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ウイルス

作者: 未来
掲載日:2010/08/05

「悪質なウイルスに侵されていますね。あなたは今このウイルスによってどんどん寿命が短くなっていってます。」

無機質なメガネをかけた医師は無機質に私に言い放った。

「そんな・・・先生、そんなにひどいのですか?」

「ええ、深刻な状況です。このウイルスの活動によって、体内の水分は汚染され、あなたの平均気温は上昇を続けています。」

なんてことだ。最近、やけに体調が悪い日が続いていたが、放っておけば治るだろうと甘く見ていた。

「先生、そのウイルスとは一体何なのですか?」

少しの沈黙の後、ゆっくりと医師は口を開いた。

「・・・・人類です。」

え?まさか。

「そんな、彼らは何万年も前から私の体内に存在していた!人類はウイルスなんかじゃない!」

医師はかなしげな目で淡々と説明を始めた。

「確かに、彼ら無害な存在だった。だけどね、増えすぎたんですよ。この100年間で、彼らの個体数は5億人から67億人へと激増した。そして、それに伴う無茶な開発、化石燃料の荒使い、森林伐採・・・など、あらゆる悪行を繰り返しています。」

「信じられない。人類がそんなひどいことをしてるなんて」

「だったら、自分の目で確かめてみたらどうです?」

そういうと、医師は私に胃カメラのようなものを飲ませた。正面のモニターに私の体内の様子が映し出せれる。

「ああ・・・・!」

そこには、先ほど医師が説明していた通りの光景が広がっていた。無計画にエネルギーを消費する人類。熱帯雨林を破壊する人類。大量破壊兵器でお互いを攻撃しあう人類。ああ、もうここには私の知っている彼らはいないのか。

「あなたが助かる方法はまだあります。」

絶望する私に医師は声かけた。

「本当ですか、先生。一体どうすれば?」

「ワクチンを打ちましょう」

「ワクチン?」

「隕石です。」

「1度人類を全滅させればいいのです。あなたにも多少傷つきますが、大丈夫です。時間とともにかつての健康を取り戻すでしょう。」

人類を滅亡・・・。仕方ないことか。彼らは私利私欲に走りすぎた。その報いだ。

「・・・・・お願いします。先生。」

「わかりました。では、打ちますよ。」

医師が今にも隕石を打ちそうになったその時、私の目にある光景が飛び込んできた。

「待って下さい!」

不可解そうな顔で中断する医師。

「モニターを見てください、先生。」

その時、モニターには環境活動に取り組む人類が映し出されていた。そうか、人類の中には、私の異変に気づいて何らかの取り組みを行っている者もいるのか。その時、ある決意が私の中に生まれた。

「私はもう少し、あと100年くらい彼らを信じてみようと思います。」

それを聞いた医師は苦々しげにいった。

「きっと後悔することになりますよ」

「ええ、そうかもしれないですね。でも、彼らの一部は私のために動いてくれている。もう少しだけ信じてみたいのです。ただ、何も変わらなかった場合はお願いしますね。」

 

 100年後地球はどういう決断を下すのだろうか。それはまだ誰もわからない。


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