第七十一章 リシュエル
夜。
俺は眠れずにいた。少しだけ外の空気を吸おうと、外に出る。見れば、遠くで火山の赤い光が見える。
それを横目で見ながら刀を振る。
「いい刀だな・・・・」
と、その声は俺ではない者の声だった。
「っ!」
「はは、いい殺気だ」
声の主は空中から舞い降りた。
銀の鎧に輝く白い翼。
「天使か・・・」
「僕の名前はリシュエル。アリエルに代わる天使長さ」
「アリエル・・・どういう事だ?」
「彼女のユグドラシル様への忠誠は大したものさ。それは僕も変わらないが、どうにも彼女は気に食わなくてね」
リシュエルは近付いて来た。
「彼女はどうした?」
「・・・天界で幽閉されてるよ。反逆罪だ」
「俺と接したからか?」
「ああ、そうだな」
リシュエルは剣を構える。
「イレギェラーは排除する」
「っ!」
俺も刀を構えた。
その時だった。
暗黒の空から一閃の光がリシュエルに向かって降り注いだ。
「がっ!この攻撃は・・・・!」
リシュエルの真上から傷だらけの天使が現れた。
「ちっ!アリエル。牢獄を抜け出して何のマネだ?」
「何のマネ?それはこちらのセリフだ!」
俺の前に現れたのは全身傷だらけのアリエルだった。
「ユウ、下がっていて。こいつは・・・私が・・・・っ!」
アリエルの体は徐々に斜めに傾ていく。
そのまま地面に倒れた。
「アリエル!」
「また牢屋に入れていくの面倒だ」
リシュエルはアリエルに斬りかかった。が、その剣を俺は弾き返す。
「そうそう、君がいたんだ」
リシュエルと斬り合いになる。
「君は何故天使が存在すると思う?」
「はっ、んなもん知らねぇよ!」
「それは統率者がいないからだ。だから、僕達天使が生み出された。大いなる神、ユグドラシル様の手によって」
「そんなもの!」
リシュエルは一旦下がる。
「深い意味はない。強者が弱者を支配する。単純な世界だ」
「弱者ねぇ・・・その弱者にここまで追い込まれたのは何処の誰だ?」
「・・・言うじゃないか。確かに、今までの天使は弱い。だが、僕をそんじょそこらの天使と一緒にしてもらっては困る・・・『イノセント・ゼロ』」
ガクッ!
「なっ・・・何をした?」
力が抜けていく。
「単なるトラップ魔法の一つだが、今の君にはこれで十分だ」
光が俺を吹き飛ばす。
「がぁっ!」
何だ!あの魔法・・・力が入らない・・・何と言うチート魔法なんだ。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「本当はもっとじっくり遊びたいんだが、生憎そんな暇はないんだ。さらばだ、傭兵」
リシュエルは詠唱に入った。
今のうちに!
俺は立ち上がり、フラフラになりながらもその場から逃げる。
「逃げさせないよ。ここで君が逃げれば宿にいるお仲間も大変なことになるよ?」
「っ!」
これだけの騒ぎをしておきながら誰も宿から出て来ないのは、外の音が中に入らないように結界を作られているからだ。
用意周到だな。
俺は数十メートル先で振り返った。
「逃げる?この俺が!逃げる筈ないだろが!」
「・・・聖夜の空に輝け『プリズムソード』!」
真上。
巨大で聖なる輝きを放つ剣が降り注いできた。
えっと、この物語も大分終盤に差し掛かってきましたww




