『捨て猫の恩返し』4
食パンと目玉焼きを焼いていると、素っ裸の人間のメラルはとことこ歩いてきた。どこからどう見てもただの少年。頭に猫耳はあるけれど、猫には見えない。
「服来なよ。寒いから風邪引くし、そんな格好じゃ恥ずかしいでしょ」
「恥ずかしい?」
恥ずかしいということを理解できないのか不思議な顔をした。自分の予備のパジャマを貸した。渡しても匂いを嗅ぐだけで着ようとしない。
「手を上げて」
「手?」
「こう、ばんざいして」
僕は両手を上げて見せるとメラルはそれを真似した。上がった両手からパジャマを着せて、今度は足を上げさせてパンツを履かせた。ズボンも履かせるとメラルは服が気になるみたいでずっと匂いを嗅いだり、服をぱたつかせている。
ご飯用意するから、座って待っててとメラルをリビングのソファに座らせてさっさと朝食を用意した。猫の餌以外でも食べられるんだろうか。
時間は5分と経っていないはずなのにリビングに戻るとメラルはまた、素っ裸になっていた。
「なんで脱ぐの」と思わず言った。
「それ、窮屈。きらいっ」
机に目玉焼きを乗せた食パンを置いて、床に脱ぎ捨てられたパジャマを拾った。仮にも女の子だったらどれだけよかったか、メラルを見てそう思ってしまった。メラルは机の食パンから目を離せずにいた。グルルルルとお腹が鳴って美味しそうと言った。
「食べていいよ。食べれる?」
メラルは自分の分を手を使わずにあっという間に食べてしまった。顔は卵の黄身と食パンのカスで汚れている。まだ食べ足りないみたいだから僕の分もあげた。人間が手を使わずに食べている姿を見るのは違和感があり、今度は僕が手で食べさせた。それも食べ終わると濡らしたタオルを持ってきて顔を拭いてあげた。
「メラルは人間なの?猫なの?」
「メラルって?」
「ああ、僕が勝手につけた君の名前だよ。目がエメラルド色だからそこから取った」
「エメラルド色って?」
僕はスマホで調べてそれを見せた。メラルはふーんと言った。普通に話せる分には人間みたいなのに仕草や行動がやっぱり動物的だ。メラルは本当に猫人間なんだろうか。
「なんで言葉話せるの?」
それよりもなんでその姿なのかを聞くべきだけどきっとメラルも分からないんだろうと思った。メラルは猫の長老が人の言葉を教えてくれていたと言った。だから猫の時でも話しかけられた言葉は理解できていたみたいだ。
「それで何しに家に?」
「寂しくならないように、寂しいって……。名前、なんて呼べばいい?僕はメラルでしょ」
「ああ、ハルって呼んでくれ」
「ハル、寂しくならないようにメラル一緒にいる」
メラルは僕に抱き着いてきて、首元をぺろぺろ舐めてきた。
「やめて、くすぐったい」裸の少年に首元を舐められているなんてどんなプレイだよと思った。だけど相手は猫だ。変な気持ちはない。
頭を撫でて、首元を撫でてやると、本当の猫みたいに喉を鳴らした。頭に生えた耳は本当の猫の耳と同じ形をしている。耳を触るのは嫌みたいで、触れると頭を振られた。乳首や性器は人間と同じで、僕が中学生のころと同等のものが付いていた。面白半分でメラルの性器に触れると、メラルは気持ちよさそうな声を漏らしたからすぐにやめた。感覚は人間と同じみたいだった




