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戦艦越後太平洋戦記  作者: 賀来麻奥
珊瑚海、波高し
72/115

獣の海=夜編1=

 テキストエディタをネットから拾ってきましたが、使いやすい使いやすい。

 前回、本シリーズ過去最大のアクセス数を記録しました。ありがとうございます。そしてこれからもよろしくお願いします。

 宇垣を始めとし豊田副武等はウィリアム・パイの第3艦隊との接触を望んでいた。例の戦艦さえなくなれば敵の艦隊はせいぜい輸送船を破壊する任務につくしかないモノに成り下がる。だが少しこれは言い過ぎではある。第16任務部隊はまだ戦闘可能な空母1隻を持っているしホーネットも沈んだワケで無い。スプルーアンスの艦隊とて軽空母1隻をがまだ残っている訳でこれを全て修復すれば200機近い航空機を運用できるのである。


 二一一〇 16ノットの巡航速度で日本艦隊は漆黒の海原を直進していた。確かに豪州方面に向かえば敵の部隊と衝突するのは時間の問題と言えるであろう。この夜は雲一つない綺麗な空であった。



 この時ハルゼーの艦隊には「ウィリス・リー艦隊とウィリアム・パイの艦隊が合流」と報告があった。


 

 「ドイツ軍がこんなところにいるってのは本当なのかい」インドにドイツ兵がいるなど言われても、それは信憑性が高い人間が言わないと信じないだろう。水兵がこのように疑っているのを見るとこの兵士の上に立つ士官はあまり信頼を得れていないだろうか。それはさて置き、マレー半島に沿うように航海しベンガル湾に到達していた。目標場所まで後300キロ移動しなくてはならない。ドイツの潜水艦の事も有り轟水が水中音を測定できる18ノットで移動していた。こちらの時刻はまだ一八〇〇ほどで九七戦闘機が上空で5機哨戒任務についていた。

 

 

 〇〇三〇 珊瑚海で日付が変わり30分の時間がたった。「敵影有り。・・・距離4万」興奮を抑えたような報告が聞こえた。「全艦速力20ノットに増速」宇垣の静かな指令が全艦に伝わるのは早かった。一方のアメリカ艦隊も日本の艦隊も補足した。そこには2隻の巨大戦艦の姿があった。

 

 先頭の駆逐艦と重巡最上から後方1000mには大型巡洋艦、さらにその1000m後方には越後型戦艦が2隻500m距離をとりつつ肩を並べ、海神わだつみを思わせる煙を煙突より吐き出していた。

 ウィリアムパイの艦隊もこれに負けぬ気迫を見せつけるかのように速力を20ノットに増速した。これを見た日本艦隊はさらに艦隊速力を増速させた。相対速力はこの時45ノットもの速度に達した。リーの艦隊もこれに続く。


 

 〇〇四〇 「本艦と飛騨は左に回頭!」宇垣の各艦の進路が決められていく。「取舵一杯」越後と飛騨は方向を変える。「続いて駆逐艦及び最上は27ノットまで増速し敵に雷撃をせよ!2万m以降の行動は最上に従え」「大型巡洋艦は速力そのままで駆逐艦の後ろに続け」この指示を全艦は与えられた重要な使命とし、ものの1分でこなしてみせた。

 米艦隊もこの動きをみると「モンタナ・フロリダ面舵一杯」「巡洋艦ウィチタと駆逐艦7隻は左から、巡洋艦とリーの艦隊は右だ」と言ったあと「奴らを両方から挟み潰すんだ」と付け加えた。



 

 〇〇五〇 高速で水上を艦艇が駆け巡る。このとき越後と飛騨には駆逐艦7隻が迫り来ていた。大型巡洋艦と水雷戦隊は遠くにいるためここは自身の力でどうにかするしかない。腹をくくり両艦は12,7センチ砲の砲門を開いた。

 

 越後型2隻がが発砲したのを皮切りに突撃していった日本水雷戦隊では「前の敵には雷撃!左右は味方に任せろ。全艦我に続け」と最上が発した。


 モンタナとフロリダも迫りくる日本艦隊を傍観するわけがなく主砲を撃ち込んだ。


 〇一〇〇 越後型2隻に迫った駆逐艦は巧妙な操舵で砲弾を回避しつつ越後と飛騨の進路を防ぐように動いた。この位置はマズイ。直感がそう告げた。「敵艦との距離は2万を切ります」・・・。

 「第1・第2主砲、榴弾装填用意」現在主砲は後ろのものが使えない。そしてはやくこの状況から脱しなければ敵艦から魚雷が放たれた場合は逃げ道がない。



 一方大型巡洋艦の方も苦戦を強いられていた。3隻の大型巡洋艦の周りをグルグルとリーの艦隊とウィチタが取り囲むように動いていた。

 「目標先方巡洋艦」このまま敵の動きに振り回されるわけには行かないと思い目標を絞った。「主砲放てぇ」重巡洋艦の主砲を軽く凌ぐその砲弾は大音量とともに空に投げ出された。


 

 〇一二〇 宇垣の恐れていた事が遂に現実のものとなり現れた。「敵艦との距離1万3000・・・敵艦増速し我艦に急速接近中」ちょうどその時1隻の駆逐艦が木の葉のように跳ね飛ばされたかと思えば激しい爆発と共に真ん中からへし折れた。

 「面舵一杯ぃ」この進路変更がいけなかった。敵艦が急速回頭し再び2隻の頭を抑えるように迫り来たのである。距離が距離なだけに越後と飛騨の砲弾はこれを正確に捉え3隻の動きを静止させた。

 「距離1万m」残った敵艦3隻がその時進路を再び変更した。背中に冷水を浴びるような寒気をその時感じとった。数秒後に真ん中にいた駆逐艦が主砲を受け弾け飛んだ。しかし「敵艦に主砲命中」という報告の代わりに「飛騨に向かう雷跡多数!」という報告が来た。


 「小矢部に直撃弾」大型巡洋艦小矢部に巡洋艦ウィチタとブルックリンの砲火が向かい2発の直撃弾が出た。2番砲塔の天蓋に亀裂が発生し事実上使用不能となった。これに反撃の30センチ砲が巡洋艦ウィチタに命中し中破した。


 

 〇一二一 海の底から何かを引きずり上げるような水しぶきの音と爆発音が響いた。「直撃です!!フランクに命中しました」アメリカ駆逐艦隊が放った魚雷は飛騨の右舷前方に1発、左舷に2発命中した。飛騨は驚くべき速度で傾斜し始めた。


 


 

 「台湾に上陸作戦を今日早朝決行する」中国共産党軍はドイツ軍と共に沿岸部に集結していた。そして辺りには巧妙に隠蔽された多数の小型艇と2隻の大型艦がそこにはあった。


 

 同時刻

「先ほど出た艦攻と連絡が取れません・・・」インド洋では何やら怪しげな空気が漂っていた。

 次回 4月14日予定

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