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戦艦越後太平洋戦記  作者: 賀来麻奥
侵攻と暗雲
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突然の襲来

 それは文字通り"突然"であった。時刻は〇六〇〇見張り員が欲していた睡眠という世界に米軍の新鋭機F4Fワイルドキャットが永遠に送り込んだ。同時に"双胴の悪魔"の名称で親しまれるP-38ライトニングの2種類が同時攻撃を行ってきた。このワイルドキャトは素人でも落とされにくく、危機的な状況になったら逃げれる機体を作成してくれと言ったことより開発された艦上戦闘機だ。

 96式戦闘機と同じ種類でありながらずんぐりとした形をしている。またP-38は双発の戦闘機だ。武装は20mm機関砲1門、12.7mm機関銃4門が機首に装備された非常に強力なものだった。そしてワイルドキャットは12,7mm機銃を4つ装備した戦闘機だ。


 ニューギニアには3万名このとき上陸していた。しかし戦闘機は36機しか配備されていなかった。対して敵機数は60機にも及んだ。36機のうち数機が地上撃破された。そして舞い上がった瞬間急降下しながら射撃を加えてくるアメリカ機に火達磨にされた。まともに空中戦等の体制には入れたのは26機だった。身軽な動きで9mm機銃をいつも通り敵の胴体、翼、コックピットなりに照準機をみるまでもないほど接近して撃つが…墜ちない。確かに白煙は吐いているようだが飛行に問題が無いようだ。驚愕している97式戦闘機にP-38が機銃で射撃を加える。13㎜防弾をしているとはいえその13㎜(12,7㎜)機銃が4丁も有り、20ミリ弾までも装備されているのだ。勘が働いたパイロットは軽やかな動きで交わしたが、やはり数名が餌食となった。この9mm機銃は新型ではなく従来のものを使用していて、必死の整備をしていたがどうも発射速度が遅くなっていた。新型タイプは砲身を長くしたり装填部分の改良でそんなことは無いのだが、従来タイプはやはり急に製作したものだからそこにボロがでたのだ。

 

 兵舎は機銃で穴だらけにされ木片となり崩れていき、カバーされていない弾薬庫を20ミリ機銃が襲い、弾薬庫もろとも吹き飛ばし、整備兵や対空機銃をあわてて打ち出した兵士を土砂のそこに埋め込んだ。



 30分の襲撃を終え敵は帰路に入った。そこには無残に壊された廃墟同然の基地と凸凹の滑走路があった。兵士達は自分たちは死と隣り合わせにあることを実感し、救助作業や復旧作業を焦点の合わない目をしながらどんよりと行っていた。


 破壊された97式戦闘機は28機に及び、残る8機の内1機が使用不可だった。一応人命を重視した設計(日本としては)をした97式戦闘機は36名中20名を生かしたが16名の熟練パイロットを敵機を対空機銃の戦果とあわせて18機で失ったのである。


 そして本土にこの連絡が届いたのは数時間後のことである。陸軍の無線で島伝いに連絡された。この情報に日本軍は驚愕した。まずオーストラリア側から来たということだ。そんな長い航続距離を持ちえる戦闘機があるのかということと、旧式とはいえ9mm機銃を数十発当てなければ墜ちなかったということだ。また重傷者や基地の損害なども深刻なものだ。

 鴨田、山口、山本五十六、米内、豊田などの云々で大規模会議を開いた。


 山本と山口は大体次のような主張だった。「敵が新型航空機で来たのなら新型機で返り討ちにすればよろしい。いまこそ強力な我戦艦2隻で援護しつつ空母を中心とした艦隊を編成したほうがよい」山口はそれに加え「海防艦を大量に作成し輸送船などの安全を今後は確保すべき」といっていた。それに対し豊田は「いや航空機で戦艦を撃沈できたのはネルソンだけではないか。いまのところアレしか撃沈できておらず、あれは単なる偶然ではないか。おまけにあれは長門とだいたい同じ年代だが旧式戦艦で、速力も遅く防御力も低く対空兵器もあまり装備されていないではないか」事実500キロ爆弾が貫通した話は有名である。また対空兵器はこの時代では一般的だが確かに少ない。

 「そして今後も対空兵器は進化を遂げる。航空機では戦艦に太刀打ちできない」と言ったところで鴨田が「話がずれている。大艦巨砲主義だの航空機主義だのこの際関係ない。敵の撲滅についてだ。率直に言うとニューギニアに戦艦を移動させ敵の脅威を払いのけ、いっきに制海権を握るというものだ」と言った。米内は「つまり長官は航空機はいらないとおっしゃるのですか」と聞くと「戦略のの段階ではな。そして豊田が言ったとおり対空兵器を現存の艦に装備させれば敵機も寄り付かなくなるだろう」と言った。「では燃料のほうはどうします?」山口が聞くと「それこそ君達が言った航空機で運べばよろしい。輸送用の機を開発してな。もちろん水上艦にも働いてもらう」「そこでございますが、その水上艦に護衛をつけて輸送の安全を…」と言ったところで「潜水艦のことか?大した脅威になってはいないでは無いか。そもそも彼ら(アメリカ兵)の生活環境ではあのような狭い空間での生活は無理だろう」とまでいいだしたのだ。後者のほうは完全なる妄言である。


 その後も会議が続き結局護衛戦力はおろか空母増産計画も見送られたままで最前線に水上艦集結させるとのものだった。これが結局自分の首を絞めることになることも知らず。


 試験前夜なのでもうこれ以上時間はつぶせません。毎回読んでくれるかたがたには感謝しています。これからもどうぞよろしくお願いします。

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