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戦艦越後太平洋戦記  作者: 賀来麻奥
風雲告げよ
63/115

前哨戦の大航空戦

 インド完全攻略作戦並びにドイツ軍機出現場所捜索・制圧のためインド方面に艦隊、豪州北部の島々から始まった航空戦。それを援護するための艦隊。

 2つの日本艦隊はそれぞれの敵を撃滅しに戦いの海へと進んでいた。

 2月28日

 「ジャップの島を一つ一つ消し飛ばしてやる」ハルゼー率いる第16任務部隊は正規空母2隻、軽巡洋艦5隻、駆逐艦14隻の堂々たる艦隊であった。アメリカ西海岸で味方のチャールズ・マクモリス率いる第5任務部隊を全滅させてしまう失態を犯すが、これはハルゼーのせいではなく、単に作戦に不備があったとされた。確かに見方の航空支援がなかったからといって空母の指揮権を握っていたハルゼーには罪など無い。

「それは良いですね」今月新任となったロバート・B・カーニー大佐はハルゼーの乗船している軽巡洋艦デ・ロイテルに乗っていた。この船は航続距離、速力が良く良好な凌波性を持っていた。雷装や高射砲がないのも特徴で、高射砲の不備は主砲が大仰角をとってまかなえるようになっていた。

 

 またハルゼーの管轄下はこれだけであるが、ウィリス・A・リー大佐の第29、30駆逐艦隊(駆逐艦8隻と軽巡洋艦1隻を加えた9隻)、レイモンド・スプルーアンス少将の第7任務部隊(軽空母2隻、軽巡洋艦1隻、駆逐艦5隻)、ウィリアム・パイ少将の第三艦隊(戦艦2隻、重巡2隻、駆逐艦13隻)の計55隻の艦艇が集結していた。特に第三艦隊ウィリアム・パイ少将の戦艦2隻はモンタナ級戦艦である。さらに豪州サンゴ海には200隻の輸送船団が既に待機していたのである。兵力は海兵第1師団、海兵第2師団の計38000名のである。航空兵力も増強できる準備がされている。商船改造の護衛空母という低速だが30機搭載が可能で量産性に優れている空母である。これを30隻運用して豪州南部を足がけとして真っ直ぐ北に前進し日本本土を狙う作戦が建てられていた。ミッドウェー、アッツ、キスカは前哨戦に過ぎずこれは、米軍の日本本土侵攻作戦のはじめの作戦なのである。

 

 豪州北部島での航空戦はこの日盛んには行われていなかった。ポートモレスビー航空隊のおかげである。なるべく被害は微々たる物に済ませ第2作戦に支障が出ないようにしたい。そのためお互いの隙を見るようなものが多かった。米軍としては前日でかなりの搭乗員を疲労させているところだから明日に備えて今日は小手調べ程度で行きたいという狙いである。日本軍側も敵が強力な勢力であるのは分かっているがよく敵を調べてから攻撃するようにした。そのためこの日は偵察機がよく飛び立ったという。



 一八〇〇

 インド派遣艦隊はこの時間に必要な準備はすべて済ませて出港した。南方に艦隊を引き抜かれたがまだ十分な戦力が残っている。 2月28日

 「ジャップの島を一つ一つ消し飛ばしてやる」ハルゼー率いる第16任務部隊は正規空母2隻、軽巡洋艦5隻、駆逐艦14隻の堂々たる艦隊であった。アメリカ西海岸で味方のチャールズ・マクモリス率いる第5任務部隊を全滅させてしまう失態を犯すが、これはハルゼーのせいではなく、単に作戦に不備があったとされた。確かに見方の航空支援がなかったからといって空母の指揮権を握っていたハルゼーには罪など無い。

「それは良いですね」今月新任となったロバート・B・カーニー大佐はハルゼーの乗船している軽巡洋艦デ・ロイテルに乗っていた。この船は航続距離、速力が良く良好な凌波性を持っていた。雷装や高射砲がないのも特徴で、高射砲の不備は主砲が大仰角をとってまかなえるようになっていた。

 

 またハルゼーの管轄下はこれだけであるが、ウィリス・A・リー大佐の第29、30駆逐艦隊(駆逐艦8隻と軽巡洋艦1隻を加えた9隻)、レイモンド・スプルーアンス少将の第7任務部隊(軽空母2隻、軽巡洋艦1隻、駆逐艦5隻)、ウィリアム・パイ少将の第三艦隊(戦艦2隻、重巡2隻、駆逐艦13隻)の計55隻の艦艇が集結していた。特に第三艦隊ウィリアム・パイ少将の戦艦2隻はモンタナ級戦艦である。さらに豪州サンゴ海には200隻の輸送船団が既に待機していたのである。兵力は海兵第1師団、海兵第2師団の計38000名のである。航空兵力も増強できる準備がされている。商船改造の護衛空母という低速だが30機搭載が可能で量産性に優れている空母である。これを30隻運用して豪州南部を足がけとして真っ直ぐ北に前進し日本本土を狙う作戦が建てられていた。ミッドウェー、アッツ、キスカは前哨戦に過ぎずこれは、米軍の日本本土侵攻作戦のはじめの作戦なのである。

 

