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戦艦越後太平洋戦記  作者: 賀来麻奥
栄光の海戦
14/115

日本機動部隊の猛攻

 兵器の解説をいれてみました。少し実史と違うからちゃんと実史は実史、これはこれで分けてね。


 日本機動部隊は夜航空機で大攻勢を仕掛けた。

 

〇一三〇 

 戦艦越後以下艦艇は東に向かった。目的地はレイテ湾の周囲である。敵はここで作戦行動を行い兵力の増強を送ってくると判断したのである。しかし、潜水艦の報告によれば、輸送船団を発見してないと言う。が、こちらも主力上陸部隊を後方に控えているため同じ状況だろう。

 

日本艦隊は朝の6時ごろに機動部隊を発進させることにした。ただ第1遊撃艦隊と第2戦隊の戦艦4隻、巡洋艦4隻、駆逐艦8隻で南下していった。



〇三〇〇 偵察隊より入電があり大体の場所が特定できた。機動部隊は1時間半遅れで嶋田たちの後を追った。


 日本艦隊は20分前に6機ほどの偵察機を出している。機体は九四式水上偵察機偵察機の改良型である。

 

九四式偵察機乙型

全長 14,32 m

全幅 13,90 m

全高  4,8 m

主翼面積  4380 m²

全装備重量  3000 kg

最高速度 296 km/h(高度500m)

乗員 3 名

発動機 空冷星型複列9気筒「興」一型  離昇840馬力・公称740 馬力

航続距離 2200 km

航続時間  12 h

武装 9mm機銃×1(固)9mm機銃×2(旋)

60kg爆弾×2または30kg爆弾×4


 発動機を「興」発動機に替えたものだ。今回の作戦機の96式戦闘機も「興」エンジンに切り替えられている。中国と戦争をおっぱじめていたらこれほどのスピードで開発はできなかっただろうと戦後の専門家は言う。しかし96式戦闘機は速度が10キロしか向上せず、最大速度が490キロという速度でおちついた。

 だがこの余剰馬力は抜群の運動性能をさらに向上させる結果につながった。このため背後の防弾鋼板の厚みを2ミリほど増やし、9ミリ機銃の携行弾数の数をを実に60発増やすことを可能にした。余談だがこの頃20ミリ機銃の開発が進んでいた。


 ついでに艦上爆撃機なども紹介しておく。

九六式艦上爆撃機

乗員 2 名

全幅 11.40 m

全長 9.40 m

主翼面積 3450 m²

自重 1775 kg

搭載量 1025 kg

全備重量 2800 kg

発動機 「興」一型出力 離昇840馬力・公称740馬力 

最大速度 349 km/h(高度3200 m)

急降下制限速度 537 km/h

実用上昇限度 6980 m

航続距離 1330 km

武装 9mm×3(機種固定2+後席旋回1)

爆装 250kg×1、30kg ×2


96式艦上攻撃機

全長 10,15m

全幅 15,00m(主翼は後方に折り畳み可能)

全高 4,38m

自重 1825 - 2000kg

全備重量 3500 - 3600 kg

発動機 「興」一型空冷星型9気筒

出力 740馬力(1200m)、840馬力(離陸)

最大速度 297km/h

最小速度 92.6km/h

航続時間 8時間(1574km)

武器 7.7mm機銃×2(機首固定・後部旋回各1)、魚雷1または爆弾500~800kg

乗員 3名



 そしてその機体は以下の母艦に次のとおり搭載されていた。


 「赤城」(96式戦闘機18機 96式艦上爆撃機18機 96式艦上攻撃機27機) 

 「鳳翔」(96式戦闘機 9機 94式水上偵察機9機)

 「瑞鳳」(96式戦闘機18機 96式戦闘機9機)   

 「蒼竜」(96式戦闘機18機 96式艦上爆撃機18機 96式艦上攻撃機18機)   

 (補用は含まない)

 計 153機 (戦闘機63機 爆撃機45機 攻撃機45機)


 

