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20代最後のゲイのBL短編集  作者: 赤井獺京
捨て猫恩返し

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『捨て猫の恩返し』5

メラルを膝に抱いて人間と猫の違いを教えた。メラルはまだ服を着ていない。メラルの高い体温を直接感じながら背後から話しかけた。


猫は服を着ない。だけどそれは体中に毛が生えているからで人間には猫みたいに毛が生えない。服を着ないと冬は寒いし、捕まってしまう。だから服を着るんだと説明した。


寒いのは嫌だな、とメラルは言った。そして、捕まるって?と聞いてきた。


「人間の世界では服を着ないで歩いていると捕まえられちゃうんだ。だからみんな服を着る。それに他の人に服を着ていない姿を見られることは恥ずかしいことなんだ」


「恥ずかしいってどんな感じ?」


「……言葉で説明するのは難しいけれど、体が熱くなって苦しくなる。そこから逃げたいってなる」


「ほかの縄張りの猫に遭遇しちゃったときみたいにか……。それは嫌だな」


絶対に違う解釈をしているけれど、伝えたいことは伝わったようで話はそれで終わりにした。お風呂に入ろうとメラルをお風呂場に連れて行った。


「ハルに毛が生えている。猫になりかけてるのか?」


メラルは僕の股間を見てそう言った。これはみんな生えているものだと言った。大人になれば生えてくると教えた。シャワーを出すとメラルは一目散に浴室から逃げ出した。猫は水が嫌い。人間になっても変わらないみたいだ。


「人間はシャワーを浴びる。体を綺麗にするんだ」


裸のままメラルを捕まえて浴室に連れ戻した。力ずくで抑えてシャワーで体を流した。メラルは諦めて力を抜いていた。


「目を瞑って」


髪の毛を洗ってやると、ゴロゴロと喉を鳴らした。案外気に入ったみたいでメラルがシャワーを嫌がったのは最初だけだった。


メラルが家に来て1週間が経った。昼間は外に出すわけにもいかないからメラルの分のご飯を用意して、テレビのつけ方を教えた。テレビをつけると夢中になって画面を見ている。何を考えているのか、内容を理解できているのかは分からない。だけど楽しそうに見ている。夜遅くに家に帰ると、玄関先に走って会いに来る。一緒にご飯を食べて、食べ方も教えた。箸はまだうまく使えないけれどスプーンを使って器用に食べられるようになった。一緒にお風呂に入って体を洗ってあげた。そして一緒の布団で寝た。まるで自分の子供みたいな、そんな感じだった。


僕の働くお店の近くでイベントがあった。芸能人も来ているみたいですごい人だった。そのせいでいつも以上に繁盛した。正直お客なんて来なければいいと思っている。へとへとに疲れて帰る頃には睡魔がすごくてご飯を食べる気も起きなかった。


「お帰り、ハル」


メラルはいつも通りに出迎えてくれた。頭を撫でてご飯を食べたか聞くと美味しかったと答えた。元々混むと予想していたから、あらかじめメラルの分の夜ご飯は用意していた。へとへとになって帰るのは計算済みだった。


先に寝る、と言ってそのまま布団に倒れ込んだ。メラルは少しすると布団に入ってきた。だけどなんだか落ち着きがなく、僕の体に触れたり匂いを嗅いだりする。だけど私は目を開ける気力すらなかった。


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