 豪州北部島での航空戦はこの日盛んには行われていなかった。ポートモレスビー航空隊のおかげである。なるべく被害は微々たる物に済ませ第2作戦に支障が出ないようにしたい。そのためお互いの隙を見るようなものが多かった。米軍としては前日でかなりの搭乗員を疲労させているところだから明日に備えて今日は小手調べ程度で行きたいという狙いである。日本軍側も敵が強力な勢力であるのは分かっているがよく敵を調べてから攻撃するようにした。そのためこの日は偵察機がよく飛び立ったという。



 一八〇〇

 インド派遣艦隊はこの時間に必要な準備はすべて済ませて出港した。南方に艦隊を引き抜かれたがまだ十分な戦力が残っている。今回の輸送は2派に分かれて行われる。最初は高速輸送船と駆逐艦、戦艦、空母、轟水の部隊で行き、第2派で足の遅い輸送船、残りの駆逐艦、轟水が行く予定だ。


 豪州北部の両軍の軍事作戦もこの時点で停止した。まだ行けるがスコールが来たためやめたのである。この雨は次の日も降り続き早朝の4時頃終わった。

 

 

 3月1日

 97式戦闘機はポートモレスビーよりひっきりなしに増援が来る。対して米軍もかなりの数を出してくる。97式戦闘機用の弾薬、燃料はかなり貯蔵されており、搭乗員の練度はかなり高い。米軍戦闘機は最新鋭のF6Fヘルキャットにほとんどがすり替わっていた。爆撃隊は爆弾をボロボロと落すと陸地でパパッと幾つもの煙が畳の埃をたたくように立ち昇る。

 お互い敵の本拠地自体をたたこうとしない奇妙な戦いが進んだ。敵が間髪空けず来るのでいちいち本拠地攻撃に作戦を練っているどころではないのだ。米軍からしてみればポートモレスビーと爆撃ポイントはほぼ同じ距離なのだがポートモレスビーを攻略しようとすればもう1度作戦をねらなくてはならないし、占領するわけでないためまた補充されてしまう可能性がある。それどころか豪州北部のこの邪魔な日本軍の島を消し飛ばさなくてはならない。ここを消さなくてはこの島の上空避けなくてはならない。パプアニューギニアの攻略に支障が出る。

 両軍は昼を過ぎて敵本拠地の攻撃に入ろうとしていた。先手を打ったのは意外なことに日本側だった。意外と言うほどでもないのだが米軍は日本側がどこから航空機をだしているから知っているのだから先手を打つのはアメリカ側の方がしやすいからである。

 

 一三〇〇

 日本側は96式陸上攻撃機11機と96式戦闘機7機、97式戦闘機5機が敵艦隊攻撃に向かった。

 一三二五

 米軍側もこの時間に攻撃隊を出した。戦闘機15機、爆撃機20機の小規模攻撃隊である。

 

 一四三〇

 日本軍攻撃隊は敵の小型艦艇を発見した。ウィリアム・パイ少将の第三艦隊であった。重巡洋艦ヴィンセンスを目標としたが、モンタナ級戦艦を2000m離れた場所に発見した。5機がモンタナ級戦艦に向かった。6機の陸攻がヴィンセンスに向かっていく。その時敵の防空戦闘機がこちらに迎撃しにきたのを確認すると97式戦闘機が駆けつける。

 ヴィンセンスに接近する6機中2機が集中砲火に会い空中爆発し無数の破片とし海面に叩きつけられた。4機は15度の角度で降下し向かっていく。1機が眼前で撃墜されたが防御力を高めることを重視したため対空戦闘能力が減少しているヴィンセンスはそれが精一杯であった。

 1機目の600キロ爆弾は甲板兵士からみると楕円型に見えて少し離れた海面に落ちらのが見えたであろう。しかし残る2発は円形に見えたことであろう。1発目は艦首に直撃してそのまま艦底に当たるとようやく爆発した。艦首はギィィィ・・・と音を立てて先頭から20メートルのところには亀裂が入った。2発目の着弾でそれは舷側に入り込みついに艦首は切断されてしまった。2発目の爆発で水上機とカタパルトは吹き飛ばされ2本煙突を破損させ大火災を生じさせた。それより前に艦首は切断されそこから大量の海水が侵入している。「総員退艦」の命令が出されたのはそれから数分後のことであった。


 モンタナに向かった爆撃機は1発のみが直撃弾を命中させた。たしかな手応えを感じた爆撃手は背後から聞こえた爆発音に満足して後ろを見た。


 だがそこには煙は立ち込めていたが爆撃による被害を受けた戦艦の姿はなかった。

「嘘だろ」600キロ爆弾を受けて無傷な戦艦があるものか、驚きながら爆撃手は帰投するしかなかった。

 

 米軍機は攻撃に向かったが、日本軍戦闘機部隊と接触した。わずかに5機が離脱し目標へ向かった。そして得た物は全滅と日本兵が水洗トイレとして使っていた川につくられていた橋のようなものである。この橋のようなものから川に向けて老廃物という爆弾を投下するのである。


 この日で米軍機は70機、日本機は60機が撃墜されるという大航空戦が昨日の空戦とは打って変わって起きたのである。



 同日 午後トラック島に2隻の軽空母が入港してきた。翌日には山城と駆逐艦・魚雷艇でソロモン海を目指す予定である。

 

 

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