アメリカ本土ヲ爆撃セヨ
アッツ、キスカ、ミッドウェーを取得した日本軍はアメリカに対し攻撃ができる状況であった。またオーストラリアはポートモレスビーの米軍が全滅し物資が満足に来なかった。そのためオーストラリアのポート・ダーウィンが空襲圏内に入った。
その時本土では世界でも類を見ない高性能機が誕生し量産体制に入ろうとしていた。
性能は、
全幅 41.0 m 全長 25.6 m 全高 6.32 m 翼面積 168 m²
重量 18.5 t 過荷重 24 t 乗員 9 名
発動機 空冷星型複列16気筒「蛍」一一型 離昇1300馬力
最高速度 340km/h 巡航速度 290km/h
航続距離 正規 5000 km / 偵察過荷重 6800 km
武装 25mm旋回銃 ×1 / 9mm旋回銃 ×4 / 航空魚雷 ×1本 または爆弾 1,5 t(60 kg爆弾 ×20 または250 kg爆弾 ×4)
というものだった。その名は97式飛行艇だ。
この25㎜旋回銃は20㎜銃よりも威力を増大させるべく開発したもので初速は
750m/sとやや高速でありながら異様な軽さだった。後にこれが戦闘機に装備されるのだがそれはさておき恐ろしい航続距離である。また発動機は大型機用の物である。直径が大きいが馬力と燃費のよさがかわれて4基あわせて5200馬力となっている。馬力に対して速度が遅いのは防御力を増加させているからだ。
日本はこの機体をこの熱い8月2日に前線基地のポートモレスビーに4機送ってきた。物資が無いこの国がこの4機だけで16基もの発動機を搭載している。その分性能は良い。
そしてアッツ・キスカに5機ずつ送られた。14機開発した全てを前線に早々に送り出したのはある計画を実行するためである。アメリカとポート・ダーウィンを爆撃するのだ。アメリカはシェミア島とアンカレッジを空爆するのだ。シェミア島はソ連警戒用の陣地としても使え、アンカレッジは湾、滑走路などの工業地帯の集合地帯である。
ハワイを攻略してアメリカ本土に上陸するという計画を山口多聞は立てていたがハワイ攻略自体陸軍は乗る気でなく、アメリカに上陸などした次の月には補給が尽きる可能性すらある。
ここのところアメリカ軍の潜水艦による攻撃が増加しており1週間で20隻が撃沈されている。海軍はあわてて水中レーダーを使用した対潜水艦用の船の作成を進めたがなかなか上手くいかなかった。
結果として10月には97式飛行艇を輸送機に改造したのを12機作成し輸送を行うことにした。9mm機銃を2丁減らし、爆弾投下機などをすべてなくすことにより最大速度は360kになると考えられていた。
そして作戦実行日が来た。約1日の飛行が可能な97式飛行艇に500キロ爆弾が3つ装備が2島あわせて8機。60キロ爆弾を20個積んだものが2機。
さらに
「赤城」(96式戦闘機18機 96式艦上爆撃機18機 96式艦上攻撃機27機)
「蒼竜」(96式戦闘機18機 96式艦上爆撃機18機 96式艦上攻撃機18機)
と2個駆逐戦隊である。この2隻の他もう2隻空母がいたが本国に帰還した。燃料の問題でタンカーを使用してなんとか3月分の燃料を得ることが可能だった。
計10隻の艦隊は16ノットで数時間前に出ている。そして8機の機体もそれぞれ発進していった。
〇〇〇〇 日付が変わり8月4日となった。アメリカ本土まで後600キロだ。2時間半すれば8機が目的場所にたどり着く。
一方の機動部隊もアメリカ本土まで2000キロに接近した。今回の任務はアメリカ本土空襲ではない。 船舶が接近したきたら撃破するという作戦である。また敵艦隊がこれに応じて出てきてくれることを願っての作戦である。
〇二三〇 トラトラトラ(ワレ奇襲ニ成功セリ)。湾内の船舶は軍の船舶4隻、大型貨物船17隻、そのほか30隻。また燃料タンクを発見した。
500キロ爆弾を3発搭載した97式飛行艇か低空飛行で侵入した。このころようやく慌しくサイレンが鳴り出した。
しかし、不気味な音を立てて落下した500キロ爆弾を投下させた。物資を満載していた貨物船に1発命中したのを皮切りに爆弾を次々投下させた。500キロ爆弾は船舶をおもちゃのごとく壁や天井を突き破り1隻でようをなさなくさせた。
さらに燃料タンクに2機が襲い掛かり徹底的につぶした。すぐさま爆発炎上した。もうもうと黒煙が巻き上がり、1機が撃墜されるのを覚悟でやや高度を上げて滑走路上空に姿を現し爆弾を3発投下させた。
1発目は滑走路を粉砕し大穴をあけた、2発目はBー17爆撃機2機を爆破させ、もう1機は格納庫に命中し、9機が爆発炎上し修理器具やエンジンや銃器がすべて爆発した。
船舶を狙った5隻は多数の至近弾や命中弾を出して大型貨物船を8隻撃沈/大破させた。さらに燃料などを満載していたのが災いし、横の船舶などに被害が及び結果的に以下のようになった。
軍直属の船舶 2隻撃沈/大破 大型貨物船8隻撃沈/1隻大破 小型輸送船/タンカー2隻撃沈/10隻にわずかな損害。湾内の燃料タンク半数。滑走路2つ。戦闘機/偵察機7機撃破 B-17爆撃機4機破壊
人的被害4000名死傷。家屋20軒以上が破片効果などで倒壊した。航空軍施設も3軒崩壊。
さらに同時刻には2機の飛行艇がシェミア島を大爆撃し守備兵などを400名死亡させた。
〇三〇〇 完全な奇襲だった。対空砲により1機が損傷したが何とか持ちそうだ。機銃掃射もし、燃料も少なくなったおかげで最大速度は360キロもでた。1時間後巡航速度に戻した。
そして朝方壮大な水しぶきを上げ10機が各島に帰還した。
見事奇襲成功。機動部隊はどうなったのか?ポート・ダーウィン爆撃はどうなったのか?