表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦艦越後太平洋戦記  作者: 賀来麻奥
壮絶なる消耗戦
35/115

ミッドウェー海戦

 「米軍の艦隊など何度でも叩き潰してくれるわい」嶋田長官が意気揚々と越後の作戦室で机上演習を行って宣言した。

 机上演習とは兵棋演習ともいい将棋のこまなどを使用しサイコロを砲弾や魚雷の命中率などを決定させる。 

 戦艦だけでいえば「金剛」が沈没「比叡」が大破。それだけで米艦隊を撃滅できるとなっていた。駆逐艦は15隻ほど戦闘力喪失となっていた。

 戦艦部隊の増援と共に駆逐艦も新たに24隻が送られてきた。吹雪、綾波、暁型駆逐艦である。巡洋艦もそれに付いてきた。「最上」「三隅」「鈴田」「熊野」の4隻だ。この4隻は高雄より新型である。


 宇垣纏はこの机上演習を見て日本側にひいきされているのが分かった。山本五十六もこれをみて

「待ちなさい。敵の戦力を過小評価しておる」と言ったが嶋田はまともに聞き入れようとしなかった。


 天才肌の神少将もこの結果には疑問を抱いたが長官が決めたことである。こうなっては何もいえない。こういう結果になったのならこういう結果より良くするまでである。

 

 次の日ハワイを出航したと潜水艦より打電があった。その潜水艦は突如アメリカ海軍の駆逐艦の爆雷により重油の膜と破片、屍に姿を変えた。

 これに対抗すべく連合艦隊はミッドウェー島に向かった。


 山本五十六は艦隊決戦の前に航空兵力で敵の戦力を減らすべく漸減作戦を希望した。これには嶋田もあまり気がなさそうだったがこの作戦を採用した。

 それは夜間に97式大艇で250キロ爆弾を4つ積んでアメリカ戦艦部隊を叩き潰す作戦である。参加機数は10機だ。そのため米機動部隊より早くミッドウェー島に97式大艇を送り込まなくてはならない。急ぎ97式大艇はミッドウェー島に向かった。


 日本艦隊は戦艦6隻、巡洋艦4隻、駆逐艦32隻、轟水12隻、補給艦8隻が速度16ノットで向かった。

 夕暮れに向かうアメリカ西海岸の海の下でその艦隊を狙うアメリカの潜水艦ポーパス級潜水艦だ。

533mm魚雷発射管6門(艦首4、艦尾2)  533mm外装魚雷発射管2門(艦首2、1942年以降)

搭載魚雷16本(外装魚雷発射管装備後は18本) Mk.21型50口径76mm高角砲1門

12.7mm機銃2基  7.62mm機銃2基と武装は一般的なものである。これと同じ型のものをただ量産する大量生産主義なのがアメリカという国なのだ。大して日本はちょこちょこと優れたものを作るなら少しの生産力の遅れに対して目をつぶるという個々の優力主義だった。

 要するにどういうことかというとアメリカは量で、日本は質で勝負ということなのだ。そのポーパス級潜水艦の中では。


「おお!馬鹿でかいのがそろいにそろってるな」

「あれがフィリピンのほうでこっちの真珠湾にいた戦艦部隊をそうまとめで叩き潰した艦隊か。あれは金剛級だな…先頭のはなんだ?」敵艦を子供がおもちゃをもらってものめずらしそうに見ているような感じで越後型戦艦を見た。

「あれがうわさに聞く"ヤマト"というやつではないか?」どうやら潜水艦の連中にはなぜか開発予定の"ヤマト"の名前で親しまれているようだ。まあ日本が建造をワシントン海軍軍縮会議で大和型の建造を求めたために新たに作られた船を"ヤマト"型と思っているのだろう。


「追いかけます?」新手の操縦員が艦長に問いかける。

「馬鹿か…16ノットなんぞに追いつきゃせんよ。…撃ってみるのはよさそうだがな」

「撃ちますか?」わくわく感が浮き出ている目だ。

「敵との距離は何メートルだ」

「ヤマト級とは3000メートルです。艦隊全体からは2400メートルです」

「うーむ…近いな…」悩んだが・・。

「よし!深度60。方向を180度変更し艦尾方面で2発を連続で撃て。その後確認して8ノットで逃亡だ。おっと本部への連絡が先だ」艦長は考えて決断を下した。

「5番、6番魚雷発射管装填終了しました!次期装填もいつでもできます」声色をいつもよりうれしそうにして艦長に報告する。よし深度8メートルで発射!」白いを尾を引いた魚雷が日本艦隊へ向かった。だが次に日本艦隊は向きを換えた。

「何!気づいていたのか!」

「艦長小型の船舶が2隻が向かってきています!」

「何!」2隻の小型船舶とは「轟水ー10」「轟水ー3」である。轟水が多いのは南方方面のをこちらにまわしたからである。

「逃げるんだ」既に8ノットで逃げている。

 しかし轟水は無理をすれば20ノットは出る5分足らずで追いつかれた爆雷が投下される。ドンドンと海中で爆発する爆雷におびえながら逃げた。しかし彼らはそれから1分後は無数の残骸へと姿を変えた。



