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エラー  作者: 馬鹿面
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予知能力者の性質

 「えーっ、それでは、ホームルームを始めます」


 1年3組のホームルームが始まった。


 やる気の無い先生がぼそぼそと何かを言っていたが、


 勿論のことながら、右から左に受け流す。


 そんなことより、私は今現在、大きな問題を抱えていた。


 晴美ちゃんとは離れ離れの席になってしまったが、


 3か月後、隣同士になれる未来があるので、そこは問題ない。


 私の今、一番の問題は・・・


 「なあ、時村。俺たち隣になること多いな!」


 久我だ。


 幼稚園の時からずっと一緒のクラスで、しかも隣になることが多い。


 これも抗体か何かだろうか?嫌がらせとしか思えない。


 「なんであんたはくっついてくるのよ!?」


 「そんなこと俺に言うなよ!」


 「この高校選んだのだって、私が入るって聞いたからでしょ!!」


 「そ、それはその・・・」


 ホントにそうなんだ・・・


 「まぁ、あれだ。友達できて良かったな」


 「・・・う、うるさい!!」


 「うごほっ!!」


 ポップコーンを、久我の眉間にぶちあてる。


 そんなことは余計なお世話だ!


 私は友達ができなかったわけじゃない。作れなかったのだ。


 未来が見えていると、その人間の嫌なところがよく分かってしまう。


 なので、ただ話したりする分には問題ないが、


 深い関係となる友達には、どうしてもなれなかった。


 晴美ちゃんには、まったく悪いところが見受けられなかった。


 だから、勇気を振り絞り、友達になったのだ。


 「痛ってーな!もうちょい手加減してくれよ!」


 「う・る・さ・い!!結構、その、あ、あんたにも・・・感謝してるんだからね!」


 「は、はわ!はわはわっ!!」


 髪だけでなく、顔全体まで真っ赤に染まる久我。


 ツンデレ風になってしまったが、言っておかなければ気が済まなかった。


 少なくとも、これまで精神が病まなかったのは、久我のおかげだ。


 口が裂けても言えないが、冷たくあたっても、


 いつも笑顔で話しかけてくれた久我の存在は、私にとって、かなり大きなものだ。


 晴美ちゃんと出会った時、ミスって私の知ってるルートからそれてしまった。


 だからこそ、予知とは関係なく、久我に感謝の言葉を述べたかった。


 友達ができても、久我とは仲良くしていきたい。


 「俺に感謝・・・へへっ」


 「いつまでそうしてんのよ!!」


 「ぶごほっ!!」


 赤い久我の鼻先に、ポップコーンをぶちかます。


 一番の心配事、久我との関係は、問題なさそうだ。






 

  ホームルームが終わった後、課題テストが3時間もあった・・・


 「ふあぁーーーーー!!やっと終わったーーー!!」


 もちろん、予知などに頼らず自力でやった。


 勘違いをしないでほしいので言っておくが、この学校に入学したのも自力だ。


 能力を使うとすれば、中間、期末のテスト範囲を、先読みして勉強しておくくらいだ。


 「やっと終わったねぇ。それより大丈夫?久我君が死にかけだけど・・・」


 「そんなやつほっとけばいいのよ。どこかでのたれ死んでおけばいいわ」


 「ひ、ひでぇ・・・それに晴美ちゃん、


 俺はテストじゃなくて、春休みの宿題のほうが、って、ぐはっ!!」


 「だまれぃ!!晴美ちゃんに馴れ馴れしくするな!!次は140キロのブチ当てるぞ!!」


 「ふふっ、みくちゃん達、仲いいねぇ」


 「全っ然、仲良くないから!こいつが腐れ外道なだけよ!!」


 「おい、さすがにそりゃないだろ!!」


 晴美ちゃんの誤解を解こう頑張っていると、


 教室の後ろの方で、生徒たちがざわざわ騒いでいるのが聞こえた。


 「んっ、なんだ?って、はっ!!」


 「どうしたの、久我君?って、えっ、なんで!?」


 二人が私の後ろの方を見つめて、あわあわとしている。


 どうしたんだろう?こんなイベントあったかなぁー。


 未来に身に覚えがないので、パッ、と振り返る。


 そこには理事長が立っていた。


 入学式の時以上に鬼の形相で。


 ち、近い!


 私のすぐ後ろ、10センチほどに立っている。


 あれ!?こんな未来あったっけ?


 そういえばそうだ!


 晴美ちゃんと出会った時から、私の知ってる未来からズレていたんだ。


 だから、私の知ってる未来と変わっていてもおかしくないんだ。


 ってゆうか、さっきまでアドリブでずっとやってきたじゃん。


 私ってドジだなぁー。


 って、そんなことよりも今この状況を整理しよう。


 理事長が、私を睨みつけている理由は何だ?


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


 分からない。


 いっさい、まったくもって分からない。


 そもそも私はアドリブに弱いのだ。いままで出来ていたことの方が奇跡だったのだ。


 となれば解決方法は一つ。


 「晴美ちゃん。私寝るから30分後に起こしてね」


 「ええっ!!みくちゃん、ちょっと待ってよ!!」


 「ふあぁーーーーぁぅ。私、寝ると考えまとまるから。


 それじゃあ後はよろしくね、久我」


 「エッ!俺かよ!!」


 そう言ってると、だんだん眠たくなってきた。


 私は、寝ることで未来予知を更新できる。


 というわけで、予知を更新するため机につっぷした。


 起きてよ!と叫ぶ二人を無視して、私は深い眠りに落ちて行った。


 「おやすみ・・・むにゃむにゃ」


 


 


 


 


 


 


 

 次こそは、しっかりとした抗体を出します!

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