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戦艦越後太平洋戦記  作者: 賀来麻奥
風雲告げよ
66/115

対空の要塞、戦艦山城

 どうも14日更新しなかったバカタレです。

〇七〇〇 ハルゼーの機動部隊は日本の機動部隊の捜索を行った。少なくともポートモレスビー周辺にないことは確かである。いるのであれば既に見つけているはずである。SB2Aバッカニア偵察爆撃機を3機発艦させて偵察へと向かわせた。

 

「残機は戦闘機が18機、軽爆撃機が19機か。そして山城の防空戦闘機は12機と偵察機が数機だな」山城には戦闘機12機が入り偵察機、爆撃機(主に偵察用途)も飛行格納庫(元主砲弾薬格納と一部の艦内スペース)に収めることができる。

「はい。現在、直属の第7飛行分隊が哨戒しています」艦橋から空を見上げるとゴマ粒のような小さなものが飛んでいるのが見えた。


 この双方の機動部隊が接触するまで少し時間が流れるのだがその間にポートモレスビーには確実に危機が迫っていた。現時刻日米両軍の大掛かりな戦闘が起きていないのは米軍は補充期間(機体補充など)に入っており、日本軍側は防衛側に回っているためである。

 そして小規模なスコールも度々両軍の活動を妨害した。いや、日本側にはかえって幸運であり、米軍が一方的に妨害されただけかもしれない。しばらく米軍は攻撃隊を出せる状態ではなくなった。


一一〇〇 この時間の空は雲が重いかのように低い位置をノロノロと雲を動かしていた。その雲の中を動く機体が1機あった。SB2A偵察機である。

「どこにジャップの空母はいるんだ」雲の中を飛び回りその切れ目から海中を見るような横着な偵察をしていてこの偵察員は愚痴をこぼし始めた。

「オイオイ、それが分かればこんなところ飛んでいやしねーよ」半投げやりに言っているが正論である。少ししてから偵察員の顔つきが変わり

「オイ、下に何かいたぞ。高度を下げろ」この男当たり前だが任務をするときはするらしい。

「了解だ」グーンと高度を下げ雲の切れ目からSB2Aは姿を現した。その1キロほど向こうに・・

「あれは獲物だぜ。小型空母二隻と駆逐艦と小型艇か・・・」その後ろにあったものを見て言葉を失った。

「なんだあのハリネズミの大型艦は?」ハリネズミというよりヤマアラシのような威圧感であるものがそこにはいた。戦艦山城のことである。驚きながらも報告するため打電する。発信している証拠に翼より点滅する光が確認できた。


 そしてそのまま帰投しようとしたとき後ろからオレンジ色の光の線が流れてきた。その光の線は後方の風防ガラスを突き破りそのまま搭乗員も殺した。

「くそったれ」操縦席の男はそう吐き捨てると操縦桿を引き高度を得ようとした。昇降舵が作動し機体は機首を先端として高度をグングンと上げていった。雲の中に隠れ用としたが追尾してくる。やけくそになり旋回し追尾してくる戦闘機を攻撃しようとした。グルリと回転したがそこに敵の戦闘機はいなかった。上にも後ろ、左右にもいない。一瞬振り払えたのか、向こうが追尾を諦めたのかと思ったが数秒後に下から生じた強い衝撃とともに機体と操縦士はともに四散した。



「報告どおりならば敵は我が方の戦力には及ばないというわけだな」ハルゼーは偵察機より受け取った情報により日本側の戦力を全て読み取った。ただ1隻を除いて。

「この戦艦サイズの艦種不明な艦艇とはなんなんでしょうか」カーニーはハルゼーが触れなかったその奇怪とでも言うべきものについて言葉を発した。

「確かめようにも現に偵察機との交信は途絶えてしまっているため確かめようがない。攻撃隊が届くまでな」ハルゼーはそう言うと艦橋から紺碧の海原を見渡した。 

 


一二一五 艦戦20、艦爆25、艦攻25の計70機がこの時日本艦隊を発見し攻撃を行っていた。哨戒していた戦闘機が発見し直衛機の九七/九六式戦闘機25機飛び立ったがこの数で防ぐのは無理であった。3倍近い敵の編成隊に包まれるも諦めずに奮闘するが、戦闘機同士の争いに一杯一杯であった。

