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戦艦越後太平洋戦記  作者: 賀来麻奥
殺戮の占有者
92/115

第二艦隊出撃せよ

 欧州情勢と艦隊の編成書いたら予想以上に長くなったので、マリアナの海戦までもっていけませんでした。

「同志ベリヤ今日はいい報告かね。それとも、悪い報告かね」ソ連の副首相ラヴレンチー・ベリヤは、巨大な権力を掌握している者、ヨシフ・スターリンの前に現れた。

 「同志スターリン。いい報告です。先日、赤軍がスターリングラードをナチス・ドイツと同盟軍から完全に奪還しました」

 今年の冬にドイツはスターリングラードをモスクワ奪取計画とともに発動し、それを成功させた。だが肝心のモスクワ奪取は成功しなかった。ドイツは考慮の結果スターリングラードの製鉄工場を全て破壊し、いずれ敵が奪還作戦を企ててくると確信し防備を固めた。

 

 一方、三月にモスクワに来ていたドイツ中央軍を八十キロ押し返していた赤軍は、そのまま西側へとジリジリと追い返し、五月頃にスターリングラードの奪還作戦を開始した。 この頃ドイツ軍はスターリングラード付近に三十万を超える数を置いており奪還は非常に困難であると思われた。

 しかしスターリングラードの側面に配置されていたのは主に軟弱なルーマニア軍であった。ここに大群で押し寄せてドイツ軍を包囲殲滅することをソ連は計画した。

 

 そして一ヶ月後の六月にスターリンより許可をもらったソ連軍最高指揮官代理ジューコフ上級大将はこの作戦で一〇〇万近い軍を投入した。さらに五〇〇輌もの戦車を投入し左右の戦線に展開するルーマニア第一・第二軍の総計十六万名を撃滅・包囲し戦線を粉砕した。これによりドイツと同盟軍はスターリングラードに閉じ込められる形となった。

 前線に孤立したドイツ軍は絶望的な状況の中必死の抵抗を見せた。また赤軍は兵員は一〇〇万を超えていたがソ連特有の扱いを受けていた。二人の内一人が銃を持ち、もう片方が銃弾だけをもらい、戦場に向かうとのものだった。つまり銃弾しか持ってないものは、やられた味方の銃を拾いその銃弾で戦えというものだった。銃弾だけもらい右往左往している兵士はドイツ軍から銃撃され、もし退却でもしようとすれば裏切りとして味方から撃ち殺される。

 ソ連はさらに五十万もの赤軍を投入した。ドイツ軍も包囲網を破り味方を救出しようとドン軍集団という、近くの稼動可能な戦車を寄せ集めた部隊を派遣。これにより双方の合計兵力は二百万名を超えた。

 

 かくして双方の航空機・戦車・火砲の報復や何百万・何千万の銃弾が飛び交う激しい銃撃戦により市街地は完全に瓦礫と化した。

 ドン軍集団はスターリングラードまであともう一息だったがここでヒトラーが撤退を命じた。しぶしぶドン軍集団は後退した。

 ここにスターリングラードのドイツ軍の命運は決した。絶望的な状況の中廃墟で交戦を続けるドイツ軍だったがついに赤軍の大攻勢により壊滅的被害を被り、八万名が降伏した。同盟軍側はドイツ・イタリア・ルーマニア・ハンガリー軍あわせ四十万名を死傷させた。赤軍はこれに対し九〇万名近い死傷者をだしていた。

 しかしソ連は西部戦線にはまだ一七〇万名近い兵力を保持していた。中国領土にもまだ三五万名の兵力を駐留させたままであり、疑い深いスターリンは対日用として極東にも少しばかり予備兵を貼り付けていた。

 ドイツの対ソ防衛線は崩壊しつつあった。



 マリアナ諸島防衛作戦に要する戦力

 本作戦の目的:マリアナ海域に展開する米艦隊の撃退・駆逐。

 本作戦総指揮官 豊田副武

 第二艦隊編成 


 第一機動部隊 

 本艦隊指揮官 南雲忠一

 航空母艦「凌鳳りょうほう」「日向」「飛龍」「飛鷹」

 重巡洋艦「高瀬」

 軽巡洋艦「高倉」「三原」

 駆逐艦 「朝凪」「睦月」「弥生」「卯月」「水無月」「文月」「長月」

     「薙刀」「鎌」「剣」「矛」「鉈」 

 第一次制空隊 九六式戦闘機五〇機 震電九機

 第二次制空隊 九六式戦闘機三〇機 震電二〇機

 第三次制空隊 九六式戦闘機三〇機 震電一〇機

 総計 一四九機

 これとは別に偵察機が七機(巡洋艦含める)

