没案:国府軍の尖兵
ビルマの砲声は九月八日に投稿します。
間違えて没案の方を完成させてしまいました(ーー;)
まあそのまま消すのもアレなので投稿させていただきました。すいません。
一九〇〇「二人一組になり敵陣に潜入しゲリラ攻撃を行って欲しい」リーダ格の男が一〇名の兵士に向かいそう言った。続けて「本作戦の目標は敵の重兵器の破壊である。戦車でも砲でも何でも良い。作戦が終了した部隊は直ちに撤退せよ」それだけ伝えると国府軍が結成した夜霧隊は任務を遂行すべく日本軍陣地に目掛け一斉に駆け出した。
彼らに与えられた武器は火炎瓶とナイフのみの貧弱なものだった。それでも五つのグループは各々の任務を遂行すべく平地を駆け、伏し前に進んだ。五班はそれぞれ華・史・剽・雄・印の名をつけられていた。
その5班の中で地理を活かしまず日本軍陣地の手前に来たのは印班だった。
二一二三 砲弾によるものか自然によるものかなんとか転がり込んだ窪みに印班の二人は転がり込んだ。印班の八〇m前には有刺鉄線が申し訳ない程度に巻かれた日本軍の前線陣地が見えた。歩哨が数十メートル毎に置かれている。見つかりでもしたら銃弾が頭蓋骨を撃ち砕くだろう。周囲に草はあるが全て背が低く身を隠すことが難しい場所であった。。
しかし作戦を中止するわけには行かない。隙等見せてくれないのなら切り込むしかない。ナイフを構え火炎瓶に頼りない火力しか無いマッチで火をつけるとそれを右斜め方向に力一杯投げ飛ばした。二人は地面に伏して進行を開始。数秒遅れて火炎瓶の爆発音が聞こえた。歩哨は火炎瓶が投げられたのに気づいたのか、爆発したのに気づいたのかのどちらかは不明だが数発銃弾を周囲に打ち始めた。後方から兵士がざわざわと出てき有刺鉄線を超えて二四名で一列となり銃を構え進み始めた。二人の元にも小銃を構えた日本軍兵士が迫る。再び窪んだ場所を発見し転がり込んだ。足音が近づいていくる。心臓が出そうになる。 そして、窪みの手前まで来た日本兵の足を掴み引きずり込む。口を抑え心臓部にナイフをメッタ刺しにする。返り血が飛び回り二人は真っ赤な血液に塗装された。。なんにせよ日本軍の歩哨部隊がここに来るのは必然的だ。一人が日本兵歩哨が持っていた歩兵銃をかざして窪みから飛び出る。歩兵銃には銃剣が装着されていた。ないよりマシだとでも判断したのだろうか。
当然飛び出した瞬間に前から後ろから銃弾が一斉に撃ち込まれた。自分たちの周囲に土埃が立ち弾丸の軌道さえ見えた。この時遅れて雄班が到着。雄班はこれを好機とし突入を図った。ナイフを構え印班に注意を惹かれている日本兵へと走り向かった。
結果として印班は二人とも戦死。雄班も一人が死亡したが一人の行方が不明となった。 日本軍の前線基地はこれを受け臨時体制に入り見張りの増加とともに一人の兵士の探索を行った。一番辛かったのは歩哨二人の戦死だった。他1人が足に二回刺され怪我を負った。
二二一〇 先ほどの襲撃の騒ぎが収まらぬうちに剽班が慎重にゆっくりゆっくり接近していた。「やはり歩哨が多いな」二人のすぐ先には日本兵がウロウロと辺りを巡回している。拳銃でもあれば良いがこの装備でまともに戦闘をしても一方的にやられるだけである。彼らはとにかく待った。