 〇九〇〇 潜水艦より報告を受けたアメリカ艦隊はミッドウェー島に進路を向けて約80隻の艦隊は無猛然と向かっていた。すると…爆音が聞こえる。

「ジャップ!」急いでハワイに航空支援を要請した。しかし20分はかかる。

「全艦対空戦闘用意!」砲が空を睨む。新型の40㎜機銃や高射砲がいまかいまかと待ち望んでいた。すると突如アイオワ戦艦の甲板で落下音が聞こえ目の前に水柱が立った。

「真上だ撃て!!」アイオワ級戦艦をはじめアトランタ巡洋艦、駆逐艦が空に機銃、砲弾を飛ばす。一機が運悪く直撃した。フロートが離脱して胴体も四散した。

 しかし残りの6機は爆撃を続ける。

「回避行動だ!」この海戦の司令官スプルーアンス長官をはじめウィリス・A・リーやハルゼーやミッチャー等々が命令をすばやく出す。そのためだろうか、はたまた水平爆撃のためなのか当たらない。ようやく駆逐艦バートンに命中、大破した。さらに巡洋艦ジュノーが至近弾を受け爆風や破片で20名が負傷した。だがさらに一機が翼を欠けさせられ墜落した。


 そうこうしてるうちにハワイよりきたのはなんと陸上戦闘機のP-38である。300キロしか離れていないためお手の物だ。P-38ライトニングが重攻撃を開始する。20ミリ弾や12,7ミリ弾を九七式大艇に向け発射する。


 しかし97式大艇も9mm機銃や25ミリ機銃で応戦する。630キロで追撃するのに対し340キロで逃げるしか方法が無いのだ。

 ライトニングを1機墜落。しかし97式大艇はさらに5機が撃墜された。くもの隙間に入り逃げる。12,7ミリ機銃には何とか耐えたが20ミリ機銃には歯が立たなかった。さらに一機が撃墜された、それからは1機を撃墜し返して、上からフロートを風防にぶつけて2機を破壊して何とか1機のみ逃げ切れた。


 

 漸減攻撃は失敗した。駆逐艦1隻の戦闘能力を奪っただけでこちらは貴重な水艇を9機失ったのだ。ライトニングも4機を墜落したが戦果に見合う損害かどうかは疑問なところだ。

「やはり航空機では太刀打ちできぬな。まあ水艇とはいえこんなもんだろ。航空機とは」嶋田長官があきれたような顔で言った。

 神少将もそれには賛同した。


 〇二〇〇

 「距離4万メートル向こうに敵影らしきものが見えます」越後の艦橋でアメリカ艦隊を捉えた。一方のアメリカ艦隊はいまだ見つけれてんかった。

 「よし戦艦部隊は距離3万で砲撃!水雷船隊は敵を峡むように攻撃せよ!」嶋田長官は越後の艦橋で命令を下した。


 〇二一五

 「長官!距離3万2000メートル向こうに敵艦らしきものを発見しました」アイオワも遂に日本艦隊を捉えた。

「そうか。では戦艦は距離3万で砲撃開始だ」冷静に言葉を命令で返した。


 〇二二〇

 「距離3万!」

 「よぉし撃て!!」

 「全砲塔撃ち方はじめ」53口径の砲身が以外に早く動く。6秒ほどで仰角34度がとれた。そして仰角34度をとった砲身から16インチ砲弾が大きな爆発音と共に爆風を甲板にぶつけ飛び出る。一瞬だけだが明るくなる。飛騨も砲撃を開始した。9門の砲弾が暗闇に包まれた空に上りある程度の高さまでいくとすごい勢いで落下するのだ。


 アメリカ艦隊はこの砲撃を確認し砲撃を始めた。50口径のアイオワ砲塔が動き発砲する。4隻は計36発の砲弾を日本艦隊目掛けたたき出した。


 金剛、比叡、榛名、霧島の4隻はこの距離からの砲撃などは全く当たらない。何しろ45口径14インチ砲なのだ。届くのは届くが本当にこればかしは当たらない。しかし速度30ノットを生かし接近する。なにしろ分速900メートルの速度で接近するのだから距離3万メートルはぐんぐん短縮された。そして6分ほどで距離2万5000メートルにまでつめることが出来た。4隻は猛然と砲撃した。目標はもちろん戦艦である。駆逐艦や巡洋艦は左右に別れ縦一列で突進していった。

 

 アメリカ艦隊も負けてはいない。日本艦隊の侵攻する先をすばやく予測して日本より優れた砲弾レーダーで未来予測場所を測定して主砲を打った。


 最初に砲弾を直撃させたのはアメリカだった。巡洋艦リノの放った11インチ砲弾だ。11インチとは大体28センチほどである。それを駆逐艦裏波が煙突を弾き飛ばされて魚雷発射管にも被弾した。装填されていた魚雷が誘爆した。破壊された煙突の中に炎が入り込む。甲板上でも大火事を起こす。裏波は巨大な何かが海のそこから引きずるような速度で爆発しながらごぼごぼと急速な速度で沈没していった。


 一方戦艦部隊のほうでも最初の砲撃を当てたものがでた。

 


 すごく足が痛いのはさておき、どうも。ようやく艦隊決戦編です。とりあえずこの戦闘は後2話構成としております。


 次回の更新は当分先です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