 本艦隊の目的:サイパン島の制空権を一時的に掌握。


 第二機動部隊

 本作戦指揮官 山口多門

 航空母艦「大鷹」「瑞鳳」「雲鶴うんかく」「大鶴たいかく」「迅鶴じんかく」 

 重巡洋艦「荒川」「六甲」

 軽巡洋艦「小山」

 駆逐艦 「菊月」「望月」「叢雲」「浦波」「敷波」「朝霧」「天霧」

 第一次強襲部隊 九六式戦闘機二〇機 九七式軽爆撃機二〇機

 第二次強襲部隊 九六式戦闘機一二機 九六式艦上攻撃機一二機 九七式軽爆撃機一二機

 第三次強襲部隊 九六式戦闘機二〇機 九六式艦上攻撃機二四機 

 総計 一二〇機

 これとは別に偵察機が一〇機(巡洋艦含める)

 本艦隊の目的:マリアナ海域に展開している米艦隊の攻撃(機動部隊を優先し攻撃)。


 第一戦隊

 本艦隊指揮官 栗田健男

 戦艦「越後」「飛騨」「尾張」

 大型巡洋艦「木曽」

 重巡洋艦「高雄」「愛宕」「摩耶」「鳥海」

 軽巡洋艦「利根」「筑摩」

 駆逐艦「浜風」「天津風」「時津風」「峯風」「澤風」「沖風」「島風」

 「白露」「時雨」「村雨」「夕立」

 

 轟水 二隻

 本艦隊の目的:敵水上艦隊と遭遇次第砲雷撃により撃滅。余裕あれば防空に回る。


 第二戦隊

 本作戦指揮官 猪口敏平

 大型巡洋艦「狩野」「小矢部」

 重巡洋艦「妙高」「那智」「足柄」「羽黒」「青葉」「最上」「三隅」「熊野」

 駆逐艦 「狭霧」「朧」「暁」「響」「雷」「電」「初春」「若葉」「初霜」

 轟水 二隻

 本作戦の目的:第一戦隊同様。


 第三戦隊

 本作戦指揮官 角田覚治

 水上母艦「千歳」「千代田」

 駆逐艦「白露」「時雨」「村雨」「夕立」「春雨」「五月雨」「海風」「涼風」

 九八式水上戦闘機 三十機  九八式水上偵察機三十機

 轟水 四隻

 本艦隊の目的:周辺海域の哨戒。


 第一補給部隊

 給油艦五隻 轟水一隻 

 駆逐艦 「海風」「涼風」

 

 第二補給艦隊

 給油艦五隻 轟水一隻

 駆逐艦 「春雨」「五月雨」


 以上が今回マリアナに出撃することが決定した艦隊である。補足説明が要るとすれば新型重巡洋艦・軽巡洋艦・駆逐艦であろうか。

 新型重巡洋艦は砲撃専門の巡洋艦といっても過言ではない。

 排水量一〇〇〇〇トン 全長一八〇m 全幅一六m 速力三四ノット

 二〇cm三連装砲塔四基 二五mm三連装機関銃八挺 同単装機銃二〇挺


 一方の軽巡洋艦はいたって普通である。

 排水量七五〇〇トン 全長一四三m 全幅十四m 速力三三ノット

 一五cm連装砲四基 一〇cm連装高角砲二基 単装二五mm機関銃二〇挺

 四連装魚雷発射管二基 


 駆逐艦は次の通りで水中聴音機以外特筆する事項は無い。

 排水量一五〇〇トン 全長一〇〇m 全幅12m 速力三〇ノット

 一二.七cm連装砲三基 単装二五mm機関銃一〇挺 四連装魚雷発射管二基


 九月一九日〇一〇〇 第二艦隊は出撃してから半日経過した。海が墨汁のようにどす黒い。その中を二五〇mを越す大型艦から一〇〇mを下回る小型艦が突き進む。リンガ泊地から出る際パワラン水道を通らなくてはならない。

「敵潜に気をつけよ」と指令が来たが轟水・日向・一部の駆逐艦が聴音機を搭載しているだけであり、実際ほかの艦はどうしようもない。


 無事パラワン水道を通過したその時―――。

 次回(は絶対) マリアナの悪魔

 11月10日更新予定日。

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