 そのころ越後の艦橋では…。

 「急いで敵艦隊を見つけてくれよ」嶋田がうなるようにいう。

  そこには神重徳大佐がそこにいた。この男は天才肌で鴨田から参謀として乗せさせられたのである。

 「長官何故そのようにいそぐのでありますか。確かに早く見つけたに越したことはありませんが」

 「輸送船団だって最初の予定では数時間遅れてフィリピンに来るのではなかったのか。しかし敵はまだ遠方にいた」

 嶋田は続ける。「そして輸送船団は十分な戦果を挙げている。われわれも早く行けば戦果が挙げられる。そう思っているのだ」

 「左様でございましたか」と答えた。


  その時、「長官、偵察機より入電です」嶋田は勢いよく振り返った。



 山口は不安に思っていた。それは嶋田の航空機に対する考えの甘さだ。地上に対する威力は知ってるようだが未だ戦艦は航空機に勝てると思っているのか?

 米軍が太平洋艦隊の空母を全て出してきたらどうする気なのか?恐らく1,5倍はいる。その件は会議で言ったが、米軍のパイロットと我が軍のパイロットでは技量が違うはずだ。だから多少の数は心配するにたりんとのことだった。

 1,5倍は多少ではない。確かに日本パイロットのほうが優れているかもしれない。だが、過大評価しすぎている。そして相手に対する過小評価の多さ、いったいどうなるのだろうこの海戦いやこの戦争は。山口は不安そうに艦橋から対空兵器を見ていた。


〇六〇〇 そのころ機動部隊の甲板からうっすら太陽が見えてきた。それはまさに国旗と同じ日の丸だった。

 空母部隊では甲板を蹴って次々と機体が空に舞い上がる。赤城と瑞鳳そして蒼竜から戦闘機36機、爆撃機30機、攻撃機も30機で南の空に向かっていった。

 


 そのころハルゼーは「ジャップの偵察機め、我々を見つけたか。逃げ足だけは速い」と言い迎撃機を上げていた。


 上空ではアメリカ軍最後の複葉機、愛称「空飛ぶ樽」正式名はF3F。その名のとおり樽のような太い機体に2枚の羽があり、早くも引き込み脚を採用していた。

 縦に短く横に長い人間があまり好まない体系をしているこの戦闘機は950馬力エンジンを搭載し速力425キロで航続距離は1577キロだ。そして武装は7,7㎜銃

1挺と12,7㎜銃が1挺である。


 〇六五〇 爆音が空から聞こえてきた。「ジャップは空が薄暗くても飛べるとは進化したな」といいながらハルゼーは心の中で(キルジャップズ キルジャップズ)と叫んでいた。

 一方戦艦ネバタに乗っていたキンメルは何か不安に思っていた。


 しかし、その戦いはハルゼーの予想を裏切るものだった。アメリカ戦闘機は12,7㎜機銃で日本気を叩き落す落とすことなど造作も無いことと思っていた。 

 しかし逆に96式式戦闘機抜群の旋回能力で後ろを取ると9ミリ弾が叩き込まれる。アメリカ機は鉄のように固いといわれているが9ミリ弾を何十発と叩き込まれて

平気なわけが無い。この時の迎撃機数は60機にも及ぶが3分の1が日本気に反撃もできずに故郷より離れた島の近くの海で散っていった。

 アメリカ機が積んでいる12,7㎜機銃は中に炸裂爆薬が仕込まれてあり、大体20ミリの軟鉄も貫き通してしまう。96式戦闘機は背後に10ミリ鋼板を用いているがさすがに何発も打ち込まれ、耐えていられるような防御力にはなっていない。

「96式戦闘機を舐めるなよ!」ガツンという衝撃を受けて腹を立てた栗丘は自分の機体を攻撃した相手を見つけると、上昇し旋回で軽く捻り、斜め後ろ前につくと機首をやや下げるとそこで射撃用の引き金を引いた。栗丘は赤城から発艦したこの道8年の超エースパイロットだ。栗丘の視線には火達磨になったグラマン機が堕ちていくのが映っていた。


