アッツ島の小規模海戦
アリューシャン諸島は陥落し、アメリカの次の目標はミッドウェー及び占守島としたが、占守島は日本に近すぎるため有力な機械化された1個師団がいると思われ、また制海権、制空権が不利と思われたためミッドウェーを占領する事を決定した。
ただ今回は魚雷艇など小型艦が用意されていた。とある小型艦艇を警戒しているからである。
話はアリューシャン諸島の戦いに戻る。
アッツ島には小型艦艇などが小規模な戦闘のためか配置されていた。
戦闘小型艇1型(あくまで仮名だが)
全長9m 全幅2m 高さ1,2m 排水量3トン
発動機 130馬力×2 最大速度 29ノット 巡航速度/距離 18ノット/150海里
人員2人 9ミリ機銃×2、機雷2個 投射機後方に1、擊雷棒6本 擊雷棒発射機×1
材料は主に木材で出来ているため被弾に弱い。擊雷棒というのは長さ50センチ程度のもので先端に10キロの爆弾を装備していたものだ。発射機というのは単純なバネ仕掛けで最大距離は50m詰まりで実用性がないものであった。
7隻が配備されていた。おそらく爆雷などは使えるからだろう。
戦闘小型艇2型
全長8m 全幅1,7m 高さ0,9m 排水量2トン
発動機 160馬力×1 最大速度 22ノット 巡航速度/距離 16ノット/110海里
人員2人 9ミリ機銃×2、擊雷棒12本 擊雷棒発射機×1
配置数4隻
これは1型を小型化し機雷装備を外している。
戦闘小型艇3型
全長10m 全幅2,3m 高さ1,5m 排水量11トン
発動機160馬力×2 最大速度30ノット 巡航速度/距離 20ノット/150海里
人員3名 9ミリ機銃×1、魚雷2本、魚雷発射管×1、擊雷棒12本 擊雷棒発射機×1
配置数5隻
魚雷艇の一種とも言えそうである。これは8割が金属で作られているものである。人員は3名と少なく省スペースな作りである。また馬力は合計で320馬力で11トンの船体を最大30ノットで動かせるとなかなかのものである。
普段は浜で造られたところにきちんと収納されている。これは前にもあったが木材と砂などを合わせて作ったものである。
アリューシャン諸島進行まで全く米軍はこの船体のことを知らなかった。この戦闘小型艇に攻撃命令が出たのは米軍が上陸をはじめる3時間前だった。
まだ薄暗いかった。
この時間帯がこの小型艇の戦いだった。その前に艦砲射撃と爆撃で1型が2隻、3型が1隻破壊されていた。
そして合計12隻が出撃した。まずはじめに接触したのが2型であった。米軍の駆逐艦グレイアムだった。正直な話接触したというより一方的に攻撃され転覆させられたという方が正しいかもしれない。
距離3000m地点で12センチ砲の着弾で横転しそのまま爆風や破片であえなく2名とも死亡した。また1型の2隻も同じように一方的に撃沈/転覆させられた。
しばらくし揚陸艦LSTが20隻ほど海上に姿を現した。そこであとるグループの2型2隻は、機銃を打ちかけるべく接近した。
距離600まで入った。機銃を発砲し始めた。米軍も気がつき12,7ミリ機銃などを打ちかける。2隻のうちの1隻の小型艦艇が幾十もの銃弾を受けて沈黙した。どうやらさきに人員をやられたらしい。もう1隻の乗員は22ノットという速度を呪いつつ接近した。ここで3名のアメリカ兵が血しぶきを上げて倒れた。そして距離200mになるともう1隻の2型も爆発しながら海の底へと消えていった。
一方1型3隻は大回りして後方の補給艦などを攻撃すべく航行していたが航空機に発見され、一矢も報えず撃沈された。
3型の中の2隻はいわばを発見しそこで待機していた。
近くをLSTが通った。そこでエンジンを最大に更かした。音に驚いた米兵だったが距離は既に150mだった。3型が魚雷を発射した。3型は転覆しそうなほど揺れて乗員は軽く頭打った。
米兵は驚き回避しようとしたが不可能だった。LSTは横側の鉄板がもぎ取られ船底も歪み、水柱が吹き上がると、乗員も持ち上がり荒れ狂った海に飲み込まれた。
魚雷を放った3型もあやうく転覆するほどの衝撃を受けた。やがて波の揺れが収まった。
やがて上陸舟艇が上陸間際になったころには1型は1隻、2型は3隻、3型も2隻まで減っていた。
このうち2型は上陸用舟艇の前に立ちはだかり1隻の船員を7名射殺した。全隻撃沈されたが乗員が2人残っていた。その乗員は米軍が面白半分に死体に近づいたとき擊雷棒を用いてLSTに殴りつけるようにして自らの肉体と引き掛けにLSTを1隻撃沈している。爆発の影響も受けこのLSTに乗っていた兵士12名が死亡した。重装備というものも加わるので溺死したものもいる。
最後に残った1型は唯一戦果を上げた。低空飛行で銃撃を加えた飛行機に9ミリ機銃を当てることに成功したのである。9ミリ弾は操縦席の風防ガラスを見事突き破っただけでは足らずか、操縦員の頭も突き破り海へと引きずり込んだ。接近しその残骸に機雷を悔しさ紛れか機雷を投射した。
残った3型2隻は魚雷以外の武装を全て投棄し見つけたLSTに向かって全速力で向かっていった。残りの武装は魚雷1発のみである。
「おい、奥にでかいのがあるぞ、ありゃあ輸送船じゃないのか?」
「なれば目標はあれだな」最大速力30ノットの3型だが33ノットにまで上昇して輸送船へ直進していった。
エンジン音は爆音を出し船体は波を切りそして風を切った。そして1隻がついに魚雷を発射した。魚雷はぐんぐん突き進んでいった。そしてもう一隻は近くの戦車揚陸LSTに衝突し、爆発した。
結果その輸送船は沈没しなかったが航行は難かしいとされた。結局ほかの船に移され輸送船は沈められた。
小型艦艇が出した戦果は戦況を変えるにはいたらなかったが合計で100名と、戦車2両を撃沈したため決して無駄ではなかった。