同時刻 華班と史班は3班が向かった場所とは違う方向へ向かっていた。彼らが向かったところはとりわけ重要視されていなかったのかほとんど兵力が配置されてなかった。有力な兵どころか人間にすら合わない。緊張感が解けつつあった頃にガタカタカタと音がしてきた。華班の一人が双眼鏡を持っていたため覗く。「タンクだ」紛れもなくそれは戦車であった。主力の九七式ではなく九五式軽戦車であった。戦車の周りには兵士が一人ついてきていた。「交戦の必要は無い・・・戦車を破壊すれば良いんだ」火炎瓶を二人が構える。岩陰に姿を隠す。戦車はゆっくりこちらに近づいてくる。そして五〇m内に入ったとき岩影・・・つまりこちらに近づいてきたのだ。華班と史班は覚悟を決めナイフを取り出した。そしてこちらに歩み寄る足音が次第に大きくなる。「今だぁ」合図とともに二人がナイフを構え飛び出した。陸軍兵士は慌てて発砲しようとしたが間に合わない。接近戦ではナイフの方が有利だったのだ。陸軍兵士は喉を掻っ切られた。残りの二人は戦車向かい走った。一人が重機関銃によってボロ切れにされるが、もう一人は火炎瓶を戦車へと投げる。ちょうど戦車の下へと入り込む。数秒が立ち爆発が起こり始める。一〇秒後にはメラメラと木造建築の家のごとく燃え始めた。転げ出てくる戦車兵を華班はナイフで刺し殺した。
「よし史班は拠点に戻り報告、華班はこのまま前進する」その指令に従い一人になった史班の男は戦友のバラバラになった肉片とボロ切れから軍服のボタンを取りその場を去った。
二三〇〇 剽班が動いたのはこの時刻であった。雄班の一人が陣地内部で何かしらの行動を起こしたらしく陣地が混乱している。潜入するなら今だ。数秒後に陣地内部で爆発が起こった。それに続いて銃声が鳴り響く。雄班の行動を察した剽班は駆け足で陣地に接近した。歩哨は爆発に目を惹かれていた。有刺鉄線の隙間を抜けて陣地に潜入後、建物の影に剽班は隠れた。
「よし次は騒ぎが少しおさまったら敵の地上兵器を破壊する」数分と経たずに陣地では騒ぎが収まったここが日本軍の統率力を表すものだ。しかしどこかゆるい場所がある。「よし移動するぞ」その時剽班と巡回してきた兵士が鉢合わせした。
二三一五 「うっ・・・」帝国陸軍兵は口を抑えられ背中側からナイフで刺されていた。もう一人は首を斬り刻み兵士の目玉をくり抜いた。息絶えた兵士から軍服を奪い取り死体は積まれてあった土嚢の影に置く。巡回してきた兵士を殺害した剽班は時間稼ぎに過ぎないが陸軍兵士から奪い取った軍服を着た。「二人くるとは・・・ちょうどいい」剽班は陸上兵器を探索すべく再び移動を開始した。
二三三〇 華班は兵士を運搬しているトラックを発見した。戦車とトラックを破壊したとなればたかが四人にしては大戦果だ。華班は目標をトラックに定めた。四輌が連なっている。「よぉし」火炎瓶をトラックが来るであろう路上へと放置する。踏めば自動的に炎が吹き出る。戦車はディーゼルだから火をつけないといけないがトラックはガソリンだから踏めば勝手に炎上する。トラック群が近づいてくるため2人は道の端に伏した。一輌目のトラックはひかなかったが二輌めの後輪がきれいに火炎瓶を踏み割った。と同時に炎がタイヤから吐きでて兵士や車体に燃え移る。「あちっ熱い」兵士が転げ落ちる。さらにトラックが停止したため三輌目にトラックは速度を落としきれず衝突した。そしてその三輌目に四輌目が激突した。玉突き事故だ。火炎はガソリンに引火してトラックをたちまち火だるまにした。火は次々広まっていき3輌のトラックは炎上し爆発して使用不可能になった。さらに少数の兵士は大やけどを負った。おまけにこれは前線への兵力輸送さえも遅らせるという効果さえも生んでいた。
だがこれらの戦果が報告されることは無かった。彼らは一輌目の兵士に射殺されてしまったからである。
二三四〇 剽班は日本軍陣地にあった弾薬庫から手榴弾を奪い取り兵舎に投げ逃走を図った。しかしこれも発見し射殺された。
かくして国府軍の送り出した一〇名の兵士による攻撃は中途半端のまま終了した。しかし剽班が投げた手榴弾が現場指揮官と参謀を殺害するに至ったと誰が予想しただろうか。
予告詐欺ごめんなさい。