 攻撃隊は戦闘機網を突破する際に艦爆3機喪失しただけであり無我夢中で日本艦隊に向かっていった。皆軽空母を目指したがその前方に行く手を阻まんとどっしりとした船体を浮かべた船がいた。その船の甲板上では幾百の銃口・砲門が爆撃機、雷撃機へと向けられそれが一斉に咆吼した。弾丸がひっきりなしにうち放たれた。爆撃機はある程度高度をとっていたが雷撃機はある程度の低高度に入っていたため煙の灰色と飛翔する弾丸のオレンジ色の弾幕によって行く手を阻まれた。高角砲の破片が百メートル四方ににばらまかれ機銃が幾千と向かってくる中、雷撃機は3機が瞬時に火の玉へと変わってしまい5機が被弾した。その5機中3機が作戦を中止して帰投へと移った。機体は大破状態であった。その際に魚雷はちゃんと投下(というより廃棄)していった。

 突然の火山の噴火のような攻撃に米攻撃隊は度肝を抜かれた。これに対して爆撃隊は1機が被弾しただけであったが躊躇を覚えた。雷撃隊は高度をあげたため雷撃コースはずれて、再度コースを決めなくてはならなかった。

 SBDド-ントレスは10機以上の編隊で山城を飛び越え空母へと向かっていった。そこには2隻の軽空母がいる。駆逐艦が必死に弾幕を貼り視界を狭めさせる。軽空母はその間に回避行動を開始した。身軽な動きを見せつつ僅かな対空装備をフル活用させて敵機の攻撃を阻もうと努力した。米軍爆撃機に山城の第2一斉射撃が行われた。機銃はひっきりなしに射ているが高角砲は慎重に狙っている。命中率は悪いがそれでもそこらへんの巡洋艦の10隻分にも匹敵するような数である。凄まじい合意音と共に2機を撃墜した。


 この山城の射撃に対して米軍爆撃隊は覚悟を決めていたのかひるむ様子もなく軽空母への爆撃を行った。ギューンと擬音で表すならまさしくこの音であろう。空気を切り裂く音が高度を下げこちらに近づいてくる。

「敵機、左より急降下!」



一二三〇

 軽空母2隻は僅かな損害しか受けなかった。至近弾がほとんどだったのである。戦艦山城は爆撃機残りの全機に襲われた。二発の命中弾を受けた。そのため機銃座が三つ吹き飛び第2艦橋が中破するも元が戦艦ということだけあって耐え抜き2機を返り討ちにした。雷撃機だがこれは手の空いた戦闘機4機が瞬く間に5機を食べてしまい、これを見た米軍攻撃隊は我さきにと逃亡した。


 この報告を聞きハルゼーは雷撃隊の不甲斐なさに加え爆撃機の命中率の悪さに失望した。それと同時に被害と戦艦の報告に驚きを隠せなかった。

「火山のような防空艦だと・・・・」



 井上中将の指示により日本艦隊は撤退を始めた。それを知らずに米軍はこの15分後この地点に到着したがスコールが日本艦隊を隠していたこともあり、空振りに終わってしまったようだ。

 

一五〇〇 

 米軍は一旦日本艦隊への攻撃を打ち切った。この日はその後偵察機を飛ばしても発見できず撤退したと判断し、ポートモレスビーに一度攻撃隊を送っただけで終了した。戦果は兵員施設の爆撃に成功し、守備兵450名を死傷させた。


 やがて3月5日を迎えた。その頃越後とその艦隊は北マリアナ諸島で給油を終え既に1200キロ圏内にまで入っていた。

 

 インド派遣艦隊は途中通過地点のマレーシアにもうじき到着する。


 

 しかし時は日本艦隊の援護艦隊の到着を待たず米艦隊はモンタナ級戦艦で各島の本格的な砲撃を開始した。

 機動部隊はオーストラリアから戦闘機、爆撃機の補充を行いポートモレスビーの大爆撃を決行した。

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