ポートモレスビー戦記
何か忘れてたような…あっヤバ!!b-17忘れてた!!
俺は新妻三郎。所属は陸軍歩兵第226連隊。名前のとおり3男だ。家が比較的裕福だっので家族全員どっしりとしていた。そんな俺が陸軍に入ったのは18歳の時、一朗兄さんは家の事情で軍隊にはいかなかった。だから二朗兄さんと1年違いで軍隊に入隊した。
最初の2年はほんとうに訓練が厳しく軍隊上問題の上官によるいじめがあった。幸い俺は何かしらへまを起こさずいじめにあうことはほとんど無かった。二朗兄さんもなかったのは体が頑丈そうなためなのだろうか?
そして4年がたち俺は兵長に昇格した。ちなみに二等兵から1等兵まで1年いれば自然にそうなる。一等兵と新人の違いは2年しかない。
この兵長というのは上等兵の内100人中とか50人中から数人しか昇格できないという位だ。兄は満州地方の戦線に送られ、俺はこの暑いニューギニアに送られてきた。
戦闘機が訓練のため上空で編成を組んでいる姿はいかにもすがすがしかった。そんな俺たちに課せられた任務とは森を抜けて敵陣地に向け侵攻して、敵を殲滅しなおかつ通信施設・軍事施設をすばやく占拠するとの事だった。
そして森に入る前には艦砲射撃が援護としてくるという嬉しい情報がきたのだった。
そして進みに進み遂に俺達は数十分前…つまり夜中の2時に敵陣へ突撃したのだった…。
先ほどまで艦砲射撃の音が聞こえていたが引き返したのか艦砲射撃が行われている様子は無い。俺は98式歩兵銃を頼りに敵を撃つとすばやく前進しくぼんだ陣地にかがんだ。そのとき若干丘のような場所にいたため非常に湾が見やすかった。
自慢の視力2,5で…見ると…水平線のはるか向こうの海が燃えていた。燃えている船が2つ…3つ…4つ…海中で破片が燃えているのもあるのだろうが間違えなく見方の船もやられている。敵・見方の銃声と砲声が絶え間なく聞こえる中で俺は普段聞いているのとは異なる爆音を聞きつけた。
段々近づいてくる。上空を何か怪鳥のようなものが通っているような感覚に襲われたその時。砲弾の落下音とは比べ物にならないものが味方兵士のところに落ちた。聞こえてきたのは断末魔の叫びだった。目がくらむような閃光が覆い土埃がもうもうと立ち込めた。俺はどうなったかが気になって戦闘などまったく無視していた。土埃が減り少し見え出したとき黒い焦げたような土の上に…。それは変わり果てた姿だった。まず俺はそれが人間だったと最初分からなかった。
その近くでまた爆発音が…味方は大混乱に陥り敵は一時的に体制を建て直し機関銃を撃ちかけてくる。逃げまとう兵士が幾千の銃弾に襲われた。
憎しみが頭を支配し俺は撃たれるのを覚悟に立ち上がり接近した。そしてここぞとばかりに98式歩兵銃の引き金を8回ほど引いたとき敵の機関銃弾が吐き出されるのがとまった。よし!!当たった俺は確信した。ところが…。
オレンジ色の小石のようなようなものが無数に俺のほうに飛んできた。距離500本能的に伏せたときは、俺の体に既に数発の弾が突き刺さったときだった。軽機だったため腕が飛んだりなどのことは無かったが腹に3つほどの8ミリの穴が開きそこから血が噴き出た。水筒が割れて冷たい水が体をぬらす。せめて最後に水をと思い水を飲んだ。すると意識が幾分かしっかりとした。
軍服の下から何かしら役に立つかと思い布を入れていた。その布を取り出し腹の穴を押さえすっかり赤黒くなってしまった軍服を上にした。ミシンのような銃弾が飛んでいる。爆発音と共に上空から何か投下され、それが味方の陣地で炸裂する。地面が揺れる。
いつ爆弾が自分に止めを刺してくれるのか?銃弾が何故あたらない?早く殺してくれという願いと共に生きたいという矛盾した気持ちが引いては押し引いては押しと相撲のごとくせめぎ合う。
すると新しい爆音が鳴り響いた。この音は…。
意識が薄れてきた…上空で機銃掃射の音がする。上空で何かが爆発する音。味方の歓声…突撃ラッパだ…突撃しなくては…いやもういい、疲れた…。俺の意識は消えてなくなった。
「おい新妻!死んでるのか」ん?うるさいな誰だ?
俺はまぶたを開こうとしたが開かない。手は動く。
「おっ!早く起きんか」はい分かってます。
手で目を擦りながら体を起こした。ぼんやりとしてはいたが目が開いた。
「貴様大丈夫か」ああ同期の島田か。
島田とは同じく兵長で妙に馬が会う奴だった。
島田の顔がぼんやり見えてきた。
「勝ったぞ」俺はその声を聞くと自然に笑みを浮かべた。
死臭と火薬の音が漂う中日章旗が翻っていた。
島田の話によると味方のニューギニア航空隊の精鋭がb-17を叩き落して敵陣地に機銃掃射を行い、そこで突撃命令が出たため一斉に敵陣へ向かい敵主力を殲滅・降伏させたのであった。
誇らしくポートモレスビーに翻る日章旗を見て俺は戦友の亡骸を片付けていった。
主人公を1人書きそれを中心に話を進めるのもなかなか書きがいがあって楽しいです。
次回からはどのような展開になるのか?