 アメリカの迎撃機は2倍いたが96式戦闘機にやられ僅かな時間で20機程度までになってしまい、ほとんど迎撃できなかった。それでも1機のF3Fが1機を撃墜したが

直後に96戦にやられた。


 アメリカ艦隊は必死に対空砲火で応戦した。運悪く当たった機体は海に落ちて悲しき水柱をあげるが、日本爆撃対はひるまない。1糸となり乱れず6機が一斉にアメリカ空母レンジャーに爆撃した。


 1発目は前方に巨大な水柱 2発目も水柱しかし3はつめは甲板に直撃し、4発目と5発目はエレベータに直撃し6発目は至近弾で艦が身震いした。レンジャーはエレベーターが陥没し、甲板に並べていた戦闘機がバラバラになった。

 「戦闘機には燃料を入れてるぞ、海中に捨てろ」「消化ホースをよこせ!!格納庫にまで火が回るぞ」そこで雷撃隊が接近してきた。

 1000メートルまで接近し魚雷を投下すると機体はふわりと持ち上がる。この時投下したのは右から3本、左からも3本である。艦長は右に回ってかわそうと

したが無理である。結果左舷後方に2本、左舷中央部1本、右舷艦首付近に1本が直撃し高々と水柱をあげた。レンジャーが見えなくなるほどの水柱が竜のごとく

立ち上がる。それが崩れるとレンジャーは左にだんだん傾斜していった。艦長が総員退艦命令を出したときには甲板上から既に100名ほどが海中に投げ出されて

いた。

 全員が退艦する暇も無く、あっという間にレンジャーは海のそこに引きずり込まれた。


 だが、日本攻撃隊の攻撃は収まらない。そうエンタープライズを日本攻撃隊は我先にと狙ったのだ。艦載機100機も搭載できる空母。これを撃沈すればアメリカ

機動部隊は総合兵力の5分の2近くの航空兵力を消耗する。全機エンジンの調子はすこぶるよろしい。

 96式爆撃機12機、96式攻撃機が6機襲い掛かっていった。 

「くそおちろジャップ」アメリカ兵が機銃をふりかざし呪詛をはきすてた。赤く太い弾がするどい発射音を立て吐き出される。

 しかし当たらない。右から爆撃機が攻めてきた。左から雷撃部隊が突入してきた。ここにエンタープライズの運命は決した。高射砲の爆発が横で爆発したのも気にせず、赤い弾が両弦から吐き出されている。が、突如として赤い炎が甲板上で爆発し暗い海面を明るくともした。実に12発中の9発が命中したのだ。


 火が艦内を覆いつくし消化の希望は消えかけた。甲板を貫通し格納庫に入り込んだ。刹那。キラリと光が輝いた。それは夜空の星とは違い死神が送ってきた星だった。

 轟!!

 爆風が抜け切れ無いんじゃないかと思うほどの爆風が艦内を襲い乗員が壁や床にいやというほど叩きつけられた。そこに雷撃隊が止めを刺しに来た。対空砲火など無い。

 甲板を越える高さの水柱が6本立ってエンタープライズは艦底が見え出したと思ったら大爆発を起こし30秒で沈んでいった。轟沈だ。



 駆逐艦バルチは3発の60キロ爆弾を受けたところに爆装した96式攻撃機から600キロ爆弾を受け艦内で大爆発を起こし、誘爆を次々起こし轟没した。


 8分後攻撃隊は意気揚々として帰還した。

 アメリカ 

 空母2隻撃沈 戦艦1隻に至近弾2発 駆逐艦1隻撃沈 他の艦艇に僅かな損傷あり。

 F3F 撃墜及び破棄 65機 TBD雷爆撃機71機

 

 日本側  

 96戦闘機 17機 96式爆撃機 3機 96式攻撃機 4機が使用不可になった。 あくまで使用不可なので撃墜数はもっと少ない。


 

アメリカ側は迎撃に飛び出た戦闘機の損失より空母にいあった艦載機の損失が多くなってしまった。ここでアメリカ機は半数を失う結果となった。      

 

 

 〇七三〇 時間を空け遂に第2時攻撃隊が日本側から飛び立った。

 ハルゼー率いる機動部隊は壊滅状態に陥った。そこに越後は今刻一刻と迫っている。

 キンメルの戦艦部隊はどう動くのか?

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