じ、全神経を研ぎ澄ませている。

傍目に見ている俺にも、それははっきりと感じられた。


すぅっ。


少女が小さく息を吸う。

稲光が閃き、その白い頬を鋭く照らす。


ドオオッ!!!


遅れてやって来た、地も砕けるような雷音。

その瞬間、少女がカッと目を見開いた。


「はぁっ!!!」


ズオオオオッ!!!!


少女の周囲一面に、幾つもの青い炎が浮かび上がった。

不規則に揺らめくその炎は、雨などお構いなしにゆらゆらと燃え上がる。


「ふんっ!」


少女が腕を降り下ろすと、その動きに連動して火玉は次々と水面に襲いかかった。

流星群の如く、次々と炎は水面に撃ち込まれる。

果敢に火玉を操りながらも、少女は冷静な瞳で水底の動きを眺めていた。

待っているのだ。予兆を。


ぐらり。


炎が水に飛び込んだにしては、不自然に大きな水面下の泥の動き。

少女がそれを見逃すはずはなかった。


「はあっ!」


ボッ!!!


明らかに火玉が着水する音とは違った音が響く。

ばしゃばしゃと、何かが暴れ、泥水が飛び散る。


ざばぁぁぁぁっ!


泥水を跳ね上げ、それは鎌首をもたげた。

雷光に照らされ、滑る体表が怪しく光る。

重量感のある首回りは、成人男性の二の腕よりも太い。

全長2mは超えるかという圧倒的な威圧感で、それは少女の前に姿を現した。




























































「…んん…うなぎ?」


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