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戦艦越後太平洋戦記  作者: 賀来麻奥
軍と言う暴風
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激震の日本艦隊

魚雷が轟水に命中した。轟水が1隻、急に揺さぶられそのまま命中した反対の舷側に転覆しそうになるほどゆれてもう一度水平に戻ったかと思うと魚雷が命中した左舷へと一気に傾いた。

 まもなくして艦尾が切断されて沈没は時間の問題となった。


 米軍雷撃機部隊の攻撃はそれでも終了するはずが無く他の轟水を狙うのだった。


 結果として轟水は三隻が沈没し一隻が爆弾を受け戦闘能力を喪失した。海中の魚雷攻撃を防ぐための轟水は空からの攻撃では何の役にも立たなかった。もちろん轟水はそういう風に建設されているため仕方が無いことだ。


 ただこれで敵が何を考えているかわかった。


「奴らは肉を切らせて骨を絶とうというわけか」嶋田は損害報告を受取り、荒々しさを隠し通したように一言放った。肉はアメリカ本土で骨は日本艦隊と言うわけだ。


 「対潜陣にはしましたが、轟水を狙うとは敵も中々ですね。潜水艦からの攻撃もこれで必至でしょう」と神はややうつむいている。

 陸上ではロサンジェルス攻略軍とその他の油田攻略軍が攻撃を行っている。


 ロサンジェルスの同時攻略を決定したのには理由がある。なによりロサンジェルスに油田地帯があることだ。そしてもうひとつが敵の航空兵力を削ぐ事に成功している今なら少々少ない兵員でも占領できると考えたためである。


 

 既に外は夕方となっていた。日本機動部隊は敵機動部隊の索敵を行っていたが不思議なことに見つからなかった。実は不思議なことでもなんでもなく日本海軍が同じく沿岸部にいると判断したためだ。確かに当初機動部隊はやや沿岸部のほうにいたが、現在は西部方面へ展開しており日本海軍がそこを索敵しなかったためであり。必然的なことだった。



 「嶋田長官どうなされました」事態が大きく変わったのは日がすっかり沈んだときのことだった。神が嶋田を見かけたのは嶋田が部屋の中で倒れているものだった。


 神は最初わけがわからなかった。

 艦橋の中の部屋なのだが嶋田が苦しそうに息をしていた。


「何をしているんだ!!軍医を呼べ!長官をベットに寝かせろ」自分自身が叫んでいるのを発見した神は嶋田がかなりの汗をかいているのを気にしていた。



 アメリカ時間〇三〇〇 潜水艦トートグがゆっくりと日本艦隊に近づいていた。

「例の小型船舶はいないな」

「あの空母を狙え!」艦首に有る6本の魚雷発射管に魚雷が装填された。ガコンと音が魚雷の装填が確認された。

「よぉし撃て」6本の魚雷が突き進んでいった。狙われたのは空母加賀だった。

「長官、小型の船がこちらに向かってくる音がします」どうやら轟水らしい。

「真正面に向かってくるのなら好都合だ!深度このままで180度反転!艦尾魚雷装填」


 加賀の上空では数機の航空機が上空を旋回していた。水面に何か動くようなものを発見した加賀の爆撃機は探灯弾を落とした。海面がパァと明るくなる。ゆらゆらとしがら落下していく光源のしたを6本の白い雷跡が進んでいる。


 「畜生!!」不意をつかれた加賀はあわてて舵をきったがそんなもので間に合わない。近場にいた駆逐艦はぎりぎりで回避できた。潜水艦らしきものを発見した轟水は九死に一生を得て魚雷が不発に終わった。

 しかし肝心の加賀に向かっていった4本の魚雷はまっすぐ向かっていき3本が命中した。たちまちパニックが起きた。


 さらに潜水艦トートグにより追い討ちの魚雷が向かってきていた。


 

 最悪の事態だった。

「嶋田長官はどうなっているんです」と軍医に聞くが。軍医は黙って首を横に振った。そして少し間をおいて

「総肺静脈還流異常症かもしれません。緊急に治療が必要です」と言った。


 そして同時に来た報告が轟水の沈没と加賀の戦力喪失だった。

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