表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/20

プロローグ

 若き司祭の率いる一団が駆けつけた時には、戦いは終わっていた。

 かつて、大陸全土から畏怖をもって崇められていた「竜を駆る女帝」。

 その屋敷の前には巨竜が倒れ、建物も半壊していた。

 激闘の跡を物語る広間、部屋の数々。

 敵の生臭くどす黒い体液が床にも壁にもこびりついている。

 屋敷のもっとも奥まった部屋も、分厚く高い扉が突き破られていた。

 部屋に入ると金髪、銀髪の少年兵が幾人も倒れている。皆、こと切れており、彼らの手、足、首がそこここに散らばっている。

 部屋の最深部には隠し扉があり、こちらもやはり破られていた。

 その奥には背から尾にかけて鈍く金色に輝く竜女が、箱を守るように覆い被さり、こと切れていた。

 司祭はひざまずき、美しき竜女に手をあてて高らかに詠唱を始めた。

 祈りが天に届いたか、彼女の背は一瞬だけ輝き、なまめかしい唇がかすかに震えた。

 「・・・アイン・・・」

 吐息のように言葉を紡ぐと、竜女は全身からまばゆい光を放ち、手のひら大の珠へと姿を変えた。

 彼は竜女の珠をそっと腰の鞄に入れ、続いて金属製の箱に手をあてた。

 フタが泣くように軋みながら、ひとりでに開く。

 なかには柔らかな布に包まれた【それ】がいた。

 司祭はその姿をしばらく慈しむように見つめると、そっとフタを閉じて部下たちを呼び寄せた。

 「目につく物はすべて運び出せ。教会へ戻るぞ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