不遇の幼馴染
場所は体育館。
私と晴美ちゃんが抱き合って泣いていると、バーコード頭の教頭がやってきた。
「君たち、いつまでそうやっているんだね。喜ぶのもいいが、
今からホームルームが始まる。早く自分たちの教室に向かってはどうだね?」
うるさいな。ポップコーン投げつけるぞ。
しかし、いつまでもこうしている訳にもいかない。
泣き疲れて動けない晴美ちゃんを、肩で支えながら1年3組の教室に向かう。
廊下に生徒の姿はなく、教室に向かう先生の姿だけが見受けられる。
晴美ちゃんを支えながら歩く私を、そいつらは見て見ぬふりをしている。
本当にこの学校の先生は屑野郎ばっかりだ。
ポップコーンを投げつけてやろうかと思いながらあるいていると、
身長170センチ半ばの、赤髪の少年がこちらに駆け寄ってきた。
「おーい時村ーっ!こんなところにいたのか」
「はっ?どこのどちら様ですか?汚らわしいので近寄らないでください」
「おい!?そりゃないだろ!!」
「時村さんこの人、知り合い?」
「晴美ちゃん、私のことはみくちゃんでいいから」
「うん、みくちゃん!」
「それじゃあ教室に向かいましょうか、晴美ちゃん!」
「ちょっと誰か忘れてないか?俺もその子運ぶの手伝うからっ!!」
「うるさい黙れ!!」
ポケットの中に常備している、小袋に入ったポップコーンを投げつける。
「うごほっ!!」
赤髪が悶絶する。
「毎度思うけどその威力は何なんだ!?」
「ポップコーンを時速120キロで投げているだけですが何か?」
野球部顔負けの肩力を舐めるな!
「晴美ちゃん、ポップコーンいる?」
「えっ!?あぁ、今は要らない、かな?」
ぼりぼり、ポップコーン美味しいのにな。
「ちょ、待てよ!」
「うるさい黙れ!!」
「うごほっ!!」
ポップコーンは食べてよし!投げてよし、の万能の食べ物だ!!
結局、赤髪には荷物を持ってもらい、三人で教室に向かう。
教室の前まで来ると、誰かが教室からでる。
「おお、遅かったね久我君。隣にいるのが小峰さんと時村さんだね」
「ああ先生、遅くなってすいません」
「いやいいんだ、それより早く教室に入って。ホームルームを始めるぞ」
この人が先生か。予知で知ってはいたが、眼鏡をかけていること以外特に特徴はないな。
もう一つ挙げるとすれば、やる気がまったく感じられないことぐらいだ。
「あなた、久我君っていうのぉ?」
晴美ちゃんが赤髪に訊ねる。
「おう!俺の名前は久我褌英ってんだ!
ちなみに時村の幼馴染だ。よろしくな!」
「私は、小峰は」
「晴美ちゃん!!こんな奴に名乗る必要なんてないよ、早く教室入ろ!」
久我から荷物をひったくり、私は晴美ちゃんの手を引き教室に入る。
晴美ちゃんが何か言いたげだったが、そこは晴美ちゃんのためを思って無視する。
一人廊下に残された赤髪、改め久我は、
「俺、何か悪いことしたかな・・・」
「早く教室に戻ってください。あなたせいでホームルームが始められません」
「エッ、俺のせい!?」
見た目は不良でも、心は優等生の久我は、渋々教室に戻っていった。
とりあえず主要メンバーが揃いました。
ポップコーン、すごいですね・・・