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戦艦越後太平洋戦記  作者: 賀来麻奥
変わり行く戦局
38/115

欧州動く

 8月27日

 日本に戻った連合艦隊は悲惨な姿となっていた。まず送った船舶に対し数がかなり減っている。

 戦艦 沈没…比叡、霧島 

    中破…金剛 ドッグで修理の必要有り。主砲転換及び周辺の修復の必要有り。

 巡洋艦 沈没…鈴谷

     損傷…最上、三隅、熊野 上層甲板損傷。最上は主砲転換の必要有り。三隅はマスト修復。

 駆逐艦 沈没…20隻 

     損傷…6隻 艦橋損傷、魚雷発射管、機銃等各艦喪失。

 轟水  沈没…轟水―4 


 補給艦に出番は無く沈没艦は無かった。だが悲惨な結果である。一夜の海戦でこれほその損害が出た。特に駆逐艦は合計で32隻が戦い無事に帰ってきたのは20パーセントも無い。

 連合艦隊で最も痛手となったのは戦艦の多大な損失だ。金剛型戦艦が2隻沈没、一隻中破という有様である。特に金剛型戦艦は空母の護衛も出来る高速艦である。一応戦艦並みの装甲を張っていた。

 轟水の損失は痛いが2隻を葬ったのだからよい戦果である。


 こちらは守るべき島を守ったのである。敵も同等以上の損害を被ったはずだ。しかし資源の差は一目瞭然である。同じ損害を被ったら数が少ないほうが負けるに決まっている。ランチェスター第一法則を使えばいい。Aの戦力が1としてBの戦力が10としよう。そうした場合は10-1という結果になる。ただそれだけである。海軍力はアメリカの2倍あるとしても1(戦力)×2(性能)となり10-2となるだけだ。


 日本が対米7割と主張したのもおそらくランチェスター法則のためと思われる。この場合2条の法則を使う。10対6なら100対36となる。差は64となりそれを√で計算したら8となる。この8とはAがBと戦って残った戦力である。対米7割の場合は。10対7である。100対49と約2:1となる。日本は訓練で米軍の3倍近くあると見積もったのであろう。2倍では敵味方全滅してしまう。それ以下だとこっちが全滅する。


 しかし対米6割しか調達できなかったのが現実である。


 

 一方中国戦線では重慶を占領することに成功したが日本軍は4万5000もの死傷者をだした。ソ連軍は6万人をだして2万名が留置していた。ただ補給が乏しく装備がやや貧弱となりつつある。


 ソ連軍は満州周辺に20万を置き中国戦線に40万をつぎ込んでいる。対して関東軍は100万人を数えるが、中国に派遣した兵は60万人から40万人にまで減少していた。

 

 中国軍は夜襲を繰り返し行い少しずつ日本軍の戦力を消耗させていた。西部方面に逃亡していく中国軍に日本軍は奥地へ入るほどの戦力を持っていなかった。ソ連軍は現在対独軍に戦力を割いているため下手に動けない。


 日本軍はインドに独立援助という名目でインド国民軍というものを作成していた。武器は旧式の41年式山砲を改良したもなどを送り込んだ。

 41式山砲とは文字通り山砲のひとつである。これは大きな放物線を描い目的地に落下するため山が多い地形で使われる。また分解が可能で、山岳地帯や不整地など、通常の野砲が行動力を発揮できない地形で軽快な機動を行うことができる砲である。野砲のように牽引することもでき、また分解して駄載したり人力でも搬送できる。しかし分解して兵が運ぶことができるよう一般的に各部品が軽く作られており、砲身は短く、強度が弱い。そのため同口径の野砲と比較して軽量だが短砲身、低初速、短射程である。重量540kg、馬6頭で分解運搬(駄馬)ないし、馬2頭で牽引運搬(輓馬)可能。山砲として開発されたため人力による分解運搬も可能であり、山岳戦や森林・密林地帯で威力が発揮された。また、構造が比較的簡単であるため組み立てや操作が容易であった。さらに-23℃でも使用可能だ。さらに開発時から改良が加えられており現在は20発/分と高速な射撃が可能である。


