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神魔の元で  作者:
第一章 "神と能力"
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第一章⑤ "魔境の教師"

「私たちも会話に混ぜてもらっていいかしら〜」


声をかけられ二人が視線を向けると話しかけてきたであろう随分と若そうな男女二人が居た。


「ああ。もちろん」


そう告げて真夜達はその二人に向き直る。


「お喋りする前に軽く自己紹介だけしようか。僕は一ノ瀬真夜。それでこっちが…」

「葵真昼です!」

「二人ともいい名前ね〜。私は白神めぐみ。この仏頂面は涼宮千尋」

「人の自己紹介取るなよ…ま、よろしく」


めぐみと名乗った女と千尋と紹介された男は異様に若く見える。ここが年齢を問わない学園としても、他の生徒よりかは浮いて見えるほどに。そう感じていた真夜と真昼の心情を察してか、めぐみは語り出す。


「多分気になってるであろうことを言うとね〜、私たちエルフなの〜。だから見た目が若々しく見えるのよ〜」

「こいつの言う通り、俺らの年齢は500は優に超えてる。何歳だと思う?」


急に会話のパスが飛んできて一瞬だけ怯むが二人はすぐに考え始める。

「えーっと、エルフって確か人年齢の100分の1くらいの見た目になるんだよね?ってことは1000歳くらい?」

「多分そのくらいだろうな。ただ僕はもう少し若く見えるし、917歳位で予測するよ」

「かなり刻むわね〜」

「…お前、凄いな」

「え、まさか…」

「ああ当たり。俺は917歳ニアピンどころかちょうどだな」


見事に年齢を当てた真夜に素直に賛辞を送る千尋。それを見ていて気になった真昼が尋ねる。


「じゃあめぐみ…さんは何歳なの?」

「レディに年齢を尋ねるのは失礼よ〜、って言いたいところだけど隠すものでも無いし言っちゃうと989歳よ〜」

「…人間には想像つかないね」

「かもな」


人として居る間は一生名乗ることの無い年齢を二回も聞いて二人は同じ感想を抱いた。そしてその感想から推測されるに、


「ということはお二人は人間か?」

「ああ、そうだな。一応年齢は二人とも…」


そのまま年齢も明かそうとした真夜の口を塞ぎ、真昼が続ける。


「レディの年齢をそんな簡単に言わないでね〜真夜くん?」


男子2人が底知れぬ戦慄を感じ身を震わせた。


「あー悪い。そうだな。うん。真昼が正しい」

「分かればよろしい」

「そんな痴話喧嘩みたいなものはおいておいて、人間ってなるとやっぱり魔法、得意なのか?」


魔法と呼ばれるものは通例人間が扱うのに長けている術であり、エルフが扱う魔法のようなものは幻術と呼ばれるが、詳細は違うため興味を持った千尋は尋ねる。


「まあボチボチってとこかな。基本的に火、水、風、土は割と自在に操れるけど」


四指に四色を灯しながら最低限の情報のみを明かす。彼らは学友でもあるが決して仲を育み続ける間柄となるかすら分からない。この学園の卒業が懸かっている限り。


「エルフの幻術と対して変わんないんだな。いい知識になったよ。ありがとう」

「ああ、どういたしまして」


互いにそのような思考は排斥し笑顔で感謝を述べ合う。会話が一段落つき、別のアプローチを試みるべきか互いに逡巡していたその時に、教室の外からドンッという鈍い音が鳴り響く。その音を察知した4人は窓から身を乗り出して音の発生源を探る。探った先に見えた者は…


「…吸血鬼と鬼か?」


鬼が吸血鬼を投げ飛ばし壁に激突した音であろうことはすぐに察せられた。本来外見から種族を判断することは困難を極めるが、今のそれらは憤怒し、感情が昂っているからか一目で判断できるほどであり、鬼は身体の巨大化、吸血鬼は翼の顕現を成していた。


「古代からのいざこざとかなのかな?」

「さあ?あいつらが特に気性が荒いだけの可能性もあるしな」

「私が気になるのはそれよりも〜」


その瞬間、圧倒的な圧がそこに押し寄せた。


「教師の対応かな〜」


押し寄せた圧に視線を向けた鬼と吸血鬼、それらがそちらに視線寄越した頃には圧の正体は既に背後に立っていた。


「一度沈め」


そう告げて手を振り下ろし、無能力者なら一撃で2回死に至る程の力で殴りつけられ、床を突き破る轟音が炸裂した。


「学園初日に仕事を増やすな」


自分で開けた穴を覗き込みながら捨て台詞を吐く。


「…種族雷獣。部分獣化。紛うことなき学園の教師だな」


ある者は畏怖を、ある者は尊敬の眼差しをソレに向けた。


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