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1話 今日は入学式なんだからね

 少し強い春風。いや、強いて言うなら中ボスくらいの強さで吹いていて、わざわざ5時起きで完成させた俺のセンター分けのHPを0にしてきた。

 それでも俺はめげずに指先でちびちびと前髪を整えていた。たぶん、この世に存在する男はこんな姿、絶対に人に見られたくないと思う。

 そんなことを考えながら、俺は隣の家に住む幼馴染、織野桂子を待っていた。暇を持て余して、家の前の公園を囲むパイプ柵に腰をかけた。正直、「パイプ柵に座ってる俺、かっけぇ」と思ってしまっていた。

 流石に遅くないかと思い、一昨日新調した腕時計に目線を送ったら、7時15分を指していた。桂子が待ち合わせ時刻から15分も遅れていたのだ。

「あいつ、まだ来ないのかな」

 ぼそっと言葉が漏れた。

 ベストタイミングなのか、バッドタイミングなのかは分からない。だけど、俺にとっては確実にベストタイミングだった。

 桂子の家のドアが開いた。「髪いじってる時じゃなくてよかったぁ」と心底思いながら、待ち侘びた桂子の登場に心拍数が上がっていた。

 桂子は小刻みに足を動かしながら門扉を開け、こっちに駆け寄ってきた。

「ごめん!いろいろ時間かかっちゃって」

 玄関からここまで10mくらいしかないのに、この女はゼェゼェ言いながら膝に手を置いていた。

「全然いいよ、まだ時間に余裕ある。」

 自分の紳士の対応に我ながら惚れそうになった。というか、桂子は小学生の頃からマイペースすぎる。それに9年間振り回された俺はもう、懐は神様より広くなったのだ。

「じゃあ、行こっか!」

 そんな俺の優しさなど気にせずに、桂子は言ってきた。まぁ、そんな所も愛らしい。

 でも一つ、俺を踊らせるような変わったことがあった。桂子は中学時代、ずっと肩と肘の間くらいの長さでストレートヘアだった。運動する時はポニーテールにしていたけど、それ以外では3年間同じ髪型を貫いていた。

 その髪が、首が隠れるくらいまでしかない。いわゆるボブヘアになっていたのだ。春風に吹かれる髪が、前までの女王様みたいな雰囲気を嘘のように感じさせてくれた。

 これは触れた方がいいのか、でもキモいって思われるかな。そう考えると、言葉が喉に詰まる。

 そんな俺に、桂子は眩しすぎて見えないくらいの笑顔で俺の目を見ながら言ってきた。

「なにその髪型!前まで前髪下ろしてたのに!高校デビュー?」

「何だよその言い方、お前だって髪型変えてきたくせに...」

「私はいいんだもん!イメチェンだから、デビューじゃないんだよー」

 なんて自分勝手な解釈なんだと思いつつ、桂子の可愛さでそんな負の感情が吹き飛ばされた。

「でも何で急にそんなバッサリいったの?」

「んー、新しい場での恋の探検かな」

「何言ってんのww」

「まぁいいじゃん!早く行こ!今日は入学式なんだから!」

 桂子は走って10mほど先に行き、届くはずがないのに、俺に手を差し出した。

 中学時代から変わらずに、鼓動が早い。その鼓動を抑えつけながら、心から声を出した。

「待てよ!」

 気づいたら、俺は桂子の手へ走り出していた。

次は12月19日。幸阪茉里乃さんの誕生日の日に更新します!

次回は入学式とメインヒロインが登場!?するかもしれないですよ〜(まだあんま決めてない)

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