 もちろん小銃も38式歩兵銃などが送られたほか当地で軍刀などを作ったりイギリス軍の武器を鹵獲して使用していた。



 一方ヨーロッパではドイツ軍が4号戦車を主力とした戦車で機甲軍団を編成しソ連に進行していった。1個方面軍団まで増強させたソ連軍だがドイツ軍は今現在まえに300万もの兵力をつぎ込んでおりこれは陸上戦で最大規模の動員兵力である。

 またメッサーシミットBf109やハインケル He111など1000機以上を駆使して執拗なほどソ連軍陣地を叩いた。ソ連軍はこれに対して日本に航空機を依頼した。なぜならソ連軍はI-153という複葉機を使用していたためだ。これは複葉機としては最強クラスだが時代はいまや単葉機の時代である。


全幅10.00 m  全長6.17 m  全高2.80 m  翼面積22.14 m²

最大離陸重量2009 kg  エンジン空冷9気筒 M-62 (588 KW) 

最大速度 366 km/h 海面 444 km.h@高度 4.600 m

上昇率3000 mまで3分  到達高度11000 m  航続距離470 km

武装: 7.62mmShKAS機銃(一部は12.7mmUB機銃)×4、82mmロケット弾×6または100kg爆弾


と武装は悪くないのだが速度がどうも遅い。日本陸軍はこれに対して最新鋭の97式戦闘機を売却した。それでも最新鋭のBf109E-3よりは最高速度が35km遅いがこれはいさ仕方ない。良好な機動性があるためこれで同等程度の性能と判定された。97式戦闘機搭載の「興」33型空冷星型複列14気筒の1100馬力は97式の防御力をあの速度で飛ばすことが出来る要因である。

 また火力もほぼ同じである。防御力も大して変わら無い。そして航続距離なら97式戦闘機のほうが足が長い。


 

 ドイツは無限潜水艦作戦を宣言した。これは戦争に関係する軍艦を目標とするものであった。それに対し、攻撃範囲をひろめ、民需用や中立国船籍も含めた商船などについても攻撃目標とする、文字通り攻撃目標を無制限にするのがこの作戦である。同時に、乗船者避難の猶予を与える事前警告も省略するものである。海上封鎖の手段として用いられる。潜水艦にとっては目標艦船への攻撃可否の判断が容易になり、効率的な攻撃が可能になる。

 

 これによってアメリカとイギリスのシーレーンは侵されてこのままいけばイギリスは物資不足に陥ることとなる。これによりアメリカ海軍は駆潜艇等を大西洋にまわさなくてはならない。




 オーストラリアでは日本軍の航空攻撃を恐れていた。さすがの日本もここまで爆撃できるのは97式大艇だけであった。これを受けて日本は商戦を改造した軽空母の建造を早急に設計し造船に踏み切ることにした。20機程度の小型空母だがこれを4隻建造し山口率いる防空戦艦山城に轟水と駆逐艦をつけてこの地区の機動部隊を作成しようという目論見があった。しかし先に主力艦隊の修復が先である。



 各国が様々な問題に直面している中、ドイツやイタリアなどの軍は膨張していくのだった。そしてイタリアは占領したマルタ島に無事航空隊を設立し地中海での制空権を確実なものとした。またアフリカに30万の兵力を送り込んだ。


 

 皇国大日本帝国はこの戦争を乗り越えることが出来るのか。そして自らどのようにしていくのだろうか?平和への道のりは遠い。

 タイトルのようには欧州戦線が目立ってませんがそこは多めに見てください。


 とりあえず海軍拡張期に入りますので。大きな海戦ものはまた一時期ありません。


 お気に入り11件をはじめとした読者の方々毎回読んでくださりありがとうございます。

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